とことん「本質追求」コラム第458話 営業力を引き上げる三大ポイント

 

『インパクトユーザーが決まりそうです。これが決まると、一気に成長ステージに乗りそうです』

 

波及営業戦略を実践中のクライアントさんが勝負の大詰めを迎えています。

 

受注が取れれば、対象市場のシェアを仮に5%しか取れなくても10億クラスの売上規模は狙えます。

 

目の前の商談における受注規模の大小は、今期決算に貢献してはくれます。

しかし、中長期的な業績にはさほど関係ありません。

 

事業の成長は、波及効果でみることで『地に足のついた事業計画』を推進することができるのです。

 

例え最初の受注金額…正確に言うと「粗利益が少なかった」としても、「あの企業が採用した商品なら、それは間違いない品質に違いない」と、市場が認めるインパクトのあるユーザーが獲得できるのであれば、なんとしてでも受注を獲得したいところ。

 

とは言っても、商談は水物。

見込客の置かれた状況や運に左右されやすく、自社がコントロールできるものはありません。

 

しかし、完全にコントロールは出来なくても、受注確率を確実に引き上げる方法があります。

特にBtoBの商談では、これから紹介する3つのアプローチを実践に移せば、間違いなく受注確率は上がります。

 

それでは紹介しましょう。

 

  1.  キーマンにコンタクトする

藤冨の著書でも紹介していますが、藤冨が20代の新人営業マン時代、帝国データバンクから購入した企業リストに電話営業(テレアポ)をしていたとき、アポが取れると上司が同行するルールになっていました。

そこで、社長以外にアポをとって商談がうまくいかないとめちゃくちゃ怒られていました。

「クソアポ取るなよ!」と。

今ではそんなことを言ったら確実にパワハラ扱いされそうですが、そうやって厳しく言われる方が、正直伸び代が増えます。

私は良い時代に生まれました。パワハラが許容される時代に新人時代を過ごしたことで、間違いなく実力も、胆力も、根性も身につきました。

話が逸れて当時の営業部長が指摘する通り、キーマンにアプローチできない商談は、時間の無駄です。

例え、最初は担当者商談であっても、着実にキーマンに近づけるよう「詰め将棋」を行うことが大切。

「今回の最終結論は、事業部長でしょうか?」

「事業部長決済は、1000万円くらいでしょうか?」

「業者選定の決定は、役員会でしょうか?」

「役員会でプレゼンするのは、●●さんでしょうか?」

などなど、商談の中でさりげなく聞くことがポイントです。

そして、「キーマン」を相手が口にしたら、「そのプレゼンを私がさせていただくことは可能でしょうか?」と詰めていくことが大事。

そうやって、本気か相見積もりの当て馬になっていないか、確認しながら、商談を運ぶのです。

 

 

2. 即レスを心掛ける

・詳細資料の提出

・エビデンスの提示

・見積書や概算書の提出

 

などなど、商談で見込客から求められる「宿題」があります。

それを出来るだけ即レスすることが大事です。

当たり前のように感じますが、多くの現場では出来ていません。

様々な理由があろうかと思いますが、受注を取りたいなら「即レス」が原則です。

 

営業力の強さで評判の高い超優良企業「K社」では、営業マネージャーが部下全員の商談内容を把握しています。

そして、一つ一つの商談が終わるたびに商談内容をヒアリングし「次に何をなすべきか?」をチェックし、時には相談、時には指導を行いながら、一つ一つの商談の受注確度を高めています。

 

宿題に対する対応スピード、そして内容の的確性が上がるのですから、組織的な営業力が上がるのは、ある種必然と言えるでしょう。

 

内容の的確性を上げる手法が、次に述べますが、的確性と同等いえそれ以上に大切なことは「スピード」だと認識することが営業ではとても大切なことです。

 

  1. 真の購買決定ポイントを掴む

下品な言い方で失礼します。

出来る営業マンは、金●を掴むのが上手い。と表現しますが、相手の顔、態度、話す言葉、組織に置かれたポジションなど様々な要素から、相手の「購買決定ポイント」を掴むことに優れています。

 

では、出来る営業マンになるためには、どのような努力をすれば、相手の金●を掴むようになれるのか。

最も大事な「ベースとなる能力」について、お伝えしましょう。

 

その「ベースとなる能力」をひと言で言うと「愛情」です。

 

そして、その愛情を相手に差し伸べ、相手がその愛情で満たされるようにアプローチすることで、相手は、営業マンに好意を抱き、信頼し、受注を確かな物にしていくのです。

 

そのアプローチは、以下の4ステップに分解されます。

 

  手の置かれた状況を正しく掴むための「観察能力

  相手の本音を汲み取る「ヒアリング能力」

  何が本質的な問題なのか…を追求する「構造主義」を捉える能力

  そして、何をすれば相手に貢献できるか…を想像する「構想力」や「対応力」

 

です。

医学の父と言われる「ヒポクラテス」は、患者の表情や触診から病状を察するだけでなく、患者の住む土地の「水」「空気」などの環境要因まで観察対象に入れていたと言います。

的確な病状、原因を掴むためには「観察力」は必須能力と言えるでしょう。

そして、「観察力」で掴み取った「仮説」を確かなものにするために、「ヒアリング」を行います。

「ヒアリング」で病状や原因の核心を得たら、その病状や原因に潜在する「本質的な問題」を抽出し、病気を構造的に捉えていきます。

そして、どうすれば治るのか…治療アプローチを構想し、対応する。

 

医学に話を置き換えてお伝えましたが、これは営業でも全く同じアプローチです。

 

1. 誰が決めるのか?(キーマンは誰か)

2. 相手の自己重要感を満たすために「即対応」をし、信頼関係を獲得し…

3. 愛情を持って、4つのアプローチで相手に貢献すること

 

この3つを念頭に置き、的確に4つのアプローチを行えば、社運を分ける受注は確かなものになっていくことは間違いありません。

 

長くなってしまったので、4つのアプローチは来週のコラムに譲ります。

 

御社は、社運を分ける…まで考えていなくても、受注効率を引き上げる「商談ノウハウ」の習熟を組織的に定着させたくはありませんか?