とことん「本質追求」コラム第410話 不況期に儲けるビジネス視点

 

 

 

「うちも下請けから脱却して、自社商品を作ろうと思います。これから不況に入ることを前提とするとどんな分野が良いでしょうか?」

 

以前、当社のセミナーにご参加頂いた社長さんから、自社商品の企画・開発から上市まで手伝って欲しいとの連絡が入りました。

先日のコラム「第408話 30年に一度の大チャンス到来?!」の反響でたくさんのご相談が舞い込んでいる状態ですが、その中でも多いのが「不況に備えどんな分野に進出しようか?」というお悩みです。

 

日本のバブルが崩壊した1990年1月1日から1991年8月くらいまでの膨大な新聞を流し読みした際に、見えてきたことがあります。

 

不況期には「安心享受商品」「超プチ贅沢」「生活必需品」「新時代適合型業種」そして、どのような分野でも儲けているのが、とある市場での圧倒的なシェアを獲得している事業は不況による大打撃を避けることができていました。

 

これは、不況期にもかかわらず積極的に新聞広告を出している企業やその事業。そして、新聞紙上で好調と取り上げられた企業やその事業からピックアップしています。

 

「安心享受商品」

バブル崩壊時には、幸運を呼ぶ水晶やアメジストなど安価な「パワーストーン」がヒット商品として台頭してきました。

また、リーマンショック時には、他の株価が暴落する中、占いサイトを提供しているザッパラスの株価は上昇していました。

先行きが見えない時には、人は何かにすがりたくなります。 根拠が不安定でも、安心感が欲しくなるのでしょう。

物理的には、ブレスレッドを購入しているのですが、消費者が欲しているのは「安心感」「神頼み(幸運を呼ぶ)」です。

したがって、形を変えても「安心感」や「神頼み」の効用を持った商品・サービスであれば、顧客の購買欲求を刺激することが出来ます。

 

「超プチ贅沢」

不況疲れという言葉がある通り、人間は抑圧されるとストレスを感じます。

このストレスを安価に解放できる商品も根強く売れていきます。

先日、波及営業のモデル企業となった「鶏卵農家」の社長さんが、茅場町(日本アイ・オー・シーの所在地)まで訪れ、近況報告をしてくれました。

私が「不況になると甘いものが売れる」と言うと、なんと既にその兆候が出ており、ケーキ屋さんへの出荷数が伸びているとのこと。

甘いものは、血糖値を上げるために、脳が一時的に快感状態になると言われています。

ストレスを解消するために、脳が「快」を求めているのです。

結果、甘いもの(正確に記すと“糖質”)が求められていくのです。

つまり物理的には「甘いもの」なのですが、消費者が欲しているのは「手軽で安価に得られる“快”」なのです。

したがって、形を変えても「手軽で安価に得られる“快”」の効用を持った商品・サービスであれば、顧客の購買欲求を刺激することが出来ます。

 

「生活必需品」

衣食住など、不況になっても欠かせない消費は底堅い業績が維持できます。

特に安価で満腹になる食品(外食)。

疲れが取れる寝具。

今ならシェアオフィスやシェアルームなど安価な住環境は消費者から支持されるでしょう。

リーマンショック後でも、幸楽苑(らーめん屋)や餃子の王将が上昇傾向にあったり、寝具メーカーのエアウィーヴが売り上げを伸ばし始めていました。

生活必需品でも時代のキーワード(安価、ストレス解消など)」を組み込んだ効用を提案していくと消費者から支持を得られやすくなります。

 

「新時代適合型業種」

今回のコロナ騒動は、私の目から見ると「構造改革を促すトリガー」に過ぎないと感じています。

ならば、生き残るためには、構造改革後に時代から要請されている「商品・サービス」を今から本格参入しておく必要性が出てきます。

  • 人工知能
  • 自動化
  • ロボット
  • デジタル通貨
  • サブスクリプション
  • テレワーク

など、そのものズバリでなくても、周辺商品やサービスのニーズは高まってくるはずです。

例えば、テレワークが定着化してくると、自宅でも集中できる「何か」が必要になってきます。

また、自宅やサテライトオフィスで仕事をするがゆえに必要となる商品やサービス…例えば「宅配弁当」や「ミニデスク」「壁掛けプリンター」などなど、消費者から求められる新商品は、これからもどんどん企画開発されてくるでしょう。

 

 

不況期には、不況期なりの商品・サービス開発視点が重要です。

また、時代の構造変化が起きている時には、新しい時代に事業を適合させていく必要があります。

 

これまでの流れのまま何も変えずにいくと、時代の要請にしたがって淘汰される可能性が大です。

 

新規事業が必要不可欠と言いたいわけではありません。

既存商品やサービスの再考。

または新販路の開拓でも構いません。

 

時代が大きく変化する中では「我々は、新時代の環境に適合できるのか。適合しない場合は、何を為すべきか」を熟考することが大事なのです。

 

 

1990年のバブル崩壊時には、翌年から倒産件数は増え始め、3年間で累計43,741件もの企業が消滅してしまいました。負債総額はなんと凡そ23兆円です。

 

これはある種の新陳代謝です。

 

御社は、新時代の環境に適合しているか、じっくりと検証していますでしょうか?