おでんが一番売れる時期は9月だという驚きの発見をしました。おでんは従来、「冬によく売れる」イメージがありました。人間は「寒い」と感じたときに体が温まる物を食べたくなりますからね。しかし、寒さを実感するのは、必ずしも秋や冬に限らない。9月下旬あたり、朝晩に少し冷えるとき、体感気温が下がり寒く感じる人が多く、そのため、同時期におでんの販売が伸びるのです。これがわかったのが、人間の鋭い分析力のためです。
(中略)
人間には、問題に対して既知の解に固執する傾向が強く、新たな仮説を見つけるのは専門家でも困難です。一方、データを隅から隅まで冷静に解析するAIは、常識に固執したりしません。そのため、販売データ分析などの分野では、AIは人間よりも優れた能力を発揮できるのです。
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2007年から海外で話題になり、15年にAI学会で研究会が立ち上がっているのが「AGI(Artificial General Intelligence)」、つまり「汎用性AI」ですね。AIが一つの分野で蓄積した知識を再利用し、雪だるま式に膨らませることで、汎用性を持たせる技術を指します。これをどう実現するかは、今後のAI研究の大きな課題になると考えています。
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――今後、人間はAIとどう「つきあう」べきだと思いますか。
AIは所詮、道具。人間が楽するためのツールにすぎないと捉えています。企業においてAIを取り入れやすいのは、人事評価です。社員のパフォーマンスを包括的に分析し、「どれほど向上しているか、どこに改善点があるか」などを人間より冷静に分析できるでしょう。こうした中立的な判断が重要な分野で、AI活用の可能性が大きいと考えています。
国立情報学研究所 市瀬龍太郎准教授
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- 2016/3/24 6:30
- 日本経済新聞 電子版より引用