とことん「本質追求」コラム第64話 戦略が組織を規定する

「新規採用する”営業マン”にどのような能力を求めていますか?」

年間売上目標を達成するために営業マンの「新規採用」を行うべきか…コンサルティング先の社長とヒザを詰めて話をしていた時の事です。

ベテラン社員が、次々と定年退職を迎え明らかな売上減が予想されていました。 
引き止め策もままならなかったようで”仕方なく新規採用”を行う方向で検討していたのです。

結局は3名の中途採用を行ったのですが、社長の不安はまだ消えません。 
「戦力として使えるには時間がかかる…あともう一人採用すべきでないか…」

焦りから出た判断で期待通りの結果を生みだすことは、まずありません。 
冷静沈着に、結果から逆算して、どの要素を補強すべきか…を検討する必要があります。

営業の成果は「能力×時間×情熱」で決まります。

能力を補強すべきか…。 
時間あたりの生産性を改善すべきか…。 
情熱を引き出す仕組みを取り込むべきか…。

 

3つのポイントを頭に置きながら、一人ひとりの面談を行うことにしました。

 

あけてビックリ玉手箱?!

浸透していると思っていたはずの「戦略」が、現場では全くと言っていいほど理解化されていませんでした。 
これでは「能力」が半減されるのは、目に見えています。

 

結果が出なければ、情熱の炎は鎮火していきます。 
能力と情熱のレベルダウンが進めば、いくら営業活動時間を増やしても、成果にはつながりません。 
これでは、人を増やしても、人件費を垂れ流すだけです

 

まずは「戦略」を人に、組織にしっかりと落とし込み「能力」の増強を図る必要があります。 

その後、一人ひとりが自立的に育つ環境を整えた上で、時間の増加…つまり増員計画を立てることが短期的にも中長期的にも業績を上げる最短の”道すじ”となります。

その際、我が社の戦略を遂行するうえで、必要となる「個人の資質」が明確にする必要があります。

ところが、我が社の戦略遂行に必要な能力や資質を明快に説明できる企業が非常に少ないのも現実です。 
必要な資質が曖昧な人材採用であれば、結果として営業成果も成り行き任せになりがちです。

 

これでは、業績を上げることを目的とした人材採用として上手く機能するはずがありません。

 

戦略を遂行する上で、どのような資質が必要で、どのような役割を担ってもらい、組織のどこに配置すべきか…。 
この計画を明快にすることが肝心です。

 

しかし… 
輝かしい結果を残している社長というのは、極めて動物的な感が研ぎ澄まされていることに驚かされます。

 

今回もたまたま(?)採用していた中途採用の人達は、どなたも潜在的に同社の戦略遂行に必要な資質を持っていると感じました。 

と、言うのも、たんに「戦略」というものを咀嚼できていなかっただけで、現場ではこのような活動が必要だ…と翻訳すると、スポンジが水を吸い込むように吸収してくれたのです。

 

もちろん、これが血肉となるには「時間」が必要です。

が、本質を理解しない行動で「失敗」しても「的確な反省」が出来ずに時間を浪費するだけ。 
本質を理解した「失敗」なら、対処すべき課題が明確なり、改善活動は「結果」へと直結していきます。

 

このような時間の使い方なら、営業マン各個人も、会社にとっても、業績をあげるための有効な時間の使い方となります。

  • 時間を浪費する環境のまま放置するのか。 
  • 学習する組織に仕立て上げ、時間を蓄積していくのか。

これが、半年、一年に大きな差となって現れてくるのは、想像に難しくありません。