とことん「本質追求」コラム第61話 そのメッセージは、経営者目線ですか?それとも担当者目線ですか?

先日、新しくクライアントさんになった企業が出展している「テクノフロンティア2013」に勉強のために行ってきました。 

何しろ、メカトロニクスもエレクトロニクスも、全く未知なる分野です。 
どうやって「成長戦略を作るのか…」まずは、市場を構成する「自社」「競合」「顧客」の3つの情報を収集しなければ、俯瞰できません。 

そこで、あらゆるカタログを持って帰り一冊、一冊丁寧に見て行きました。 

どのような役割の商品なのか。 
どんな利益を顧客にもたらすのか。 
その商品を導入する影響範囲はどこまでか。 

すべて読み取ろうと目を皿のようにして見てみたのですが…

どのカタログも、さっぱり分かりません。(苦笑) 
専門的過ぎて「言葉」さえ理解できないのです。


言葉は、時として「有志を募り」、時として「人を排除」します。

 

専門的な商品の購買ボトルネックの一つは、間違いなくココにある…と直感が働きました。

と、言うのも20代前半、「マーケティング・コンサルタント会社」に勤めていた時、上場企業の担当部長クラスとお話することが多かったのですが、全く経験のない部署の上長に配属されるケースが意外にも多いことに驚いた記憶が残っていたのです。

と言うことは、技術を知らない上司がいることは十分に想定できる。 
とくに経営陣に近くなればなるほど、最新情報は握っていないケースも想定されます。

そのような状況下では、部下から”この商品を導入したいので決裁してください…”と稟議書が回ってきても、どう決断してよいのか頭を抱えてしまうでしょう。 

・部下の作文が上手く自社にどのような利益をもたらすのかが明快になっている 
・部下の仕事ぶりが素晴らしく信任されている。 
・上司の勘が鋭く、漠然ながらも「良」と判断できる。 

以外は、中々「ハンコ」をついてくれない状況が目に見えてわかります。

以前、工場の粉塵防止の床材を取り扱っている企業の社長とお話したときも同じ感覚を覚えたのですが、「経営陣向けのメッセージ」と「担当者向けのメッセージ」を巧みに使い分けることが肝心です。

例えば、「工場がクリーンな状態に保てます…」というのは、誰に響く言葉でしょうか? 
これでは、もしかしたら誰にも響かないかも知れません。

ホコリが原因による不良品がなくなります…というのは誰に響く言葉でしょうか? 
不良品率の責任をもっている「工場長」かも知れません。

では、「不良品ゼロ運動は、企業品質を向上させます」というのは、誰に響く言葉でしょうか? 
これなら、経営陣に届く言葉になります。

 

同じ事を言っていても、話す言葉を選ばないと決裁ルートの流れに乗ることができません。

 

会社の顔となる「ホームページ」や「カタログ」。 
営業マンの武器となる「提案書」や「アプローチブック」。

モノ言わぬ営業マンと化す、全ての「メッセージ媒体」に使われる言葉を吟味する必要があるのです。

契約は「商談ルーム」で決っているのでなりません。社内で行わる「会議室」で決っているのです。 
その「会議室」に、営業マンは立ち入る事が出来ません。 
ライバルの商品も、同時に比較検討されているからです。

だからこそ「その会議室」に潜り込ませる『モノ言わぬ営業マン』を鍛えあげなくてはならないのです。

御社の「メッセージ媒体」は、経営陣に響く言葉は使われていますか?