「3年ほど前に売れ筋商品が法規制に引っかかってから、売れ行きが悪くなってジリ貧状態が続いていました。それが昨年のコロナによって拍車がかかってしまい今ピンチを迎えています。オンラインで良いので相談に乗ってもらえませんか?」
先週末、コラムの読者さんからメールがきて、あまりにも逼迫した状況が感じ取れたので急遽休日にオンライン会談をすることになりました。
3年前と比較すると売上は6割も落ち込んでいるとのこと。
苦渋の決断でリストラを断行してきたそうですが、それでも限界がきている。
助成金は焼石に水で、このままの状態が続けば半年でキャッシュアウトとのこと。
時間がありません。
早急に「明るい未来」を見つける必要があります。
私も同じような経験をしてきています。
インターネットで販売していた教材が、Googleの規制(グーグル八分)にかかり「検索結果から排除」されてしまったのです。
ドル箱だった教材なだけに、冷や汗が吹き出し、目の前が真っ暗になりました。
これまで自動的に稼いでくれていた自社サイトからの売上が「ゼロ」になるのですから。
この時はたまたま進めていた「新規事業」に専念することができたから、心の支えは失っていなかったのですが、脳裏に走った2つの選択肢は今でも鮮明に覚えています。
一つは、進めていた「新規事業」をストップして、グーグル八分の対策を講じること
二つ目は、潔く既存事業は捨てて、新規に専念すること
の2つです。
上述の社長にも、この時の体験をお話ししながら、具体的な体験を抽象化して、同社にも思考・行動レベルまで落とし込めるようにお伝えました。
公開の許可ももらっていますので、皆様にもお伝えしたいと思います。
そもそも、先行きが見えない時の経営判断は3つしかありません。
- 新規事業を起こす
- 既存事業の売上拡大策を実行する
- 事業を撤退する
の3つ。とてもシンプルです。
ただ、この3つの選択をするためには、冷静なる分析と苦渋の決断が必要です。
まず、1の新規事業で自社の活路を見出すときに「必要不可欠な条件」を列挙してみましょう
この必要条件が欠けていると、失敗する確率が高まります。
経営危機に陥っている時の「失敗」は、「死」を意味します。
しっかりと「新規事業で失敗しないための必要条件」を押さえておきましょう。
・新規事業は、軌道に乗るまで集中投資が必要であること
・新規事業を軌道に乗せるまでの進め方に似たような経験があること。または指南者がサポートしてくれること
・不退転の決意で、成功するまでやり遂げる覚悟を持つこと
この3つは最低限抑えておきたいところです。
・新規事業は、軌道に乗るまで集中投資が必要であること
集中投資は、お金だけではありません。労力も人材も時間も全てのリソースを集中投資する必要があります。
時間もお金も全て新規事業に捧げる覚悟が必要です。
私も、グーグル八分を喰らったときに、ある程度のキャッシュはあったものの、金融機関からの追加投資を依頼しました。
資金繰りに時間を取られることを避けたかったからです。
そして、借り入れた資金は、新規事業を立ち上げるための「ダイレクトメール」や「ホームページ」の制作に全て当てました。
この時の集中力がなかったら、下手をすれば私は今頃ホームレスになっていたかも知れません。
時間、資金、思考、労力、人材…全てを新規事業に賭ける想いがなければ、危機を乗り越えることはできません。
・新規事業を軌道に乗せるまでの進め方に似たような経験があること。または指南者がサポートしてくれること
新規事業が、いきなり軌道に乗ることは、まずあり得ません。
軌道に乗せるまでには、試行錯誤が求められます。
最初は、ポツポツと反応があっても、事業として軌道に乗せるには「小さな反応」を「大きな反応」に変える必要があります。
「大きな反応」を得るためには、小さな反応を「もう少し大きな反応」次は、「もっと大きな反応」と試行錯誤が欠かせません。
試行錯誤が必要になる背景は、資金の問題が絡んでいるからです。
最初は、テスト的に小資金でホームページに流入する広告を掛けて、そこでの収益力が確保できなかったら、ホームページを改修し続け、反応率を目標値まで引きあげ、売れるホームページができたら、大きく広告を展開していく。
ホームページを例にあげましたが、ダイレクトメールしかり、営業マンの展開しかり、皆一緒です。
反応率の高い媒体(DM、HP、営業マンなど)をまずはしっかりと作り込み、屈強な媒体ができたら、そこに集客する。
地道な試行錯誤の連続です。
だからこそ、経験値のある仕事の進め方を選択する必要があるのです。もしなければ、必ず「試行錯誤の経験者」をサポーターとしてつけることが大切です。
・不退転の決意で、成功するまでやり遂げる覚悟を持つこと
集中投資、試行錯誤を実行する過程においては、孤独に打ち勝ち、未来を信じて、努力し続けるしかありません。
自社の運命は、社長が握っています。
決して、他人のせいには出来ません。
自己責任をしっかりと認識した上で、集中投資、試行錯誤に耐える覚悟を持つことが大切です。
次に、2. 既存事業の売上拡大策 と3. 事業を撤退するについて、解説したいのですが、あまりにも長くなってしまうので、次号(https://www.j-ioc.com/wp2024/column/8694/)に譲りたいと思います。
それでは、また来週お楽しみに!