車選びに”ぶつからない性能”が低燃費と並び、重要視されている…
先日の日経MJ新聞に掲載されていた衝突回避システム「アイサイト」。
商品(車)選びの際に、新しい評価軸をつくった好例です。
非常にわかりやすい効用だし、誰にとっても魅力的な機能。
実際、車の販売店に訪れる際「アイサイトありますか?」と訪ねるお客さんがいるそうですが…私が調べたところによるとまだまだ認知度は低そうです。
Googleの月間検索数も昨年の2012年6月から9月までは月間1万件ペースで検索されていたが、現在は1800件程度。
メディアに取り上げられ、新しいモノ好きや専門家など市場におけるイノベーター(冒険者)やアーリーアダプター(挑戦者)だけが反応し、まだまだ成長期には突入していない様子がデータからは見受けられます。
出荷台数を見ても3年で11万台。
乗用車の年間出荷台数はおおよそ120~130万台ですから、新規販売シェアで見ても3%程度。
これから本格的な導入期に入り成長期へのステージに挑戦していくので、ここが営業の正念場でしょう。
実際、どのような販売戦略をとっているか…はわかりませんが、このような状況下…つまり新しい商品を新しい市場に根付かせるには「小さな伝説」を作ることがとても重要です。
実質価格10万円と十分に普及価格になっているので、あとは見込客に対して「衝突回避システムは魅力的だけど、本当かな…」と漠然とした印象を取り除く必要があるからです。
例えば…ですが。
もっとも事故が起こしやすい「分母」をもつ市場を選定します。
どこでしょうか。
恐らくタクシー会社などは、24時間走行して、一日休んで…24時間走行して、一日休んで…といった勤務形態だと聞いたことがあるので、事故率の多い分母が設定できる市場かもしれません。
もし現実的に事故率が多いのであれば、タクシー会社に営業攻勢をかけます。
事故率を計測することを条件に特値を出してもいいでしょう。
これで実際に事故率低減のデータがとれたら…
この「小さな伝説」を武器にして、同種の課題をもつ別のターゲットに照準を合わせて営業攻勢を仕掛けます。
そう、同業種であるタクシー会社に営業の集中砲火を浴びせるのです。
ここでタクシー業界の市場を制覇し、「本当に事故が回避できる」という伝説が出来たら、次の市場…そう一般市場を本格的に攻め込むのです。
これが「波及営業」による攻め方です。
別にタクシー会社である必要はありません。
事故率低減のデータが取れ、一般市場が「あそこで実績があるなら、間違いない…」とそのものの価値に確証が得られれば、どんな市場でも構いません。
小さな伝説をつくること。
そして、その伝説を拡大させていくこと。
急がば回れ。
新規軸を打ち出し、市場を制覇する営業法は、市場の状態を見極めて的確なアプローチで攻め込むことが成功の秘訣となるのです。