「トップセールスが退職するんです。このまま売上はガタ落ちになります。どう対策を打てばいいでしょう?」
私は、以前「情報システム」の営業マンをやっていました。
情報システムは「商品知識」がなければお話にならない世界ですが、いまご支援している会社もまさに「商品知識」がなければ、営業として成り立たない世界。
営業マンの育成に時間もコストもかかるため、トップセールスが抜ければ、かなりの痛手となります。
応急処置が必要だったので、現場に入り込みました。
ミッションは、トップセールスが抜けても売上を維持する体制づくりです。
まずはトップセールスに張り付きました。
一日中仕事を観察できる「電話セールス」に焦点を当てました。
社長命令で、他の営業スタッフもTELアポルームに入ってもらい全員一緒に観察デキる体制を整えてもらい3時間黙って聞き耳を立てていました。
さすがトップセールス。
他の営業マンのコミュニケーション能力とは雲泥の差です。
しかし、レベルが高すぎて、他の営業マンは真似したくても真似できるレベルではありません。 そもそもコミュニケーション能力と言うのは”教育”で底上げできるほど甘くないのです。
これは心理学の見地から見ても、証明されています。
本人に強い問題意識があり「自分が変わりたい!」そう思わないと、せっかく習得した技術も1ヶ月もすれば元通りになってしまいます。
研修しても研修しても、元通り。
砂漠に水を巻いているようなものです。
つまり、職人技の営業を育てるのは至難の技なのです。
ところが、ずっと電話セールスの会話を聞いていると、あるパターンがあることに気づきました。
A4の手帳に、そのパターンをラフで書き、会話の流れをフローチャート化してみたのです。
すると、社長が「あっコレいいですね。コピー取っていいですか?」と言うので、ちょっと待って下さい…と断りました。
字が汚いからではありません。(それも少しありますが…汗)
メモ書きを見ながら、一人落ち着いて、営業から発信と受け手の心理を想像したかったのです。
翌日、メモ書きを元に「会話のフローチャート」を整理してみました。 こう話したら、こう反応したから、こうゆう心理が働いている…。
ならば、次ぐにくる会話は…
トップセールスの話法を思い出しながら、A3用紙目一杯のチャートを完成させ社長にメールしたところ、数分後にNO2セールスマンから興奮した声で電話があったのです。
「以前、働いていた会社(有名企業)のマニュアルとそっくりです。あそこの会社では、ここまで会話が行ったら、Aという資料を送付。ここまで会話が行ったら、Bを送付。ここまで行ったら…アポイント。という感じで全部がシステム化されていました。これがあれば私もポイントを絞って指示が出せます!」
と、早速現場での”好感触の動き”が見えてきたのです。
あとは、見込客発掘から成約まで、一人で全て行なっている営業プロセスを分解して、新人が早く仕事を覚えられるよう体制を整備すれば、第一次フェーズの突貫工事は完了です。
トップセールスが抜ける穴は、難易度の高い「初回面談」と「成約」を成績上位者に。定型化しやすい「DM(手紙)」「テレアポ」は成績中位層以下に仕事に分担させる。
「提案活動」は上位者と中位層以下が共同作業で行えば、自然と営業スキルの全体的な底上げがデキるロジックを動かしていきます。
- 営業マンの定着率が悪い会社。
- 営業マンの成績格差が著しい会社。
- 営業マンの高齢化が進み優秀な人の退職ラッシュを迎える会社。
そして、職人芸の営業マンに頼らずに業績を上げたい会社。
ぜひ、仕事を分解して、再構築を試みてください。
営業組織の効率的運営の道が見えてくるかも知れません。
※※コメント※※
「波及営業の導入」のゴールは、影響力のある顧客を獲得し、それを錦の御旗にあげて「営業マンのセールストーク」「DM」「ホームページ」に共通のメッセージを入れ込むことで、市場開拓パワーを最大限に引き上げていくことです。
つまり、営業組織を効率的に運営できる仕組みを作ることです。
ご興味のある方は、ぜひ次回開催予定のセミナーにいらしてください。 優先的にご案内します。