とことん「本質追求」コラム第46話 売上を上げる組織の統括方法

先日、定期的に訪問している支援先の社長がトップセールスに猛烈な勢いで叱りつけていました。

事の発端は、トップセールスのこんな発言。

「パンフレットですか? そんなのお客さんに見せませんよ」
社長の眉がピクリと動く。 
「どうしてパンフレットを使わないんだ?」 
「だって、見せなくても商談できますもん」
「いや、使わない理由を聞いているんだ」
「それは…このパンフレット、ピントがズレているんですもん」 

社長の堪忍袋の緖がキレた。
「なんで、それを早く言わないんだっ!!」
「だって、見せなくったって、商談はできますから…」
「そうゆう問題じゃないっ!お前だけ良ければいいのかっ!!!」 

午前中、社長と二名のミーティングで、「部分最適」をしても、明日の売上は作れません。 
「全体最適」をするからこそ”ひずみ”が見えてくるんです。というお話をしたので、その言葉が耳に残っていたようです。 

会社案内、ホームページ、パンフレット、さらには社内の営業マニュアルまで、セールスに影響するツール全てについて言えることですが、多くの企業ではこの制作活動を各担当者がバラバラに行っています。

会社案内やパンフレットは、販促部や企画部で作成され、ホームページは外注、営業マニュアルは営業部長の手作り…といった具合に。

これら一つ一つのツールをバラバラにより良いモノしていくことを「部分最適」といいます。

ところがこの部分最適では、パンチ力のある統一化されたメッセージ性は生まれません。

すると、買い手は、思考があちこちに飛んでしまい焦点がボヤけてしまうのです。 

パンフレットやホームページを作れる人は、同じ人物じゃないから仕方ないです…というのは言い訳に過ぎないのです。

もちろん技術的な問題がありますから、制作者は別々でも構わないのです。

ですが、統括的なコンセプトを責任もって監督する人がいなければ、対顧客へのメッセージがグチャグチャになります。

顧客との契約から逆算して、営業マンとの接触、パンフレットやホームページとの接触など、顧客が意思決定する中で、触れるもの全てが購買心理に影響していきます。

だからこそ、接触から契約まで一気通貫のコンセプトを作り上げる「全体最適」という考え方を取り入れなくてはならないのです。

この「全体最適」からはみ出たケースをどんどん社内ノウハウとして取り込んで、営業ツールを磨き上げることで、全体としての強い営業力が生まれてくるのです。

成熟した寝具市場で2011年の売上4億円から2012年には11億円と3倍程度飛躍したエアウェーブ社の事業戦略を見ても、この一気通貫したコンセプトを「全体最適」するチカラが働いているのが、傍から見てもわかります。

事業がイマイチ上手く軌道に乗らない時… 
間違いなく、顧客の購入意思決定から逆算した「全体最適」が働いていません。

これは社内でディスカッションして浮き彫りになるようなものではなく、顧客の立場と経営の立場の両輪から俯瞰できる”たった一人”の人間からでしか最良の「答え」は出てきません。

孤独に耐える必要がありますが、これが社長の仕事です。

私の仕事は、この全体最適の作り方を「波及戦略」という道具を持ってお伝えし、社長の知恵袋としての役目をまっとうすることです。

知恵袋としての参謀が必要な場合…私で良ければご一報ください 。