お手伝いさせて頂いている会社の社長から、こんな嘆きをよく聞かされます。
「もっと会社がよくなる新規事業を考えなさい」、「この商品がどうやったら売れるか」など、社員に指示をしているのですが、さっぱり出てこないんです・・・と。
実際に成功するアイディアが社内からポンポン出てしまったら、私のような外部ブレーンの活動する場がなってしまいますが、会社経営をしている社長は「アイディアが出ない原因」を勘違いされているケースが目立ちます。
「ウチの社員は、能力がないからアイディアが出ないのでは?」と。
もちろん、能力的な問題は”多少”あるかも知れません。
でも、アイディアが出ないのは、能力の問題というより、もっと根本的なテーマが横たわっています。
それは「アイディアを出す思考プロセス」から見ると一目瞭然です。
実際に、その思考、実施プロセスを見ていきながら、そのテーマを浮き彫りにしてきましょう。
1.未解決な問題を見つける
売れない商品を、売れるようにするためには、「そもそも、コレは一体なにモノ?」と存在を問い直してみることが大事です。
顧客は、何かの欲求充足や目的達成をするためにモノを購入します。
売れる商品は、ココを鋭くついているのです。
逆に売れない商品は、どんな欲求を満たそうとしているのか、テーマ設定が曖昧だったり、魅力的でないケースがほとんど。
つまり、問題自体が見えていないのです。
顧客の欲望から逆算して、問題点を抽出し、テーマを再設定することで、新しいアイディアを生み出す土台が作り上げます。
2.構造化してみる。
顧客は、今置かれた現状から、商品やサービスを利用することで達成される「あるべき姿」にお金を払います。
その「あるべき姿」は、社会的な背景が後押ししていたり、人間の欲望に紐付いていたりと内的、外的な影響を受けながら、顧客のアタマに思い描かれます。
また「あるべき姿」を満たすのは、我が社の商品だけではありません。直接・間接競合の存在があります。
その一つ、一つを分解し、構造的に理解することが必要です。
ここを正しく客観視することが成否を分けますが、人間なかなか自己を正しく客観視することは出来ません。
内部からスパっとキレるアイディアが出ないのは、この構造化が正しく行われないことも一つの原因です。
3.異質なテーマを転換させて思考を深めてみる。
さぁここからがアイディア出しの本番です。
作り上げた土台を軸に、他の分野で類似した概念を収集してきます。
他社の成功事例でもいいですし、単純化して考えられる概念でも構いません。
とにかく、今の課題を解決するために、外部の情報を収集しまくって、自社の問題に当てはめて考えてみるのです。
しかし、ここが問題です。
人間は、普段考えている行動の延長線上でしか、モノが見えなくなる性質があります。 いわゆる「灯台もと暗し」という現象です。
社員からアイディアが出にくい一番の原因は、実はココにあります。
社員は安定志向でリスクを嫌う人が多く、異質なものに触れたがりません。
そのためアイディアの源泉が乏しいのです。
もちろん、起業家精神に富んだ社員やクリエイターなど、優れたアイディアを出す人もいるのは知っています。
しかし経験上、そのような人は「極々稀な存在」です。
4.完成形を空想し、人物を動かしてみる。
アイディアが出来上がったら、実際にそれが出来上がった完成形を思い描いてみます。
例えば、営業マンと見込客との商談をイメージして「実際の商談の場面」を思い描いたり、「商品を実際に使っている場面」などをイメージして、人物を空想で動かしてみます。
この時、アイディアが未完成だったり商品レベルがチープな時は、矛盾が生じたり、不足部分が見えてきたりします。
5.全体をシステム化してみる。
コンセプト的に成功を確信したら、事業をシステム化していきます。
製造体制、販売数見込、売価設定(利益設定)、チャネル政策、広告・営業手法などを組み立てていくのですが、この時も顧客の視点から総チェックをかける必要があります。
「どんな顧客が、どんな時に必要性を感じ、どんな場所で購入を想起し、どのようにメッセージを出せば、購買意欲が喚起され、いくらだったら実際に購入するのか・・・」 このプロセスすべてにおいて顧客から見た時の「矛盾」が未然に防げれば、アイディアが事業として実を結んでいきます。
この5ステップが事業化のアイディアを生み出すプロセスになりますが、ポイントとなるのは「客観視」と「異質なテーマの取り込み」です。
どちらも、内部スタッフであるがゆえ、期待しにくいものです。
もし、行き詰まった原因がクリアになったら、ぜひ私のところにご相談ください。
プロとして「こうやったら売れる」という問題に真正面から取り組んで参ります。
追伸
2013年2月の1ヶ月間は、書籍執筆活動に注力するため、コラムは お休み致します。