とことん「本質追求」コラム第457話 売上はセールス・トークが9割を握る?!

 

『前回のコラムは、良い気づきを頂きましたが、売上はセールストークが9割握る…の真意が知りたいです』

 

前回のコラム『第456話 商品が売れない3つの理由』(https://www.j-ioc.com/wp2024/column/7646/)を読まれた元クライアント企業の社長さんから電話が掛かってきました。

 

読後の感想をキッカケに連絡をしてきてくれるのは、コラムを書いていて一番嬉しくなる瞬間でもあります。

 

同社は5年ほど前に藤冨が新商品の企画・開発から携わり、売上は2千万円にも満たないプロジェクトに終わりましたが…

現在では1億を突破し、第二の柱としての存在感を確立しているそうです。

 

そのプロジェクトでは、お客さんは商品を買っているのでなく、商品コンセプトを買っている…と藤冨が口を酸っぱくして言い続けてきたので、売上は「商品企画が9割を握っている」のでは…と理解されていたようです。

 

なるほど、見方によってはそう見えてしまうかも知れません。

なぜなら、表面的な新商品戦略の進め方は、以下のビジネスプロセスで進めるためです。

 

表面的な新商品開発の業務プロセス>

新規事業アイデア → 企画 → 開発 → ネーミング → 価格設定 → 営業政策販路政策 → 営業活動開始

 

この新規事業アイデアの出発点が最大のポイントになります。

 

よく新商品の成功確率は1000に3つと、言われます。

成功確率0.3%… 極めてリスクの高い仕事になります。

 

ただ、藤冨は新商品開発専門のコンサルティング会社で修行し、その後ITベンチャーや広告業界で営業経験を重ね、コンサルタントとして10年位、新規開拓に携わってきた経験上、この数字は違和感を覚えます。
 

もちろん、一商品で10億、100億クラスの売上が立たないと「成功」としない大企業であれば、この0.3%の成功確率というのは納得できます。

 

しかし、数千万円、1〜10億クラスの売上を狙った新商品・新規事業が、0.3%の成功確率だったら、世の中に中小企業が420万社も存在するはずがありません。

 

中小企業における新商品の成功確率の統計はないものの、経験上最低でも50%以上まで成功確率を引き上げられるはずです。

 

どうやって?

それが、新規事業アイデアの出発点の定め方にあるのです。

 

そもそも、思うように売れない原因はただ一つです。

相手(お客様)が見えていないためです。

 

これまで、売れない商品を売れるに変えてきた実例と手法をまとめた拙著「営業を設計する技術」(https://amzn.to/3qGO1IK)にも書いていますが、商品が売れていくためには、市場からみた商品の見え方が大事なのです。

 

いわゆる「ポジショニング」を明確にしていくのです。

 

ポジショニングとは、お客様が商品を選ぶ「価値基準」を視覚化し、競合商品との差別化ポイントを浮き彫りにするマーケティングアプローチです。

 

例えば、車を選ぶ価値基準に「非日常感」を購買基準として選ぶ消費者と「日常使い」を購買基準として選ぶ消費者が存在します。

 

また「単身・カップル」または「大勢」など誰かと乗るシーンを明確にした上で消費者は、購買基準を定めています。

 

この時に「大勢で非日常感を楽しむ車」と「カップルと非日常を楽しむ車」の2種類の企画アイデアが生まれてきます。

 

大勢で非日常を楽しむ際に、アウトドアなのか、街乗りなのかによっても、必要な機能に違いが出てきます。

さらにカップルで非日常を味わいたい…と思う「場面」や「動機、背景」は何か? によっても必要な機能や特徴に違いが出てきます。

 

 

つまり、自社商品を売り込みたいターゲットを明確にした上で、どのようなメリットを提供し、どのような利用場面をイメージさせるか…が見えていないと、「売れる新商品企画」は絶対にできないのです。

 

さらに言えば、その新商品企画を想定ターゲットに説明し「待ってました!」と歓迎されるようなセールス・トークが、イメージできていれば、ほぼ十中八九「成功」を収めることができます。

 

取扱商品にもよりますが、商品を作りこむ前に「テスト的に売り込む」ことでマーケットのニーズを事前に掌握することも可能です。

 

「こんな商品を作っている最中ですが、出来たら買ってくれますか?」と聞いて、買い手の反応を観察するわけです。

 

「もっとこんな機能があったらいいのに」とか「これくらいの価格なら即買いかな」など、反応を見ることで、商品のあり方を定義できれば、商品の開発リスクは引き下げられ、成功確率は高まっていきます。

 

そう、勘の良いあなたなら、すでにお分かりの通り。

新規事業アイデアの段階で「セールストーク」が出来上がっていれば、新商品の成功確率は極限まで高めることができるわけです。

 

従って、新商品開発を成功させるためには、表面的な業務プロセスを組み替える必要があります。

 

成功確度を高める新商品開発の業務プロセス>

購買基準の明確化 → ポジショニング戦略 → 商品企画 → 営業企画 → ネーミング・価格設定 → 商品開発 → 営業活動開始

 

このプロセスに組み替えることで、新商品戦略の成功確率を50%どころか、80%にも90%にも引き上げていくことが可能になります。

 

先週のコラムで、セールストークが9割を握るといった「真意」はここにあります。

 

売れる営業トークの開発を事業創造の起点とすれば、全てのムダを省けます。

 

・商品開発の出戻り修正

・広告宣伝のムダ打ち

・多額の人件費を費やした販促活動

・売れない切り口のゴミ箱行きパンフレット

・ホームページの作り直しの制作コスト

・営業マンの埋没コスト活動

 

…新商品や新規事業の失策は、あまりにも高い授業料を支払わなくてはなりません。

 

高い授業料を払わず、着実に第二の柱を立てていきたいのであれば、顧客接点である「セールストーク」がクリアになるような新商品アイデアを企画することがポイントになります。

 

セールストークは、何も営業マンの口から発するものだけではありません。

広告コピーやホームページも同様。

商品の売買が成立する顧客接点の全てをセールストークと捉えてください。

 

コロナで新規事業をお考えの方。

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https://www.jcpo.jp/consul-expo202103.html