「商品説明は不要なのではなく、言う目的とタイミングを理解しないとダメだって言うことですね!」
「売れるプレゼンテーションのやり方を社内統一したい!」と言うご依頼のもとコンサルティングを請け負った社長から受け取った感想。
何やら、以前お願いしていたコンサルタントから「モノを売るな、物語を売れ」と言い続けられてきたそうです。
しかし、2年間も試行錯誤したにも関わらず業績は一向に上がらないまま…。
営業の方からのロープレ、パンフレットや提案書、ホームページなど一通りの顧客接点を見させてもらいましたが、なるほど確かに残念。
何やら「物語を売る」ことの真意を理解したコンサルタントではなかったようでした。
今の時代、「売上を上げるノウハウ」などは、そこら中に転がっていますし、書籍を読めば一通りのロジックも理解できます。
「物語を売る」と言うロジックも、ある程度研究すれば、再現性の高い「自社ならではの売り方」が見えてくるでしょう。
しかしです。
コンサルタントを依頼する側の企業が、「物語を売る」と言う真意を追求しようとせず、丸投げしたり…
コンサルタント側も、経験を積んだわけでもないのに、わかった”つもり”で指導したりすれば…
結果は火を見るよりも明らか。
売れるノウハウが、自社のケースに染み込まず結果として「思うように売れない」と意気消沈する羽目になります。
真意を理解しておらず、表面的なノウハウだけで終始している典型例は「商品説明をしてはいけない!」という迷信を信じているケースです。
しかし、商品説明は、必要な場合と不要な場合、2つのケースが存在しています。
そもそも論として、”なぜ商品説明は「不要論」があるのか?” を考えればわかります。
不要などと言われる理由は、2つあります。
一つ目は、自分と関係のないことには興味がわかない、という現実。
二つ目は、商品説明は「売りつけられる」という警戒心が生まれやすいことが挙げられます。
見込客が興味を抱くのは、私にとってのメリット。私にとっての問題解決。私にとっての満足…
私にとって関係のある話しか興味を抱きません。
見込客は友達でもなければ家族でもありません。
赤の他人です。
赤の他人から、自分に関係のない話を延々とされたら、苦痛になるのが普通の人の感覚です。
お笑い芸人のように、よほど話が面白ければ別でしょうが、普通であれば、知らない人の知らない話(商品説明)は、聞きたいと思いません。
言ってしまえば当たり前のことなのですが…
実際には、営業マンだけでなく、ホームページ、チラシ、提案書などのセールス・ツールが、見込客自身の「私にとっての…」に焦点が当たっていないのが現実です。
思うように売れない原因は、ここにあります。
となると、どうやって「私にとっての…」を伝えていくかが大事になります。
そこで出てくるのが、物語なのです。
見込客を引き込む物語を作るためには、トップセールスマン思考を持った人の現場感覚が必要です。
売れる営業マンは、壁を作られないような会話、否定されにくい会話から話し始めます。
いきなり商品の話をしたりすれば「無関心」になるか「警戒心」しか生まれないことをトップセールスは知っています。
だから、その商品が必要となる「背景」や「顧客にとっての課題や問題点」に通じる「一般論」から話し始めます。
そして、時代背景、見込客が置かれた状況、そこに通ずる課題や問題点をしっかりと共有した上で、私ならお客様をより良い状態にすることが出来ます!と伝えることで「購買意欲」を喚起しています。
ここまで顧客を惹きつけた後に初めて、商品説明に入るのです。
「課題や問題」を解決するためには、具体的なアプローチとして、この商品のこの機能が使えるのです!と。
商品説明は、お客様が享受するメリットを具現化するための手段として伝えているのです。
上述のように、顧客の置かれた状況や課題、問題点を見込客の脳内に想起させてしまった後は、「解決策」を提示しないと気持ちが悪いはずです。
見込客にしたら「どうすれば良いのか?」と不安定になった状態で放置されることになります。
その場合は、「その解決策として、この商品のこの機能が使えます!」と、救いの手を差し伸べることで見込客とのコミュニケーションが深まるわけです。
商品説明が、不要なのではありません。
商品説明は、伝える順番と伝え方が大事なのです。
まずは、見込客にとっての「自分ごと」そして、その自分ごとの問題解決だったり満足の拡大をする役割として「私が提案する商品・サービス」がある!というストーリーが大事です。
ちなみに、商品説明が全く不要になる場合は、世界観を共有させて「ファン」を獲得することが目的となる場合です。
「楽しさ・心地よさ」や「価値観や使命」など「理想の世界」や「自分の居場所となる世界観」だけを共有し、その世界観を持っているのは、私たちです! とコミュニケーションすることで「ファン」を作っていきます。
右脳に訴えかけるために、ロジックよりも、画像、映像、環境音、音楽、セリフといった感性に働きかける仕掛けが必要になってきます。
何れにしても、「見込客自身の私にとっての…」に焦点を合わせることが大事です。
御社のセールス・メッセージは、「見込客自身の私にとっての…」に焦点が合わさり、魅力的な伝え方を考え抜いていますでしょうか?