私の大好きな経営者の一人「鈴木敏文氏」は、【「お客様のため」ではなく「お客様の立場」で考えろ!】とよくおっしゃっています。
20代後半の頃でしょうか。
私が情報システムの営業マン時代にこの言葉に触れた時、ズドンと胸を押されるような気分になりました。
当時社内で、「お客様のために仕事しなきゃ会社がダメになる!!」と吠えまくっていたからです。
「お客様のため?」
鈴木敏文氏いわく、「~ため」というのは、お客様に対して「これだけしているのに・・・」と憤りを抱きやすい”風土”として作り上げてしまうリスクがあると指摘していました。
自分の経験に基づいて、お客様はこうゆうものだ!と勝手に決めつけてしまい、不満をいったり、ニーズを読み間違えて商品が売れなくなったりすると、責任の矛先が自分自身ではなく、顧客や周りのスタッフに向いてしまう。
まさに、「お客様のために!」と御旗を立てて、深く考えることなく「パッケージソフト」売り、思うように稼働しないときは、顧客や導入指導員のせいにしていた自分に言われているよう気分でした。
その後、「お客様の立場で!」と考え始めると、似て非なる結果を得ることになります。
「顧客の立場で」というのは、自分の経験、思考をゼロベースにして、「私が顧客だったら・・・」と同じ目線で物事を見たり、ビジネスを組み立ていくことです。
その通り!!
と納得した私は、顧客の要望を聞きながら、その発想ならこうゆうやり方が他社では成功している!とか、その発想なら、もっと合理的にできると、意見を活発に出し合いながら、「カスタマイズ提案」や「受託開発」的な仕事の方向性に変えていった経験があります。
提案方式が変われば「客単価」が変わり、さらには「利益体質」で変わっていったのです。
私が「顧客主義」を第一に上げるのは、メッキを上塗りしたような「言葉だけの主張」ではありません。
利益体質を改善しながら、顧客の支持を集め、その実績をまた次の営業活動に活用していく・・・
んな好循環サイクルを作り出すための手段として「顧客主義」を中心軸に添えた方が、圧倒的な実績をあげられるという現場体験からくるものです。
そもそも「企業経営」とは交換価値を生み出していくことで存在意義が保たれます。
これは経済活動の血液である「お金」の存在意義を考えれば、よくわかります。
広辞苑で「貨幣」の意味を調べると「価値尺度」「流通手段」「貯蔵手段」、この3つが貨幣の機能であると明記されています。
「数字という明快な尺度を持たせること」(=交換に客観性を持たせる)
「持ち運びが楽チンで、製造から使用までが能率的におこなえること」
「腐ることなく、価値が消滅しないこと」
つまり、お金というのは「合理的な交換手段」を生み出すために作り出された存在であることがわかります。
物々交換の時代にまで、さかのぼって考えるとよくわかりますが、交換価値を裏切るような人は、取引の場から追放されます。
適正な交換・・・これが持続的な企業成長の礎となることは、本質から考えればしごく当然のことだと思うのです。
ただし、1点注意をする必要があります。
それは、同じものを受け取っても、ある人は「満足」するけど、ある人は「普通」最悪は「不満足」を抱く。
買い手が異なれば、交換価値の評価もぶれてしまう事実はキチンと認識しなくてはなりません。
当然といえば、当然の事なのですが・・・ここを深く熟考して「営業手法」に落とし込めている企業はごくごく稀です。
そう、事実から逆算すると、交換価値を適性に創りあげていくためには、のべつくまなく消費者と向きあっていてはイケないという事がわかります。
面で考えるのではなく、点で捉えていき、ある層の顧客に対して徹底した交換価値を見出し、その層から圧倒的な「支持」を受ける。
その支持された事実を、まわりにいる層の見込み客に対して告知して「納得」による購買行動を意図的に創りあげる。
売り手の説得による購買行動は、交換価値にシビアな評価をするけど、「納得して購入した顧客」は、「交換価値」の高評価するもの。
こうして意識的、計画的に交換価値を引き上げることが、ブレない経営で利益をしっかりと上げていく最大のポイントになります。