とことん「本質追求」コラム第340話 なぜ営業マンの教育に限界があるのか?

 

 

 

「藤冨さんは、営業マンの教育には興味がないと、コラムでは言っていますが、本当は(営業マンの)可能性を信じていますよね!」

 

先日、クライアント企業さんとご一緒した酒席で、またまたコラムの話題が上りました。

 

先週のコラムで「属人的な要素に振り回されずに、仕掛けと仕組みで営業効率を上げる方が、賢明なる選択肢」との発言が冷たく感じた…とのことで、お話しする中で、ようやく真意が伝わったようです。

 

そもそも論として教育とは、「学びたい」「今の状況から脱したい」「成長したい」という意識なくして、成果に繋がることはありません。

 

良い教育者は、学ぶ必要性や、学ぶ楽しさといった学習の土壌づくりから根気よく伝えているように感じます。

 

しかし、これを仕事の現場に置き換えると、成果をあげる重要性や、成果をあげるために学ばなければいけないことを話し始めた瞬間に、社員は「圧力だ」と感じる風潮が社会的に出来上がりつつあります。

 

なので、土壌づくりが必要だと言っても、ここも下手に突くことができなくなっているわけです。

 

でも、社会的な風潮があるからと言って、すべての若者、社員がそうであるとは限りません。

 

私が関与している企業の若手社員と飲みに行く機会があった時は、必ずと言って良いほどこのような話をしています。

 

「みんなと同じようになりたかったら、自分にとって都合の良い社会的な風潮に流されれば良い。でも、自分が思い描く理想的な人生を見つけ、そのイメージ通りに過ごしたい。将来はバリバリ働き、人生を謳歌したい。と少しでも思うのなら、その他大勢に巻き込まれないことが大事。人の2倍努力して、人の3倍成果に対して忠実に生きることで、絶対に実力は伴ってくる」と言い伝えています。

 

このとき目をキラキラと輝かせて真剣に聞く若者には、私が今まで感動してきた書物などを伝え、少しばかりではありますが、成長の手助けをするようにしています。

 

そして、社内の飲み会に同席させてもらう機会があれば、商談の運び方など今困っていることの打開策を一緒になって考えるようにしています。

 

この姿を見た、クライアント企業さんの社長から「何だかんだ言って、藤冨さんは、人が好きだよね」と冒頭の感想を言われたわけです。

 

間違いありません。人の成長はとても感動的ですし、とてもワクワクします。

一人でも多くの人が成長へのモチベーションに火をつけて欲しいと願っています。

 

しかし、全体論として発想するときは、少々冷たく感じるかも知れませんが、前回のコラムで主張した通り、属人的な要素に振り回されずに、仕掛けと仕組みで営業効率を上げることに主眼を置いています。

 

万が一、クライアント企業さんの営業マンが全員いなくなっても、影響を軽微に留め、再生できる「仕掛けや仕組み」があったほうが、現在においては重要な資産であると私は捉えているからです。

 

その他大勢から脱して、自己実現を図ろうと努力する人材は、多くても全体の2割程度だと言われています。

 

おそらく私がこのコラムで発言している信憑性よりも、テレビで伝えられている価値観、世界観の方が、絶対的に信頼をされています。

 

でも、テレビなどで作り上げられた価値観は、本当に今の人たちを幸せにするのでしょうか?

 

私には、甚だ疑問が残ります。

 

「今の若者たちは、義務を果たす前に、権利ばかり主張する」

「自分の成長につながる残業さえも放棄して、刹那的な生き方から脱しきれずにいる」

 

なんて、言われていますが、これだけテレビで「パワハラ」だとか「ブラック企業」であるとか毎日毎日宣伝されると、どうしたって働き手は被害者意識が植えつけられてしまうものです。

 

もちろん、暴力的なパワハラは論外ですが、なぜ長時間労働が過労死につながるのか、私には理解できません。

 

こんな発言をすると炎上しそうですが、私には、どうしたって理解できないわけです。

 

先日、たまたまついていたテレビ番組で、1日12時間昼飯も食べずに筋トレをし、ダンベル100kgを1000回/1日あげていた、事実上世界記録を持つ槍投げの選手が紹介されていましたが、人間は自分の目的達成であれば、何時間没頭しようとも死なないはずです。

 

問題は、長時間労働ではなく、人生の過ごし方と、仕事に対する向き合い方が乖離してしまっていることにあると私は感じています。

 

少し話が脱線してしまいましたが、世の中の風潮で「労働は悪である」そこまで言わなくても「労働は飯を食うための作業時間である」という空気感が醸成されている限り、仕事を通じての成長を目指す人は少数派になるはずです。

 

その少数派を見つけたら、出来うる範囲での成長促進に力を貸しますが、世間の風潮に流されている人たちの意識を変える能力も時間も、残念ながら私には持ち得ていません。

 

だから「属人的な要素に振り回されずに、仕掛けと仕組みで営業効率を上げる方が、賢明なる選択肢」という主張をしているだけです。

 

御社には、仕事を通じての自己成長、自己実現に邁進している若者は、何割位いらっしゃいますでしょうか。