「印象改善のコラム面白かったですよ」
先週のコラム「第338話 営業利益率が高い会社は「印象改善」に力を入れている」を読まれたクライアント企業の社長さんから、酒席でコラムの感想をお聞かせ頂きました。
もっと営業効率を上げる方法を掘り下げて教えて欲しい!と盛り上がったので、コラムでも共有することを前提に整理してお伝えしてきました。
その内容をみなさまにもシェアしたいと思います。
営業効率を上げるには、主に3つのアプローチがあります。
一つ目が「ターゲットを絞る」
二つ目が「商品の見せ方を突き詰める」
最後が「見込客発掘から受注まで導線を整備する」
この3つのアプローチになります。
一つ一つ解説していきましょう。
まず、一つ目の「ターゲットを絞る」ことが何故「営業効率」に繋がるのか?
その理由を解説したいと思います。
ターゲットを絞ると、顧客に与えるメリットが具体的かつ明快な表現で伝えることができます。
抽象的な表現で顧客メリットを伝えると、商談相手は、そのメリットを歪曲して捉えたり、そもそもイメージすることすら出来ない人が圧倒的大多数だと思ってください。
イメージをすることが出来なければ、人は興味・関心を抱くことが出来ません。
メリットをメリットとして理解できないからです。
よく売れない商品のホームページやチラシを見ると、売り手がその商品の特徴的なことしか書いていません。
売り手は、自社商品のことを理解しているから、きっと商談相手もわかるだろう!という思い込みをしていますが、それは乱暴な発想です。
買い手は、買い手の言葉しか理解してないものと認識して、懇切丁寧に伝えることが大事です。
つまり、お客様が自分自身にとってのメリットをイメージできる様に噛み砕いて伝えることが大事で、その結果、購買意欲が喚起されるわけです。
これがターゲットを絞る最大のメリットとなります。
また、営業マンの活動においても、同じ客層は同じ欲求や課題、問題などを抱えていることが多く、商談において「刺さる言葉」の共通化が図りやすくなります。
この商談シナジーは、売れている営業マンが、さらに売れる様になるカラクリでもあります。
さらに言うと、他のお客様がなぜ当社商品を購入したのか? という事例を商談相手に話すことで、受注が促進された経験のある人は多いと思いますが、ターゲットを絞ることで、同じ穴のムジナ(他のお客様)の実例が豊富になっていきます。
結果、商談の効率は、飛躍的に上がることとなります。
次に二つ目の「商品の見せ方を突き詰める」ことで営業効率が上がっていく理由をご説明しましょう。
思う様に売れていない商品のセールスアピールを分析すると「相対的優位性(当社にしか謳えない特徴)」が浮き彫りになっていなかったり、顧客の購買心理を刺激する“言葉”が使われていなかったりします。
相対的優位性を一言で表現すると「強み」になります。
強みを浮き彫りにするには、顧客が受けるメリットで競合をチェックすることがポイントになります。
例えば、健康茶であれば、その健康茶から得られる顧客メリットが「ダイエット」なら、ダイエット関連の類似商品と比較して、相対的な優位性を浮き彫りにするわけです。
お客様は、お茶を購入しているのではなく、「ダイエットに効果的な何か」が欲しいだけなのですから。
この相対的な優位性を探るプロセスの中で、セールスアピールが研ぎ澄まされていきます。
結果、商談効率、営業効率が上がるというカラクリになります。
最後に三つ目の「見込客発掘から受注まで導線を整備する」と営業効率が上がるのは、言って見れば当たり前なのですが、受注を増やすには、見込客集客をいかに増やすかが鍵を握るわけです。
一時期流行した「2ステップマーケティング」など、商品そのものの問い合わせを増やすのではなく、まず関心のある人を集める仕掛けを作り、その集まったリストに対して、ゆっくりと営業を仕掛けていくなど「集客モデルの見直し」を図ることで、俄然商談効率が上がっていくものです。
クラウドファンディング、オンラインサロン、動画セミナーや勉強会の開催などなど、商品や顧客属性に合わせた「集客モデル」の企画をすることが肝心です。
また「販売現場の見直し」を一考してみると、面白いほど営業効率が上がったりもします。
ターゲット市場によく出入りしている業者を新たに販売代理店として募集するとか、一般客がターゲットであれば、販売店の業種や売り場そのものを見直すなどのアプローチになります。
拙著「営業を設計する技術」でも取り上げましたが、パンにかけるスパイスを「調味料売り場」から「パンの売り場」に変えただけで、売上が7倍以上も伸びた事例などを見ると、その重要性をご理解いただけると思います。
上記以外にも、営業効率を上げるのですから、当然「営業マンの育成」も大切になっていきます。
しかし、営業マンの教育には限界があります。
営業は、経理や製造の仕事と異なり、一定のスキルを身につければ成果に結びつくわけではないためです。
メンタル力は、内発的な動機付けがない限り、教育では上がらないこと。
営業は、お客様や商品そのものや会社自体を愛する力が営業成果と繋がりやすいのですが、愛する力は教育では醸成できないこと、などがその根拠です。
従って、属人的な要素に振り回されずに、仕掛けと仕組みで営業効率を上げる方が、賢明なる選択肢となります。
御社でも、営業効率を上げるアプローチを企ててみませんか?