「先日のコラムは、とても面白かったです。 競争優位性を保つために“自社商品の利用者を視察、観察、洞察をし続ける大切さ”は、まさに!と膝を叩いてしまいました」
先週のコラム「業界トップの社長目線」を読んだ社長さんが、今まさに社員に対してハッパをかけているところだ!とお話しされていました。
同社も、業界では常にベンチマークされているセンスのある会社です。
やはり、強い会社の社長は、共通点があるものだとつくづく感じました。
ただ、同社の社長も、このテーマに対して1つ頭を抱えていらっしゃいました。
と言うのも、観察力や洞察力は、個人のセンスに依存していて、社員全員に伝えても「馬の耳に念仏では?」とおっしゃるのです。
そこで、このセンスをどう磨けば良いか? という会話に展開していったので、私なりのアプローチをお伝えしたところ、早速社内でやってみよう!と盛り上がりました。
どう社員に観察力を持ってもらうのか?
全員とは言わずとも、一人でも多くのアンテナの立った人材を育てていくには、どのように観察力、洞察力を磨けば良いのか?
あくまでも「ビジネス」に限った話ではありますが、その「観察力を磨くアプローチ」を皆さんにもお伝えしたいと思います。
私は仕事柄、よくクライアント企業さんの営業会議や役員会議に参加をさせてもらっています。
誰かが発表をし、何か質問がなければ、どんどん話が流れていってしまうなか、鋭く質問をする人、全く気がつかない人、そもそも傍観者のようにただいるだけの人がいる、彼らの違いは何だろうか? とそれこそ興味本位で洞察したことがあります。
鋭く問題を提起する人と、そうでない人の違いは何か?
これには、ある共通点があることを見出しました。
その共通点とは、「あるべき姿」や「理想的なあり方」を自分なりに持っている…ということです。
もちろん、そのあるべき姿や理想的なあり方が、世の中とズレていたら問題ですが、それでも傍観者になるよりは全然マシだと私は感じています。
「あるべき姿」や「理想的なあり方」といった「前提」があるからこそ、差に気づくことが出来、議論し、行動修正に繋げていけるからです。
前提が間違っていたら、その前提を正せば良いだけ。
何も問題視されずに、スルッと抜けてしまう方が、よほど組織に弊害をもたらしていることに気がつくべきだと思うことがしばしばあります。
これは、営業活動やマーケティング・事業活動においても、全く同じ概念で捉えることが出来ます。
「顧客のあるべき姿」を知っていなければ、良い企画・提案・営業などの事業活動が出来るはずもありません。
「理想的なあり方」があるからこそ、現状と理想の差を埋める「商品・サービス」が存在するわけです。
観察力と言うと、「(現状を)見る力」だけにフォーカスされがちです。
しかし、「見る」だけでは、ただの現実、たまたまの事象、目についただけの風景でしか映りません。
冒頭の会議で鋭く質問ができない人は、ただ見るだけ、聞いているだけに過ぎないからこそ、スルーしてしまうのです。
会議であれば、別に構いませんが、これが商売となったら、事業チャンスを失うことに繋がる重大ごとです。
この感覚なくして、儲かる事業を育てることはできないハズです。
実際、社内でいちばん売上を上げている営業マン。
もっとも業績に貢献している企画マン、マーケッターは、皆「顧客のあるべき姿、理想のあり方」を熟知しています。
なぜなら、彼らは、理想と現実を埋めることで商売が成り立っていることを、本能的に理解しているからです。
もし、そのような社員が不在であれば、早急に一人でも二人でも育てるべき。
トップが、想定される対象者を呼び出し、「我が社の想定顧客のあるべき姿や理想のあり方は何だろうか?」と問い続ける場を作ることで、発掘のチャンスを作り出すほかありません。
そして、可能性のあるメンバーを選りすぐって、定期的に集まってディスカッションすることが出来れば、着実に会社の成長を促す人材に成長してくれるでしょう。
大切なのは、そのディスカッションのテーマになります。
- 顧客のあるべき姿や理想の姿は、何か?
- 想定顧客の現状は、どの程度かけ離れているのか?
- 想定顧客は、その差に、不満や不快、問題点に気がついているか?
- 当社の商品・サービスは、現状と理想の差を埋めるために最適な手段と顧客の目には映るのか?
- 顧客の抱えた問題点を解消するために、適正なコストで提案できるか?
この5つのテーマを潜在意識に擦り込むように問い続け、議論し続ければ、必然的に観察力、洞察力は磨かれていきます。
そして、その磨かれた「視点」で事業を捉えていけば、事業の成功確度もこれまた必然的に上がっていくことは間違いありません。
冒頭の社長は、早速毎週1回の定期ミーティングを開かれるとおっしゃっていました。
言い出しっぺとして、私も参画することになりましたが、どこまで事業センス・営業センスが向上するか楽しみです。
御社でも、ぜひトライしてみませんか?