「営業は体育会系のノリしかないと思っていましたが…結構科学的なのですね。今回のコラムに書いてあった管理手法は、ぜひ取り入れてみたいと思いました」
前回のコラム「第251話 着実に営業力を高めていくマネジメント手法」を読んだ方から、当社もコンバージョン率管理を取り入れてみたい…とのご連絡が入りました。
波及営業における『拡げるステージ』で取り入れると非常に効果的なマネジメントとなるので、ぜひ!と、ご推奨はしたのですが…
どうもご相談メールの文脈が気になったので、一度電話でお話しすることになりました。
というのも、数値管理ばかりに焦点が当たっていて、肝心要の『仮説づくり』があまり重要視されていないように感じたからです。
コンバージョン率管理で重要なのは、数値の羅列ではありません。
また、テレアポのアポ率は1%、DMの反応率は0.03%、ホームページの転換率は5%…などといった平均値と見比べて、安心したり落胆したりするためのものでもありません。
それらは、ある通過点の目安にしか過ぎないからです。
重要なのは、何を考え、どう行動したか…。
その結果をどう評価し、次の新しい仮説を考え出す為の反省材料として活用するか…
つまり、コンバージョン率管理の存在価値は、ただ一つ。新しい仮説を生み出す源泉として捉えることで、「成果を出すための仕組み」として機能し始めるのです。
前回も書いていますが、一寸たりとも聞き逃しては成果には繋がらないので、繰り返します。
新しい仮説を考え出すために…コンバージョン率管理を行うのです。
決して、管理者が部下の評価を下す為の指標ではないということです。
もちろん、そういった「使い方」も出来ます。
しかし、重要な根底に横たわるものを軽視している限り、やらない方がマシです。
個人的に、仕事のための仕事をするのはムダにしか思えません。
仕事は、あくまでも成果に結びつけるものであり、結果、顧客や社会がよくなるための活動のはずです。
コンバージョン率管理もまさにそう。
自社のセールスというコミュニケーション活動を常に見つめ直し、一人でも多くの顧客を満足させることを最終目的と位置づけるべきです。
素通りしてしまった人や企業。
そもそも、我々の前を通過すらしなかった人や企業。
こういった「見込客」にすらならない顧客に、気づきを与え、興味・関心を引き出し、顧客となった際に、互いに喜び感謝しあうために、コンバージョン率管理はあります。
どういうことか…
ひらたく言うと、一つの意図した仮説を当てることに先ず焦点を絞り、少しでも反応があったら、それを徹底して増幅する活動に焦点を当てることが、コンバージョン率管理を行う目的にあるのです。
ちょっとイメージが伝わりにくいので、実例を交えてお話します。
例えば、ホームページでの問い合わせが現在0.5%しかないとします。
アクセス解析で分析すると、滞在時間10秒以上の人が97%も存在する。
この数字から読み取れることは、「知りたいこと、買いたいものとホームページの内容が違っていたので、店には入ったけど、すぐに出てしまっている…」という現実が想定されます。
ここで仮説を立てます。
我が社の商品に興味を持ってくれる人は、どんな検索キーワードをGoogleに打つだろうか…。
そのキーワードを入力した人は、どのような心理状態にいるだろうか…。
何に困り、何に欲求を喚起され、何に対して渇望しているのだろうか…。
そうした「顧客心理」を読み込み、どうやったら反応率をあげることが出来るのか…「新しい仮説」を立て、ホームページの内容を改修していきます。
改修して1ヶ月。
また、改めてアクセス解析をしたら、滞在時間10秒以上の人が、90%に減り、問い合わせ率は、1%と倍以上に改善。
この仮説は“当たった”わけですから、「ある目的を持ち、あるキーワードで探している人達が沢山通る“道”をもっと探し、お店(ホームページ)に入ってくれる人を増やせば、必然的に売上は上がっていくのです。
つまり、一旦「売れる店(ホームページ)の仮説」が立証されたのなら、もっと投資をして一等立地に出店をするなり、もっとより良い店作りをすればよいわけです。
ホームページであれば、広告投資にアクセルを踏み込み、ホームページを見てもらう人を増やしてもらったり、ホームページのコンテンツをより充実させたりすれば、必然的に売上は上がっていくものなのです。
面白いもので、1%のコンバージョン率は、市場を変えない限りは、変化はしませんから、見てもらう人を増やせば増やすほど、問い合わせ率なり、売上なりの数値が向上していくわけです。
これが、コンバージョン率管理をし続けると、増幅する作戦…つまり売上拡大策に必要な投資が何のためらいもなく出来るようになるのです。
なんでもそうですが、カタチにとらわれると仕事の仕事となりがちです。
カタチにとらわれている限り、成果に繋がる仕事は出来ません。
何の為に、そのカタチが必要なのか?
どうしたら成果に繋がるのか?
その追求心があってこそ、成果に繋がる仕組みが出来上がるのです。
御社では、モノゴトのカタチにとらわれず、成果に対して執着心を持った姿勢で仕事に取り組んでいますでしょうか?