「なかなかコレ!と言った新規事業のアイディアは、社内から出ません。 一度社内のプロジェクトに入って見てもらえませんか?」
セミナーにご参加いただいた社長さんからは、毎回こういったご依頼が必ず3〜4件はあります。
「売る!という視点から商品のあり方をもう一度見直したい」
「社内だけだとモノの見方が硬直的になってしまう」
「アイディアを生み出す思考プロセスそのものを学びたい」
そういったご要望からの依頼ですが…
次なる一手となる「新商品」が、勝負所であればあるほど、手前味噌ではありますが、マーケットとの対話にこなれた外部視点を入れた方が成功確率はグンと上がります。
私の場合は、上手くいかなかった案件のテコ入れが殆どなので、できればまったくのゼロの状態から新規事業の立ち上げができれば…
と思う事がしばしばあるから尚更声を大にして言いたい。
というのも、新規事業のアイディア出しにおいて、最初の一歩からズレてしまっているケースが多々見受けられるからです。
これまで私が見て来た経験値では、新規事業のアイディアを生み出すプロセスは、大きく分けて2種類のタイプがありました。
1つは、考えうる限りの情報をすべて集め、準備万端の状態からアイディアを絞り出すタイプ。
もう1つは、情報を集めている途中から、閃いたアイディアで、どんどんプロジェクトを推進してしまうタイプ。
どちらの方が、成功確率は高いでしょうか?
キレイに分けて評価することは出来ませんが、経験則上では後者の方が成功しているケースが多いのです。
「全社の情報を全て集めてから検討する方式」は、皆で仲良く考えよう!的な空気から生まれやすく、責任の所在も不明確になりがち。
コンサルティング会社が入ったケースなどは、ほぼ100%この「皆で考える的」な方式が採用され、「情報は漏れなく集めないとチャンスロスが出る」という立て付けのもとに、いかにも正しそうに進められていきます。
で、失敗すると「市場データや検討したプロセスは正しかった!」など意味不明な言い訳がまかり通っていたりしている…。
ハッキリ言いますが、言い訳が口から出た時点で、失敗は確定。
プロジェクトは確実に墓場へと向かいます。
なぜ、データを漏れなく集めてから検討する方式が、失敗しやすいかというと、そもそも論として、決断する勇気、責任を取る勇気が欠如しているケースが多いからです。
責任を取ろうとすると、道の途中でコケそうになっても、死にものぐるいで活路を見いだそうとします。
この根性が生まれないのが「漏れなくデータを集めてから検討する方式」の最大の欠点です。
確かに、チャンスの幅は広がったり、見えなかったチャンスが首をもたげたりするメリットはあります。
教科書的にも、関連する情報をすべて洗い出してからアイディア出しを行うことが「正」と説かれています。
なので、全否定はしませんが、情報を漏れなく収集してから検討しよう…という発想は、最初から言い訳が入り込む余地を作っていることが往々にしてあり、注意が必要です。
片や、情報を集めている最中に閃いたアイディアで、どんどん次なるビジネスプロセスに事を運ばせるプロジェクトもあります。
その後の情報収集は、「仮説が本当に正しいかどうかの検証」のために行われ、決して「言い訳材料」を集めるような作業には終始していません。
直感で仮説を立て、データで論証する進め方です。
こういったケースは、強いリーダーシップのもとでプロジェクトが進められるので、高い確率で成功しているケースが多い。
なぜか?
その理由は、冒頭にも書いた通りに、道の途中でコケそうになっても、死にものぐるいで活路を見いだそうとするからです。
それと、大事なことは、人間のもつ「直感力」を大事にしていること。
成功した創業者を見れば一目瞭然ですが、ほぼ100%直感力で事業アイディアを推し進めています。
直感力には下地となる経験と事業センスが必要ですが、正直言って、これなくして成功するのは、非常に稀です。
完璧なSWOT分析などの立派な分析シートなどより、事業はセンスと執念が成功のカギを握ります。
御社では、新規事業を立ち上げる際に、考えうる限りの情報をすべて集め、準備万端の状態からアイディアを絞り出すよう、プロジェクトを導いていますか?
それとも、多少の情報不足があっても、直感を大切にし、リーダーが強い責任をもってプロジェクトを推進しようとしていますか?
新規事業の成功は、最初の一歩で決まります。