「今回の人工知能の話は、とても面白かったです。でも具体的にどう活用できるのか全く検討もつきません。何かヒントをもらえますか?」
前回のコラム「第196話 人工知能が経営に与える影響を予測していますか?」を読んだかたから頂いたご相談ですが…
漠然としたご質問だったために、個別のご回答ではなくコラムにてご回答させて頂くことになりました。
人工知能をどのように活用できるのか?
また人工知能は自社にどのような影響を与えるのか?
その答えをたぐり寄せるためには、人工知能の持つ特徴から推測していくしかありません。
それに安直に答えを求める態度より、思考ロジックを知った方が後々役に立ちます。
答えは1個ではありませんし、社会の進展と共に、どんどん新しい課題と答えが生み出されていくからです。
なので、人工知能が私たちにとって、どう利用できるのか?
まずはその特徴を知った上で自分なりの気づきやアイディアを生み出す思考回路を持つ為の藤冨なりのアプローチをお伝えしてみたいと思います。
ちなみに、申し上げるまでもありませんが、私は人工知能の専門家でも評論家でもありません。
クライアント企業さんに、効果的な営業活動を推し進めてもらう仕組みを導入・支援している営業コンサルタントです。
なので、あくまでも「営業活動や営業の後方支援のツールとして使えそうかも…」という特徴だけを抽出しています。
しかも、100%主観ですので、予めご理解・ご了承ください。
さて、人工知能の特徴ですが、私は大きく分けて3つあると考えております。
一つは、入力デバイスが人を選ばない、という特徴です。
パソコンは、私たちの仕事環境に大きな変化をもたらしました。
ソフトウェア産業、通信産業、ネット産業、通販など、新たな産業を生み出し、雇用創出も行ってきました。
が、人工知能はさらに爆発的な勢いで社会に浸透し、変化をもたらしていくと確信しています。
その気づきのひとつが、「入力デバイス」が人を選ばないことです。
パソコンは、キーボードが打てないと動きません。
でも、人工知能は、入力デバイスが「センサー」であったり、人の「目線」「声」「ジェスチャー」「体温や脈拍」など、何かとインプットしよう!とほとんど意識しなくても、目的にそった行動を起こし、結果を人間に与えてくれます。
人間が元来持ち得ている入力センサーは、舌、目、耳、鼻、皮膚などがありますが、これらのほとんどの入力センターは、既に機械として高度に出来上がってきています。
使う人や場面を選ばない … これは市場の広さが爆発的に広がることを意味しています。
商談同行ロボットなんかが出来て、飛込み営業直後にアドバイスをしてくれたら面白いでしょうね。
私もやってみたいです(笑)
二つ目は、答えを導く方程式を知らなくても人工知能を利用できる点です。
今のパソコンは、パワーポイントで提案書を書く時にも、図の書き方、文字の挿入の仕方、色の付け方など、ソフトウェアを使いこなす為の知識が必要でした。
エクセルで計算するにも、公式や関数を知らなくてはなりません。
この「使い方」を学ばなければ、活用はできない代物だったのです。
ところが、人工知能は、このプロセスの大半を不要にしていきます。
例えば、手書き文字をデータ化するためのプロセスでは、人工知能が経験値を踏めば踏むほど、認識精度は向上していきます。
また、文書や言語を学習する技術も進展し、その影響・結果の情報も蓄積することで、予測機能を持つことも出来ます。
途中の計算プロセスを知らなくても、何かのインプットをすることで、答えを出したり、予測したりすることが出来るのです。
実務ベースで例えてみると、ホームページの効果を高める為には、今の状態を監視して、その監視結果を人間が読み込み、「どうすればもっとホームページから問合せや注文が増えるだろうか?」と思考する必要がありました。
道具を使いこなす知識と、結果を解釈して、改善策を創造する能力が必要だったのです。
ところが、今このサイトの効果測定と改善提案を人工知能が自動的に行ってくれるサービスまで登場しました。
Googleのアクセス解析システムと連動して、改善テーマを教えてくれる「AIアナリスト」なるサービスです。(導入したばかりなので、まだコメントできるレベルにありませんが、これがAIアナリストです→https://wacul-ai.com/)
人工知能は、判断する要素(特徴)を抽出し、そこにデータを蓄積して、結果との関係性を学習させることができれば、最適解を瞬時に出力してしまいます。
しかも、学習をし続け、より高い精度の最適解を導き出せる様、自ら進化していきます。
人工知能が多くの職業において人間の力を無力化すると言われていますが……営業や販売の世界においても、その片鱗がもう既に見え始めています
たしか、本日からでしょうか?
2016年3月より、伊勢丹で人工知能をつかった婦人服の提案が導入されると新聞に書いてありました。
店員さんよりも、的確に提案して購買に繋がるとしたら……今後の行方に目を離すことができません。
そして、最後の3つめは、結果を受け取る側の心理に特徴があります。
上記の改善提案も人間が行うと、指摘する人間性の好き嫌いによって受け入れられたり、受け入れられなかったりすると思います。
でも、人工知能なら感情がありません。
多くの人が素直に受け入れるのでは?と私は感じています。
となると…
営業マネージャーやトレーナーの存在自体が危うくなるのでは…と感じてしまいます。
このように3つの特徴を抑えるだけでも、何が出来るのか? どのような影響を受ける可能性があるのか? を創造するキッカケを得ることができます。
御社にとって、人工知能はどのような影響を与えるのでしょうか?
今から、自社への取り組みを意識し、匂いを感じたら即行動に移すことで、とても刺激的な未来が開けてくるかも知れません。