とことん「本質追求」コラム第193話 新事業分野を成功させる意思決定のあり方とは

 

 

 

「既存事業の先行きが不安になりまして…次の事業分野を探しているのです」

 

社運を掛けた商品をヒット商品に育てる…というタイトルでセミナーを行っているために、藤冨にご相談頂く9割以上の方は、既存事業から脱却を図ろうとしている企業ばかりです。

 

その中でも、最近顕著なのが「下請け企業」または「部品メーカー」による業容拡大プロジェクトのお手伝い。

 

  • 制作会社の販路拡大プロジェクト
  • 部品メーカーの販路拡大プロジェクト

他、板金メーカーの自社ブランド商品育成プロジェクトなど、様々な業界で“新しい取り組みによる売上拡大策”に携わってきました。

 

アンゾフの成長戦略を持ち出すまでもなく、新しい取り組みによる売上拡大は、新商品を作るか、新しい販路の開拓が主になります。(多角化や市場浸透は割愛します)

 

どのような新商品を作れば儲かるのか?

どのような販路を開拓すれば儲かるのか?

 

とてもシンプルな選択肢ですが、それこそ社運の明暗を分ける重要な意思決定となります。

 

意思決定次第では、事業を大きな飛躍に導くこともあれば、逆に停滞させてしまうこともあります。

停滞している期間は、一般管理費で最も重たい人件費が有効活用されずに、利益をひっ迫させてしまいます。

 

言葉遊びは好きではませんが「人材」を「人財」として活用できるか否かは、経営者の戦略策定と行動指針に深く根ざしていると言うことにも繋がるわけです。

研修講師が社員を研修したところで「人財」になんかなりません。

 

社長の意思決定こそが、「人材」を「人財」へと昇華させるのです。

 

例えば、部品メーカーさんが高収益企業へと移り変わるための道筋をデザインするケースがわかりやすいと思います。

 

部品メーカーは、付加価値の低いために収益確保が厳しい現実に晒されています。

 

これはスマイルカーブと呼ばれているグラフです。

2016.2.2_スマイルカーブ

出所:総務省「総務省「情報通信産業・サービスの動向・国際比較に関する調査研究」(平成24年)
図を見るとわかる通り、部品メーカーに留まっていては、収益性が低いままの事業を強いられることになるので、脱却の道を描かなければなりません。

 

道は、冒頭に記述した通り「新商品を作るか」または「既存商品を別の販路に展開」するかのかの、どちらかです。

 

このどちらかの意思決定に際して、成功する経営者と、停滞する経営者の思考回路には、ひとつの違いがあることを私は経験上から知っています。

それは…

成功する経営者は、現実を構造で捉えている人。

停滞する経営者は、現実を現象で捉えている人です。

 

構造で捉える人は、「なぜそうなっているのか?」を深く洞察しようと努力を怠りません。コストと時間をかけて、次の打開策を練る為の素材集めを入念に行うのです。

有識者のアドバイスにも素直に耳を傾けています。

 

人の意見を素直に聞くというよりは、現実を素直に捉えていくこと…つまり構造的に理解することに素直になっているのです。

 

そして、現実を構造で捉えたら、どこをどう対策すれば良いかを的確に考え、行動し続けることで、成功に導いています。

 

逆に、意思決定をしくじり、停滞を余儀なくされる経営者は、現実を捉えることを軽視して、必要な対策を見落としてしまうケースが大半なのです。

 

御社では重要な意思決定に際して、現実を構造的に理解し、それに対して的確な行動プランを策定するために、充分なコストと時間をかけていますでしょうか?