とことん「本質追求」コラム第161話 なぜ「強み」を打ち出すのか?その5つの必要性とは…

「この商品の強みは何でしょうか?」

 

とある会社で始まった「新商品販売活性化プロジェクト」。

冒頭にプロジェクトメンバーに問いかけると、みな頭に「?マーク」が浮かび、会議室が静まり返ってしまいました。

 

実は、このようなケースは珍しいことではありません。

意外にも多くのプロジェクトで見られる光景です。

 

しかし、これはある意味、仕方のないことかも知れない…最近そう気づかされました。

と言うのも、なぜ「強み」を明確にしないといけないのか?その「必要性」がよくよく考えてみると漠然としていたからです。

 

 

「強み」を明確にする必要性…

私は、5つのポイントがあると考えています。

 

まず1つ目は、「営業マン自身の士気を高める効果」があるためです。

 

人間面白いもので「勝ち戦」だとわかると、持てるチカラを存分に発揮できます。しかし、負けるかも…と心が窮した瞬間、潜在能力の扉は閉ざされ、チカラを発揮できなくなります。

飛込み営業をするとよく実感できますが、一日中歩き回り1件もアタリがないときは、凹んでしまうものです。「もう帰ろうか…」と。

でも、心の中で「勝ち戦」がある…という事を信じているだけで、あと1件だけ…と飛び込んだ先で「初訪即決」があったりするものなのです。

 

心が折れて帰った営業マンは、翌朝も「ダメかも…」という心理状態になりやすく、チカラを発揮できません。

逆に、最後の最後で契約を勝ち取った営業マンは「今日も決まるはず!」と、勢いづくものです。

組織に置き換えても同じことが言えます。

「我々は勝てるんだ!」という士気を醸成しておくことは、非常に重要です。

そのためにも「強み」を明確にし、組織で共有し、勝てる空気を作っておく…これが一番目の強みを明確にする必要性となります。

 

第2に、内観による分析力の向上です。

営業でもマーケティングでも、試行錯誤はつきものです。

実践に移した戦術がすぐに結果に結びつくことは稀です。

壁が立ちはだかったときに、壊せばいいのか、登ればいいのか、迂回すればいいのか…、その壁の性質を分析しなければ、的確な対応はできません。

営業現場でも、見つけ出した「セールスの切り口」が上手くいかないときに、感情的にならず「なぜ、なぜ…」と冷静に分析することが大切です。

冷静さを失えば、勝てるチャンスを見つけ出すことことすら出来きないからです。

 

 

第3に、刺さる言葉を発掘にあります。

強みを言語化することで、商品の売れ行きが大きく左右します。

・  お客様は、この商品の効用を理解できているのだろうか。

・  競合商品との「違い」を理解できているのだろうか。

・  コストパフォーマンスの良さを理解できているだろうか。

・  使う場面を明確にイメージできているだろうか。

・  受け取ったベネフィットが与える影響範囲はイメージできているだろうか。

 

強みから、もたらされる顧客へのメッセージを何度も咀嚼し、受け取ったであろう解釈を分析することは、ヒット商品に生まれ変えるための重要なターニングポイントとなります。

 

これも営業現場で「商談」という勝負をたくさん経験すれば理解できることですが、「言葉」ひとつで商談の風向きがガラッと変わることがあります。
大胆に発言すれば、「言葉」ひとつで売れるか売れないかが、決まります。
営業マンのトークに限らず、DMやホームページの「言葉(コピー)」をしかりです。

 

ホームページの言葉(コピー)を変えただけで、売上が2倍にも3倍にもなったケースを何度も体験してきました。

強みを言語化すること…。顧客接点においての最重要テーマだと認識することが大切です。

 

第4に、組織のビジョンが正しく導かれるようになります。

「カナヅチ」を作っている製造業は、顧客が「カナヅチ」を買っていると認識しがちです。しかし、顧客は「カナヅチ」が欲しいのではありません。

木と木を接着するために、釘を打ち込む道具が欲しいのです。

これはマーケティングの世界では、よく言われる概念です。

 

「カナヅチ」という製品を作っているのではなく、木と木をより良く接着する道具を作っている…と認識すれば、事業の捉え方が「顧客目線」に変わっていきます

顧客目線から離れた「強み」は、単なる自己満足です。

その延長線上に正しいビジョンが描けるでしょうか?

ありえない話です。

組織のビジョンを正しく描くためにも、強みを顧客目線で正しく認識する必要があります。

 

第5に、組織の誠実性を維持・発展させるためです。

顧客の満足とは、購入前の「期待」と、使用後の「実感」の差から生まれてきます。

購入前の期待よりも購入後の実感が上回れば「満足」する。

ごくごくアタリマエの話ですが、ここはもう一歩入り込んで認識しておく必要があります。

 

強みが発揮できない活動が組織に存在すると、顧客の期待に沿えないという現象がおきはじめます。

 

この事業をやっておいた方が儲るから…。

この事業は、シナジーが働くから…。

 

と自社都合で進めた事業が、顧客の期待に応えられず、顧客から見放されるケースほど怖いことはありません。

 

最前線で顧客と接している営業マンの士気にも影響してしまいます。

 

会社は、言うまでもなく社会の一員です。

社会に貢献し、その対価を頂き、その原資を用いて、さらに社会に還元していきます。

 

ものすごくアタリマエのことですし、釈迦に説法なことを申し上げるのは、恐縮なのですが……

 

強みを明確にして、それに沿った企業活動に集中することは、社会の一員であり続けるための「誠実さ」にも強く影響を受けることがわかります。

 

 

顧客の期待に、社会の期待に応えることが、会社の使命なのですから。

 

 

御社では、顧客目線にそった「強み」を真剣に考えたことはありますか?

 

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