「展示会専門のコンサルティングでも始めるのですか?」
4週連続して、展示会ネタのコラムを書いているためか、読者の方から「波及営業の次の新ネタですか?」というお問い合わせを頂いていました。
が、残念ながら答えはNOです。
私のセミナーにご参加頂く企業や関与させて頂いている企業の大半が「展示会」に出展しているためか、よくご相談頂くテーマだったので、書いたまでです。
読者の皆さんの中にも展示会に出展して、同じ疑問や悩みを抱えているかも知れませんし、これから出展してみよう!という方は、それなりの投資が必要なために予備知識を持って頂こう……というのが執筆している理由です。
と、言うのも「あの展示会は見込客が集る」とか、「あの展示会はショボイ」とか、売れた・売れない…という現象レベルで捉えることほど危険な発想はないからです。
これは、普段の営業活動においても同じ事が言えます。
「あのやり方は上手くいった!」とか、「あのやり方はダメだった…」という現象レベルでの評価をしている限り、浮き草のようにあっち行ったり、こっちいったりと戦略方針がブレてしまいがちになります。
「なぜ、うまく行くのか?」
「なぜ、うまく行かないのか?」
心理学的アプローチや、現象を構造的に捉える思考回路を、組織に定着化させていかない限りは、同じ過ちをムダに繰り返してしまいます。
営業マンが10人いて、一人当たりの30万円の経費がかかっているとすると、月に300万円、年間3600万円もの投資金額が、効果的に使われないことを意味する計算になります。
売れるには、必ず「理由」があります。
もっと言うと、成功した営業戦略というのは、モノゴトの構造が「理にかなっている」のです。
結果論で言っているのではありません。
逆算して、理にかなった方法論を他業界に転用して、うまく行くケースなんて山ほどあるのを知っているから申し上げているのです。
ただし、何度も言いますが、理にかなった方法を現象レベルで捉えている限り上手くいきません。
思うように結果が出ないと、スグに諦めてしまうからです。
よく「諦めないことが成功の最大のポイントだ」と言われていますが、私はこれを根性論だと思ったことはありません。
諦めない人は、「成功に至るまでの構造を理解しているので、あとは結果が出るポイントまでチャンネルを微調整していけば良い…」という真実を知っているからこそ、諦めないのではないでしょうか。
だからこそ、理にかなった方法を構造的に理解して、自社のケースでは…と思考回路を止めないことが大切なのです。
そこで導き出された「解」であれば、最初うまく行かないケースであったとしても、微調整を続けていけば必ずヒットしていきます。
時には、ホームランを打てるかも知れません。
そもそも、一発でバーンと上手く行くケースというのは、終息していくスピードも早いものです。
以前、私がお手伝いするのも恐縮するほど名経営者の方から「スグに上手くやり方を組織に落とし込まないで下さい。スグに結果が出ると萎むのも早いですから、じっくりと学習していける考え方を定着させて行きたいのです」と、言われたことがありました。
さすが…と思わず敬服したことを覚えていますが、やはり優れた社長が指揮したこのプロジェクトは、無事に成功裡に収める事ができました。
たまたま、チャンネルを合わせる回数が1回で終わってしまったので、組織的学習の意味をこめて次のプロジェクトもご一緒させて頂いたのですが、成功する社長の思考回路というのは、「自らが構造を理解しながら、同時に組織にも“その思考回路”を定着化させていく…」という流れを大切にされています。
構造的に正しければ、あとはチャンネルを微調整するだけ…。
これが諦めない思考回路の根源であることは間違いありません。
例えば、インターネットの広告なんかも「よく現象レベル」で捉えられていて、失敗に終わっているケースがあります。
いえ、失敗するまえに、失敗しているというのが正しい表現です。
『いまの時代は、ホームページからの問合せが大事だというのは分かっています。だから30万円ほどGoogleに広告をかけたのですが、問合せすらありませんでした…。ウチには合わなかったのですね』と。
ホームページを入り口とした営業戦術ほど、科学的・構造的に分かりやすいものはありません。
見込客が、知りたい・欲しい情報をGoogleに入力してくれているわけです。
いわば、「私が見込客です!」と手を挙げてくれている状態です。
テレアポや飛込み、ダイレクトメールなどと比較して、どれだけ「確度の高い見込客を見つけやすいか…」、これも構造的に見れば、よく理解できると思います。
それなのに、結果が出ないのは何故か…。
インターネットの世界は、商売が成り立つか否かの最初の尺度である「需要と供給」がわかります。
Googleが提供している「キーワードプランナー」というサービスを利用すると、例えば「エアコン掃除」と入力している人がどのくらいの人数がいるのか…と需要がわかるようになっています。
次に実際に検索をすれば競合状況も瞬時に掌握できます。
一社、一社、競合会社のサイトを分析すれば、自社の強みと弱みもわかります。
実際の実力なんて気にする必要はありません。あくまでもサイト閲覧者から見たら、ホームページに映し出されたページが、その会社の実力の全てなのです。
さらに、そのキーワードを入力した人が、どのような心理状態になっているのか?
その心理状態から、自社に問合せや商品購入を促していくためには、どのようなセールスプロセスを組み立てて行けば良いか…。
AIDMA理論などの「購買心理プロセス」と、自社のホームページの流れを見比べたときに、構造的に間違っていないか否かを検証していけば、成功するのかしないのか…は、構造的に掌握することができるものなのです。
・ 需要と供給
・ 競合他社との優位性
・ 顧客の購買心理
この3つの観点から見たときに、「成功するロジック」が成り立っているのに失敗しているとしたら、諦める必要はありません。
他社との優位性や購買心理のチャンネルを一つずつ合わせていけば、必ず成功にたどり着きます。
仮に、この3つの観点から「成功するロジック」が成り立っていなければ、別の方法で構造的に成功するアプローチを思考していけば良い訳です。
分かりやすい例としてインターネットの世界でお伝えしましたが、これはテレアポや飛込み、ダイレクトメールや広告活動など…すべての営業プロセスに同じことがいえます。
プロジェクトを成功させるためには「成功するための構造的理解」が必要不可欠です。
御社で進めているプロジェクトは、チームメンバー全員が、この「構造的理解」をした上で、進めていまでしょうか?