「まさか、ウチの商品がそんなところに売れるとは…」
高収益企業を目指すために、私がオススメしている営業法「波及営業」では、どのような価値が、どのような市場に最も歓迎されるか…という視点から市場を再定義していきます。
そのため最近では必ず、実際の営業現場を観察させて頂くステップを踏む様にしています。
と言うのも、既存顧客が実感した「使用価値」を掌握し、新規見込客にその「使用価値」がどのように認識されているのか…を肌で感じたいためです。
クライアント企業さんには、藤冨の名刺を作成して頂き、実際の営業現場に入って営業の方に同行させてもらうのですが、ここで多くのケースでは「この市場で勝負して本当に良いのか…」と感じ入るときがあります。
商品を売ろうという思考と、価値を売っていこうという思考とでは、まったく市場の見え方が変わってきてしまうのです。
敢えていうまでもありませんが、顧客は「価値」を購入しています。
商品を購入することで期待される「利益」「欲求の充足」「負の回避」などの「我が社が提供しうる価値」を購入しているのです。
子供靴市場でのヒット商品「瞬足」というブランドは、靴を販売しているのではなく、子供たちの“速く走りたい”という欲求を充足させています。
拙著「営業を設計する技術」でも取り上あげた「エアウィーブ」というマットレスは、寝具を販売しているのではなく、疲労回復という欲求充足への期待に応えています。
これはスポーツ選手などの身体が資本の人々にとっては欲求の充足を超えて「利益」にもなります。
航空会社のシートにも採用されていますが、航空会社にとっても差別化要素となり、これも「利益」に繋がっています。
このように単なる欲求の充足よりも、利益に繋がる方が「購買欲求」は強くなるため、提供しうる価値に焦点を合わせると「どの市場を狙うべきか…」という視点が変わってきてしまうのです。
そんな事は、耳にタコが出来るほど聞いているよ…
というおっしゃる方が多いのですが、いざ自社商品になると、どうも商品を販売しようとしているケースが多々見受けられます。
よく自社のことは良く見えない…とくに「強み」となる提供しうる価値を浮き彫りにすることは出来にくい…といいますが、これには理由があります。
自社にとっては「アタリマエ」のことでも、他社が真似しにくい商品の特徴、企業文化(習慣)、付帯サービスなどが「強み」となる提供しうる価値になるわけですが、アタリマエの事だからこそ、認識されにくいのです。
外部から営業視点で観察させてもらうと、これが良い意味での「違和感」と感じ、本来打ち出すべき「提供しうる価値」が浮き彫りになり、それであれば、この市場を狙うべきでは? という直感が湧き起こってくるのです。
クライアント企業さんをお手伝いする中で、まさかそんな市場に売れるとは思わなかった…。
いままで非効率的な営業を続けていたコストを考えるとゾッとする…。
と、おっしゃって頂くたびに、このように他社が真似しにくい商品の特徴、企業文化(習慣)、付帯サービスなどが「強み」となる提供しうる価値を見つめ直す重要性を強く感じ入らざるを得ません。
我が社が提供する「価値」に強い購買意欲を掻き立てられる市場と、そうでない市場とでは、営業効率に雲泥の差が出るのは、火を見るよりあきらかです。
その購買欲求に火をつける為の「メッセージ」の善し悪しで、営業成果に雲泥の差がでることとも、想像に難しくありません。
提供しうる価値を商談相手が認識するまでの営業プロセスを明確に定めた営業とそうでない営業では、受注獲得率に雲泥の差がでることは、紛れも無い事実です。
とてもシンプルなことですが、自社が社会に発信できる「提供しうる価値の再定義」は、「市場の再定義」へと繋がり、営業効率を飛躍的に高めてくれるのです。
とくに既存商品の活性化や、新商品開発の際は、この熟考が成否のカギを握ります。
『内側から見るとアタリマエだと思っていて、競合他社が真似しにくい当社が提供しうる価値』……御社では明文化していますか?