とことん「本質追求」コラム第118話 営業部隊の生産性向上は「量」がカギを握るのか?

「売上アップには、営業マンの行動量がカギを握っているのです。質的向上なんて現実的ではありません。行動(量)が質を向上させるのです」

 

このもっともらしい意見を未だに口に出しているコンサルタントが大勢います。

とくにSFAと言われる「営業支援ソフト」を販売するコンサルタントまたはそこにコバンザメのようにまとわりついている営業コンサルタント達は、口を大にしてその主張を叫んでいます。

 

主張すればするほど、SFAの必要性は高まります。
彼らも営業です。
必要性を高めて、販売の機会を増やすのは当然の活動です。

 

でも、SFAの必要性と、営業マンの行動を安易に結びつけて考えるのは、明らかに間違っています。

 

何も私はSFAを否定するつもりはありません。
むしろ営業活動の見える化は重要だと思っています。
テレアポ、飛込み、広告、DM、展示会、ホームページ…様々なキッカケから契約に至る「リード別売上高」の傾向分析。

初回面談から契約に至るコンバージョン分析。
とくにこの2つは、売上高アップの施策を練る重要な基礎資料を与えてくれます。

 

できればSFAは入れた方がいい…というよりは、しっかりとした根拠に基づく仮説は、経験を積めば積む程精度があがってきますので、営業部隊には必須アイテムとさえ思っています。

 

地図があって旅をするのと、なくて旅をするのとでは、目的地に到達する時間は雲泥の差が生じるからです。

 

ただ、私が違和感を覚えているのは、営業マンは「行動量が全てで、質はあとから付いてくる…」という主張です。

 

ハッキリ言いますが、それがデキるのは全体の20%以下のセンスあるトップセールスマン達だけです。

 

残りの80%以上の普通のセールスマンに「行動量」だけを増やしたところで、質など上がるはずがありません。

 

これは、営業マンの言動を現場で見れば一発でわかることです。

 

普通のセールスマンは、売れない現実を「外」の責任に転嫁しています。

上司の指導が悪いとか、パンフレットがダサいとか、価格が高すぎるとか、デザインが悪いとか…

売れない理由をつらつらと並べ立てます。

決して、悪意があってやっているわけではありません。

サラリーマンである以上「評価」が「給与」に影響を与えるので、自己防衛本能が働き評価に傷がつかないよう無意識に言い逃れをしようとしまっているのです。

 

自分でコントロールできない外部要因が影響して「売れない」「売りにくい」と思っている以上、それ以上実力も成績も伸びるはずがありません。

 

そんな彼らの活動量にメスを入れた所で本当に業績があがるのでしょうか?

 

逆にトップセールスマン、またはその資質をもった新人営業マンは、売れなかった原因を自分のコントロールができる部分に焦点を当てています。
「こんな準備をしておけば良かった」
「あのとき、もっとこう言えば良かった」
「説明の順番に問題があるかも」
「価格の見せ方に問題があるかも」
「テストクロージングに工夫をしてみよう」

 

など、改善できる問題を見つけ、解決できるであろう仮説を考えながら、仕事をしています。

 

このタイプの営業マンだけが「量」をこなすことで「質」を高めることができるのです。

 

もちろん、トップ20%の営業マンが80%の営業マンに対して、情報共有を行い、改善活動に全社的に取り組めば「量」が「質」を向上させることも可能かも知れません。

 

しかし、商談というのは、絶妙な空気感や雰囲気が商談の行方に大きく影響します。
残念ながら、この部分は「言葉化」できないために、情報共有は叶わないのです。

 

そう考えると、全社的な活動改革として「活動量」にメスを入れるのは、不毛な活動に心血を注ぐ行為となりかねません。

 

80%の営業マンを奮い立たせるには、「質」が上がれば、成果が出るということを実感させることが先決なのです。

 

つまり、明らかに勝ち戦につながる…という武器を手渡し「これがあれば私でも売れるかも…」という心理状態に持っていくことが大切なのです。

 

その上で、成功したら「質」を強化し、失敗したら「質」を見直すか、見せ方を見直して、士気の持続的向上に尽力する必要性があるのです。

 

藤冨が提唱する「波及営業」は、影響力のある顧客を獲得して、それを武器に営業を仕掛けていく技なので、必然的にこのロジックが出来上がっていきますが…

 

営業マンの武器というのは、何も「影響力のある顧客…インパクトユーザーの獲得」だけではありません。

 

「購買心理に沿ったカタログ制作」だったり…
「顧客の興味、関心を惹き付けるセールスブック」だったり…
「会議室に潜り込んだら他社を圧倒する提案書」だったり…

 

営業マンの人間的資質以外で、購入確率を引き上げる「ツール」は、すべて武器になります。

もちろん、これらの武器の破壊力をつけるためには、インパクトユーザーの存在は強力に働きます。

 

武器を磨き、武器の正しい使い方を訓練し続けること……つまり「質的向上」こそ、営業組織を最重要視しなくてはいけない視点なのです。

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