先週の木曜日に配信した号外メルマガ「廃業を考えました」をお送りした後、ビックリするくらいの反響を頂きました。
でも、本当なのです。
AIそのものだけでなく、周辺サービスの進化も想像以上に早くて、直視すればするほど恐ろしい世界が広がっているのです。
ボーッとしていると、藤冨の仕事なんて、AIにやらせても遜色ないよ…と言われかねないと本当に感じていました。
最先端を走る人工知能の研究者の話を聞くと、政治的な圧力がなければ、ほぼ全てのホワイトカラー層の仕事はAI に置き換わると言っています。
つまり技術的には、ほぼ全てのホワイトカラーの人間が不要になる世界が、すでに現実となっているというのです。
でも、この発言の逆を返せば、「ほぼ…」に組み込まれない「例外的な人材」になることが出来れば、AIの社会浸透に影響を受けることなく、生き残ることが出来ると言うことになります。
では、例外的な人材とは、どのような人材か…
平たく言えば、突き抜けた尖った人材や、一流の人材は、AIに置換されない人たちとなります。
AI(人工知能)は、ガリガリのカスタマイズをしない限り、平均的な回答を出力すると、AI研究者たちが答えている通り、コンピュータならではの特性を引きずっています。
つまり、無難で正確な回答を漏れなく出力することに長けているのが、生成AIの特徴なのです。
逆を言えば、研ぎ澄まされ、洗練された回答を出すのは苦手と言えます。
イメージしやすいよう、たとえ話で現実を捉えてみましょう。
例えば、スーパーで売られているパックの刺身に添えられたツマ(大根の千切り)は、爪楊枝(つまよう
じ)位の太さで白い糸状に切った大根ですが…
高級料理店にいくと、ツマは、繊維のように細く、透明でピカピカ光っています。
人間だからこそ、出来る職人芸です。
爪楊枝くらいの白いツマ程度しか切ることができない普通の職人は、無惨にも、機械に代替されてしまいした。
しかし、繊維のように細く透明で美しいツマを切ることができる職人は、一流店から重宝され、機械に代替されていません。
同じ道具(包丁)を、使っても似て非なる成果物を提供することが出来れば、レイヤーの違う世界で、充分に生き残れています。
ビジネスに置き換えてみましょう。
例えば、新規事業を草案するために「SWOT分析」を用いて、企画しようとします。
普通の人は、教科書で教わった通り、強み、弱み、機会、脅威を並べたて、それらしい分析をしてきます。
一方、SWOT分析という道具を使いこなした達人たちは、強みを表面的に捉えることはしません。
・その強みは、顧客の欲求を刺激できるのか?
・その強みは、顧客にとってどのようなベネフィットを提供するのか…
・顧客にとっての経済的な価値は、どの程度なのか…
などなど、マーケティング・営業施策にすぐさま移せるような思考力を働かせます。
決して、企画倒れに終わるようなアウトプットはしません。
売上・利益という結果から逆算した「企画」を出すために、たまたまSWOT分析という道具を使っているだけにすぎないのです。
SWOT分析だけではありません。
・ターゲットを考える
・ベネフィットを考える
・仮想敵をつくりだす…
と言った、商品戦略・営業戦略を企てるために必要な「思考力や構想力」も、一般的な考えから飛び抜けた発想力を働かせています。
名ばかりのターゲット選定なのか。
ちゃんと売上・利益に結びつくターゲット選定なのか。
理想上のベネフィットなのか。
それとも、見込み客が夜も眠れないほど気になるベネフィットなのか。
そのクリエイティブの違いが、「平均的な答え VS 先鋭化された答え」となるのです。
繰り返しますが、平均的で当たり障りのない企画レベルは、AIの得意分野です。しかし、実利に結びつく先鋭化されたレベルでの企画は、コンピューターは苦手分野だということです。
これは、藤冨の専門分野での気づきですが、法律関係や会計分野などAIに置換されると言われる代表的な職種でも、同じ構造で説明ができるはずです。
今後、生成AIの専門性がそれぞれ研究されてくれば、当然ながら先鋭化されたアウトプットを出してくるAI も出現しますが、それでも超真円の鉄球が機械では作れず、職人にしか出来ないことを考えれば、「極み」のレベルまでは、AIは追いかけてこないでしょう。
いずれせよ、AIの影響範囲を知りたいなら、メディアの情報に右往左往することなく、自分自身で体感してみることが大事。
孫子の兵法でも「彼を知り己を知れば、百戦して危うからず」
「彼を知らずして己を知れば、一勝一負す」
「彼を知らず己を知らざれば、戦うごとに必ず危うし」
と言っています。
また、知ると言う概念も、知識として知っていることと、体感として分かっていることでは、全く次元が異なります。
知識は実戦の場では役立たずですが、体得した知恵は、勝負の場で武器として使えます。
彼(AI )を知るために、チャットGPTを研究している人は、世界的にみても1%未満です。
と言うのも、オープンAIが発表しているAPI登録者は、まだ200万人しかいません。
全世界の生産年齢人口の約0.6%程度です。
(APIとは、平たく言えばアプリとアプリの連結パイプのような役割を担うものです)
藤冨も、自社HP とチャットGPT をAPIで繋ぎましたが、ガチでAIの可能性を探求している人は、まだまだ少数派。
でも、だからこそ、彼を知り、己を知るために、知的好奇心を持ってAIという沼に足を突っ込んでみるべきだと、藤冨は考えます。
まだまだ大丈夫でしょ…
と、悠長に構えたい気持ちも分かりますが、インターネットが社会に広く普及していった速度より、次元の違うくらい早く広くAIは、普及していきます。
それと同時に、日本の生産年齢人口は、これから急速に減少してきます。
働き方も多様化が進み、会社への忠誠心なんて、過去の美談でしかなくなります。
AIが、労働力として活用できる範囲とレベルを体得することは、変化対応力を身につけるための手段として欠かせなくなってきています。
「彼(AI)を知り、己(自分の職業)を知れば、百戦危うからず」だからです。
変化を怖がる必要はありません。
実際、藤冨もAIという沼世界にどっぷり足を突っ込みはじめていますが、逆に明るい未来が見えてきました。
食われる前に、食っちまえ!
変化が起きる前に、変化を起こすことが出来れば、きっとあなたも明るく輝く世界が見えてくるはずです。
あなたも、AIという沼世界に足を突っ込み、楽しみながら変化する世界を自由に飛び回ってみませんか?
[著 藤冨雅則]