とことん「本質追求」コラム第103話 営業部隊に高いモチベーションを持続させる方法

「新入社員」が全員やめることになりました…。

 

とある企業の営業幹部から衝撃的な話を聞きました。

 

何やら社長が脳の病気にかかり、精神的に不安定な状態になっているにも関わらず、現場で指揮を取り続けた弊害がでたようです。

 

被害妄想が激しくなる病気のため、業績が悪いのは社員のせい…と毎朝、毎朝「数字が出ていない現実」を突きつけられ、給与泥棒扱いをしていたようです。

 

昔から多少その癖があったため、ベテラン社員は受け流せていたようですが、新入社員には、耐えられなかったのでしょう。

 

たしかに営業マンを叱咤激励することは必要です。

しかし、結果だけに焦点を当てるのは、考えものです。

 

野村克也氏の著書「野村ノート」にも、こう書かれています。

 

私はバッターボックにバッティングをしにいっている、つまり技術だけで対応しようとした選手には「何を考えているんや」と叱ることもあるが、勝負しにいって、その勝負が裏目に出たとき、たとえば考えた末に変化球を狙ったのにドーンと真っ直ぐが来て、裏をかかれて手も足も出ないまま三振して帰ってきても、その選手を絶対に叱らない。

管理する者は、絶対に結果論だけで部下を叱ってはいけない。

「勝負したんだろ?」「勝負に負けただけじゃないか」「勝つか負けるかなんだから、そんなことは恥ずかしいと思うな」そういってなだめる。

(中略)

しっかりした根拠があれば何も言わない。相手があることだから結果が出なくても仕方ない。

見逃し三振をしたら許さないという監督もいるが、そうゆう叱り方をするから打者は見逃し三振したくないというマイナス思考になり「勝負」ができなくなる。

 

と氏が考える管理者としてのスタンスを説いています。

 

 

これは営業部隊でも同じことが言えます。

 

ポテンシャル以上に業績が伸びない会社は、結果に焦点が当たりすぎています。

営業マンに数字責任を全面的に押し付けているようでは、事業としての躍進は期待できません。

 

逆にポテンシャル自体をどんどん膨らませ、限りなく成長を続けている組織は、営業マンを締め上げるようなことはせず、社長自らが事業を伸ばす具体策を練り上げ、社員との共通認識づくりに時間をかけています。

 

私のクライアントさんに業績を何倍にも伸ばし続けている会社があります。

その社長に「各営業マンのノルマって決めているんですか?」と聞くと「ウチはノルマどころか数値目標そのものがありません」と意外な答えがかえってきました。

 

いくらなんでも目標がないなんて…と思っていると、社長が言葉を続けてきました。

 

「私はね、愛社精神をどうすれば皆が持ってくれるか…を中心に考えているんです。だってそうでしょ? 愛社精神があれば自然と頑張るもん」と。

 

確かにその通りです。

 

社員がどのように成長すれば、我が社の繁栄に繋がるのか。

社員は、その成長に期待や喜びを感じるのか。

その成長を支援することでモチベーションがアップし続けるのか。

 

こういった根底をベースにして社員教育を考えることで、自然と組織に活力が生まれてくるものです。

 

社長が好きだったり、自社の商品やサービスを本気で愛していれば、自然と売れるようになります。

 

人を変えることはできなくても、環境を変えれば人は自然と変わるもの。

 

ポテンシャル以上に業績を飛躍させたい企業は、営業部隊が売りたくなるような環境づくりに焦点を当て、高いモチベーションが持続する仕組みづくりに着手してみてはいかがでしょうか。