「顧客視点から見た差別的優位性を打ち出す重要性は、わかってはいますが、やるとなると本当に難しいですよね」
先週クライアントさんと雑談した際、コラムを読んだ感想をテーマに、四方山話で盛り上がりました。
「知っていること」と「わかっていること」は違う。
「わかっていること」と「できることは」は違う。
よく言われることですが、何がボトルネックになっているのでしょうか?
自らの経験。これまで数多のクライアント企業さんと「売れない、を売れる!」に変えて、現場から脱却してきた経験を振り返ってみると、なんとなく「答え」が浮き彫りになったので、今日は、それを共有したいと思います。
まずは、焦点をしっかりと定めたいので、話の中心軸を立てておきます。
当たり前のことですが、そもそも「顧客視点」に立つということは、販売という目的を達成するための重要な出発点となります。
詐欺師にしろ、成功した実業家にしろ、相手の欲望を満たす!という視点は一緒です。
顧客にベネフィットを提供する=欲望を満たすという公式から、彼らは絶対に焦点をずらしません。
相手の欲望に対して、どこまで焦点を絞れるか。
その焦点を外さず、どれだけ深く鋭く訴求できるか。
営業・マーケティングの視点から突き詰めると、ここが「販売成功」のカギを握っています。
しかし、言うは易し、行うは難し…と言う言葉がある通り、意外にも顧客の欲求に焦点を合わせることは難しいのが実情です。
これが、組織的活動となれば尚更です。
顧客に焦点を合わせる最大のキモは、没入力だからです。
牡蠣の販売で国内トップシェアのクニヒロ株式会社の二代目社長が、若かりし頃に「あさり」の販売を始めたが、何度も全滅させて大きな穴を開けた際に、創業者である父は「あさりになれ!」と喝破したと言われています。
なんでも成功するには「没入する」ことが大事。
古代ローマ帝国の将軍であったカエサルが指摘した通り「人は見たいものしか見ない」と指摘した通り、相手の目線に立つことは、想像以上にできにくいものなのです。
ある世界を直視して、真実を獲得することは、よほどの高い意識と強い決意が必要だということがカエサルの指摘で分かります。
ちょっと具体的なケースに落とし込んで理解を深めてみたいと思います。
藤冨が活動しているコンサルティング業界を事例に出して恐縮ですが、コンサル・バブルと言われる現代において、チャットGPTという想定もしていなかった競合が出現した際のことです。
業界のプレイヤーは、2つの見解に分かれました。
ちなみに、藤冨の意見は、多くの分野においてAIがコンサル業界を侵食するだろう。と捉えていました。
一方で、他のコンサルタントに話を聞くと「さすがにコンサルタントはAIには出来ませんよ」と、全否定する人が意外にも多い。
これはコンサルタントだけでなく、事業会社の社長にも同じような反応を示す人が多いのが、面白いと感じました。
現実を直視しないことは、現実逃避と同じこと。
自戒を込めての発言ですが、きっと人間はどこかで「自分は特別である」と思いたいのでしょう。
しかし、市場は非情である…という現実を、激変の時代だからこそ、改めて認識する必要があると藤冨は考えます。
競合…特に間接競合の存在をディスカウント(※)して、私(当社)は市場から受け入れられる!と感情的な反応を示してしまうと、情報やモノに溢れた現代では簡単に駆逐されてしまいます。
(※ ディスカウトとは、相手を軽く見て、実力を値引きしてしまう心理現象です)
お客様にとっては、商品・サービスなんてどうでも良く、そこから得られるベネフィットしか興味がないのですから。
先日のメルマガでも、お伝えしたましたが「●●という商品のセールスレターをPASONAの法則で書いて!」とチャットGPTに指示をしたら、10秒ほどで、中級クラスのセールスレターを書き上げてきました。
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ちなみに、セールスレターのコピーライティング の相場は、実績のある人で1本書くと80万円前後。
まだまだ、チャットGPTでは、実績を叩き出すには実力不足ですが…それでも誕生してから半年ちょっとのAIです。
恐ろしいほどの成長力。
どれだけディスカウントしても、この先安泰だ!とあぐらをかいてはいられないはずです。
中途半端なコピーライターは、今後、絶滅の危機に晒されていると捉えて、間違いはないでしょう。
コンサル業界も、市場の分析>戦略の策定 といった「過去の事例になぞった方向性」しか提示できない人たちは、確実にAIに駆逐されるはずです。
過去に起きた事実をもれなく情報収集し、ケースに当てはめ、アウトプットするのは、人間よりもシステムの方が優れているためです。
もちろん、AIにも「当面はできないこと」や「構造的にできないこと」は、あります。
藤冨もチャットGPTを使い倒し、さらにAIの専門家からヒアリングを続ける中で、その方向性がおぼろげながら見えてきました。
いずれにせよ、見たくない世界を直視して、脅かされる自己の弱点も受け入れることで、初めて「真実の獲得」ができます。
正しい自己認識と真実の獲得さえできれば、あとはその環境で勝ち残るための手段は限定されてきます。
あらゆる選択肢などはなく、生き残る道は限定されてくる。
つたない経験かも知れませんが、成功企業または、うまく行っていない時のケースを振り返ると、これが真実だと強く感じとっています。
まとめると…
1)誰か(顧客)から必要とされる存在になるためには、その顧客を取り巻く環境に没入し、その人の立場で正確に世界を感じとる。
2)その環境の中で、最も注目されている存在、市場が支持している存在をディスカウントすることなく受け入れ、顧客目線で競争環境を感じとる。
3)その中でも”満たされていない欲望”に着目して、自らの優位性が活かせるポジションを確立していく。
これが、顧客視点にたった本質的な差別的優位性の確立につながっていくことは間違いありません。
差別的優位性があれば、結果として「選ばれる存在」になります。
組織一丸となって、この生き残り戦略を実践するのは、組織ならではの”やり易さ”と”難しさ”が共存することでしょう。
しかし、真実は一つ。
如何に、差別的優位性を見出し、発信し、市場から受け入れられるか…これが「生き残り戦略」の中心軸となっていきます。
御社は、徹底した顧客視点から「差別的優位性」を打ち出す努力に勤しんでいますでしょうか?