とことん「本質追求」コラム第557話 売れないのは営業のせい?部門の壁が企業を弱体化させる!

「マーケティング関連では、なかなか超えられない20名の壁を超えました。かなり注目されてますね」

2日後の3月30日(木)に開催される日刊工業新聞社主催のセミナー運営責任者の方から、申し込み状況のご連絡を頂きました。
たくさんのお申し込みを頂き、ありがとうございます。

当日は「売れないのは営業のせい」を打破!パート社員でも売れる!製品開発マーケティング
の進め方」というお題目のセミナーを開催。

技術・開発部門曰く、売れないのは、営業のせい。
営業部門曰く、売れない製品ばかり作るから売れない。

とお互いに責任のなすりつけ合いをしている状況を見るに見かねて、企画したセミナーです。

そもそも、なぜ責任のなすりつけ合いが起きるのか?
背景を考察すると、3つの課題が浮き彫りになっていきます。

1.開発部門の成果目標に、売上が加味されていない
2.マーケティング部門と営業部門の連携が希薄
3.顧客と接する営業マンが、商品企画に参画していない

この3つの課題が、未解決であることは、極めて深刻です。
掘り下げて考えると、見て見ぬふりができる問題ではないことに気づかされるはずです。

順番に3つの課題を深堀して見ましょう

1.開発部門の成果目標に、売上が加味されていない

新商品を作る目的は、売上高の増加であるはずです。
それ以外に新製品開発の目的があったら、教えて欲しいくらい、アタリマエの話です。

しかし、企画・開発など生産部門で、売上責任を持っている企業が驚くほど少ないのが現実。
作ったら、あとは営業にお任せ!

作りっぱなしで、売上責任を問われないのは、ひどく可笑しな話だと思いませんか?

売上につなげる意識が希薄になると言うことは、顧客を意識しないのと一緒です。
顧客の購買意欲に火をつけるには、商品はどうあるべきか?
この出発点がない商品とある商品、どちらが売れるかは火を見るより明らかなハズです。

売れない商品を無理やり売るのは、ある種の詐欺と言わざるを得ません。
極論を言えば、顧客を意識しない商品企画は、営業部門に詐欺紛いの仕事を押し付けるのと同じことです。
これで、営業部門がブータレないはずもありません。

外資系企業では、3年後の売上高の新商品比率を30%以上に設定するなど、明確な売上目標を設定しているところもあります。

目標なきところに、成長はありません。
激しい競争環境に晒されている今こそ、開発部門の成果目標に、売上高を組み込む必要があるのではないでしょうか?

2.マーケティング部門と営業部門の連携が希薄

中小企業で、専門のマーケティング部門を組織しているところは少数派ですが…
ある程度の規模になると、マーケティング部門は独立していきます。
が、このマーケティング 部門にも上述の成果目標に問題があります。

本来、マーケティング部門の役割は、企業と顧客をつなぐ企画機能が仕事の中心となります。
にも関わらず、びっくりするくらい「顧客と真摯に向き合ってないケース」が多いのです。

あるコンサルティング現場では、マーケティング部門の成果目標にホームページからの問い合わせ件数が設定されていました。
問い合わせは、営業部門に引き継がれます。
しかし、売れたか売れないかは、責任の範囲外。
だから、営業成果には目を向けず、問い合わせ件数を増やそう!と努力するわけです。

結果は、ご察しの通りです。
冷やかしの問い合わせが多いため、営業部門からブーイングの嵐になっていました。
それを受けたマーケティング部門は、「ウチの営業部門は、本当に営業力がないなー」と陰口を叩く始末。

会社の成長を目指す思考回路を持っている人間からすると、本当にバカげたことが現場では起きているわけです。

本来の仕事の目的を忘れ、自己保身に走っているに過ぎない。そう感じざるを得ません。

これは決して特殊な事例ではありません。
多くの企業に同じような問題が存在しています。
・商品のあり方
・商品の魅せ方(ネーミング、パッケージ、価格設定、PR・広告など)
この2つの企画を練り上げる機能が、マーケティング です。
売れる土壌づくりをする企画部門が、売れたかどうか知ったこちゃない…って、どういうことか?

藤冨には全く理解できません。
マーケ部門が、営業部門に入り込み、商談効率まで責任を持つべき。
営業という千辛万苦に真摯に向き合わない限り、企業は利益という果実をもぎ取れないことを、改めて認識する必要があります。

3.顧客と接する営業マンが、商品企画に参画していない

逆説的に考えてみましょう。
営業マンが商品企画に参画すると、どうなるか…

答えは、キーエンス 社の高収益フォーマットで明らかにされています。

新商品のうち、業界初・世界初が7割を超しているからこそ、粗利益率8割を超える商品の売り込みに成功し、営業利益率50%以上というあり得ない数字を叩き出しているのです。
必要なのに、他にないから売れる。

その「必要なのに…」のネタは、顧客の現場にしか転がっていません。
それをキーエンス は拾い上げる仕組みが確立しています。
これが、キーエンス の利益の源泉です。
営業マンを商品企画に参画させようとすると、自分の顧客の課題解決に走りがちという問題に直面します。

営業マンは顧客と対話しているから仕方ないことです。
しかし、企業は、顧客との対話ではなく、市場と対話しないと経営が成り立ちません。
顧客との対話を、どう市場との対話に昇華させるか…
この仕組みの確立が、重要なテーマとなります。

部門間の壁は、組織の成長を阻害しています。

大量生産大量消費の時代であれば、部門の生産性を向上させるために、部門の専門化が必要でした。
しかし、市場が細分化され、細かいニーズに対応する組織にするためには、部門間の壁は邪魔です。

どう取っ払うか…

3月30日のセミナーで、じっくりと解説したいと思います。
すでに締め切りになってはいますが、もしご参加されたい!という方がいましたら、弊社の問い合わせフォームからご連絡ください。
https://www.j-ioc.com/wp2024/inquiry.html

御社は、部門の壁の存在に気づいていますか?