「社内でどこにターゲットを絞って営業展開するか…一度検討したことがあるのですが、結局絞りきれずにやめてしまったことがあるのです」
先日、東京都中小企業振興巧者で開催された「契約を勝ち取るプレゼンテーション習得講座」で、受講者の方から行き詰まり感のある返事が返ってきました。
自社商品のPRをしてもらったところ、抽象的すぎて「誰にとっての何のためのサービス(商品)」なのか…全くイメージが付かず、全く響かない。
広く普及しているソフトウェアの活用サービスをメニューに掲げているのですが、そのサービスを受ける「メリットや利益」がイメージすらできない状態。
これでは「やっていること」の自己紹介はできても、それ以上のことを聞きたいとは思えません。
今の消費者は、多忙です。
不要な情報は、即刻「目や耳」を塞ぎます。
その証拠に、自社のホームページをアクセス解析にしてみてください。
Googleの無料アクセス解析ソフト「Googleアナリティクス」の行動分析で「エンゲージメント」を確認すると一目瞭然。
大多数の企業のホームページ来訪者のうち、8割以上の人々は、10秒以内にページを閉じてしまっていることがわかります。
興味のあるなしは、10秒もあれば十分だと言うこと。
つまり10秒以内に、想定見込客のハートをズキューンと射止めなくてはならないのです。
テレアポも全く同じ。
ほぼ9割はガチャ切りか、ものの10秒程度で体良く断られてしまいます。
広告も、DMも全部一緒。
多忙な消費者たちに、我々の提案を聞いてもらうためには、「あなたにとって大事な話をこれからします!」と言うイントロダクションが、必要不可欠なのです。
従って、誰に対して提案するのか?
この明確なイメージが、とても重要です。
例えばです。
Windows派の人に対して「Mac」を使ってみませんか? と、伝えたところで、提案が抽象的すぎて何だかよく分かりません。
でも、多忙で重要な仕事をしているビジネスマンに向けて…
「Macに変えたら、隙間時間がすごく有効に使えますよ。今使っているiPhoneのメモ帳とMacのメモ帳が瞬時に連動するので、電車の中でIPhoneで書いた報告書の下書きを保存せずにポケットに入れてしまっても、会社に戻ってMacを開くとさっきまで書いたメモ書きがすぐに開けて再開できる。しかも起動や動作が圧倒的に早い。バックアップ機能もTime Machineっていうのが凄くて、無線の外付けハードディスクと自動連動して知らず知らずのうちにバックアップをしてくれる。しかもメールの設定とか、パソコンの環境をそのまんまバックアップしてくれているから、万が一パソコンが全損したり無くしても、新しいPCを買えば、すぐに復旧できる。万が一の致命的なロス時間がないから、多忙なあなたにはピッタリなんじゃないかな?ちなみに、Windowsもインストールできるから、新しい操作を覚えなくても無理なく移行できるよ!」と言った方が、グッと刺さりやすくなる。
抽象的なメッセージよりも、具体的なメッセージの方が、頭に映像が浮かびやすく、購入した時のメリットや利益が手に取るようにイメージできるから、それだけ購買意欲が駆り立てられるからです。
具体的なメッセージにするためには、誰にとって…という想定が必要。
ターゲットを明確にする最大の理由は「販売効率を向上」することです。
販売効率と言っても、商談場面だけの効率向上ではありません。
・ホームページからの問い合わせ数向上
・広告投資対効果の向上
・営業マンの成約率向上
など、全ての売上向上プロセスに直結しているので、ターゲットを絞って、セールスメッセージを作り込むことは極めて重要なテーマとなります。
逆に言うと、ターゲット…つまり想定見込客をイメージできないセールスメッセージは、馬の耳に念仏を唱えるのと一緒。
ヌカに釘を打つ努力を全社をあげて一生懸命行っているようなもので、とても残念な事業推進と言わざるを得ないのです。
誰も無駄な努力なんてしたくはありません。
しかし、そうは言っても、このターゲットを明確にイメージした上で、その想定見込客の琴線に触れるようなセールスメッセージを作り込むのは、そう簡単ではありません。
脳みそにイヤな汗を大量にかいて、はじめて産声をあげることができる仕事。
日常業務と同時並行で出来るような仕事ではないので、どうしても後回しになりがちですし、ツメも甘くなってしまいます。
山籠りする覚悟で、挑む必要がありますが、それだけの価値はあります。
繰り返しますが、全社的な販売効率が上がるためです。
今月28日(金)に日刊工業新聞社で「ターゲットを明確にするプレゼン技術をその場で作り込む実践型セミナー」が開催されます。
御社も、全社的な販売効率をあげるために、頭がウニになる程考え抜く時間を確保してみませんか?