「この新製品を次回の展示会で発表します。キャッチコピーとかポスターとか…どうでしょうか?」
先月のことですが、日本でも屈指の技術力を誇る中小企業とのオンラインコンサルティングでのこと。
初めて知った技術。初めて見る製品。
自社の「強み」から産声をあげた肝いりの新製品であることは、理解できたのですが…
なぜか「新しさ」を感じない。
その理由が、5分後に明らかになりました。
話を聞きながら、パチパチとGoogleを検索していると、モロに競合らしき商品が。
すぐにチャットでURLを送り「これって、顧客から見れば同じことですよね?」と伝えると、「あっ本当ですね…」と、衝撃を受けていました。
上市前に気づいたから、良かったようなものの、営業が動き始めたら手戻りコストが発生してしまいます。
手戻りコストとは、よくシステム開発で使われる概念。
設計ミスにより、開発のやり直しをする「手戻り」分の人件費を「無駄なコスト」として捉えることを言います。
これは、通常のビジネスフローにも当てはまります。
新商品や新サービスを開発して、実際に売り出してみたら全く利益にならない。
フタを開けて分析してみたら、そもそも「ターゲットに刺さらない商品だった」
・新商品を企画・開発する人件費。
・ホームページやカタログなどの販促費用
・営業マンの人件費や諸活動費
最初からもっと考えてプランニングすれば良かった…と言っても、あとの祭りです。
冒頭の企業も「世界初の新商品かも!」と意気揚々としていましたが、それはあくまでもメーカーでの視点。
製品自体は新しくても、他の代替案が存在していれば、買い手から見れば新しくともなんともない訳です。
こう言った過ちを防ぐためには、「強みを活かした経営」という視点から距離を置く必要があります。
なぜなら「強み」という視点で眺めると、買い手不在の自慢大会が始まるからです。
過去10年以上に渡って、「売れない商品」をいかにテコ入れして売れるようにするか!!
というコンサルティング活動に携わってきましたが、「売りにくい商品」「売れない商品」というのは、十中八九「買い手不在のナルシスト的な商品・サービス」でした。
消費者は、自分のためにお金を払うのですから「あなたの自慢なんて聞きたくない。私はどんな満足が得られるのか?」しか興味がない。
ナルシスト的な商品・サービスを、買い手の幸福・利益を第一の目的として見つめ直すことができれば…
必ず、勝ち筋は見えてきます。
今日のコラムでは、その勝ち筋が見えてくる5つの質問を整理しお伝えしたいと思います。
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我が社の製品・サービスは、どのような人(会社)にとって、具体的にどのような幸福や利益を生み出すのだろうか?
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それは、他の競合商品や代替案よりも、安く、早く、簡単に幸福や利益を感じられるだろうか?
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顧客が実際に採用する際、これまでの習慣を大幅に変えるようなストレスを感じないだろうか?
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想定顧客への「認知」を得るための活動は、具体的にイメージでき、かつその「認知活動」を進める費用を確保できるだろうか?
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他の人が採用し満足を得ていたり、権威からのエビデンスが提示されていたり、または実際にお試しをすることが可能だろうか?
この5つの質問に的確に答えることが出来てくると、勝ち筋…
つまり売れる匂いがプンプンしてくるのです。
これまで製造業は、QCD(Quality<品質>、Cost<コスト>、Delivery<納期>を重視する経営を長く続けてきたため、無意識的に「内向き思考」になってしまいがちです。
冒頭の方のように、競合はいなくても、代替案までは見えてこなった…という残念な状況に陥ってしまうのも、ある意味ムリもありません。
しかし「売る!」という仕事が入ってくると「外向き思考」に重心を置き換えないとなりません。
買い手は、買い手の目線と都合で「消費行動」をしているのですから。
御社も新規事業を企画する際…
5つの質問で「成功確度」を高めてみませんか?