とことん「本質追求」コラム第527話 未来の道を描く「マーケティング思考」とは?

「これまで多くのセミナー講師からマーケティングを学んでいましたが、結局は”アイデア勝負”ですよね!」

先週、クローズドセミナーを受講された方から、終了後に核心をつく言葉をもらいました。

マーケティングの大家であるコトラーなど、理論的に完成された学問を学ぶことは非常に重要なことです。

しかし、理論を実践に落とし込むことが出来なければ、学ぶ意味はあるのでしょうか?
そもそもマーケティング理論は、起業家や実業家が実戦的なビジネスを通じて成功した成果を分析・類型し、抽象化した上で体系立てたものです。

4Pや3C、SWOT分析、5フォース分析などのフレームワークも、知っているだけでは何の成果にも落とし込めません。

「この商品は売れる!」と武者震いしながら、事業を推進する際「隙がないか?」をチェックする上では「フレームワーク」は有効です。

また、新商品を企画・開発する上でも、出戻りコストで泣きを見るのを防ぐためにも、漏れなく戦略を煮詰める上では、フレームワークはとても重宝します。

しかし、学校の選択科目で「マーケティングで100点満点」を取ったからと言って、実務で成果をあげられるか?というと、それは全く別次元のこと。

乱暴に言ってしまえば、学問は「過去」の成功事例であり、未来における成功の約束ではないからです。

そう断言する理由を解説しましょう。

例えば、ご存じの通り、マーケティング4Pは、「Product(製品)」「Price(価格)」「Promotion(販売促進)」「Place(流通チャネル)」の4つ要素を組み合わせることで、市場から望ましい反応を引き出すためのフレームワークです。

学校のテストでは、マーケティング4Pの4つの要素を書き出し、それぞれに説明しないなさい。と言った質問がされます。
実務的に見れば、これに正解したからと言って、ビジネスで成功するのか? と問われれば、「それはないでしょ」と誰もが両手を上げて賛同してくれるはずです。

・今、どの様の製品を売り出せば、成功するのか?
・どの様な価格設定をすれば、利益の最大値を得られるのか?
・どの様な販促をすれば、消費者は行列をなすのか?
・どの様なチャネルで販売すれば、消費者は利便性を感じてくれるのか?

それぞれ、”今の消費者”を脳みそを感じながら、秀逸な「アイデア」によって推進することで、事業は成功へと導かれます。

4Pのみならず、3C、SWOT分析、5フォース分析…どのフレームワークを使っても一緒です。

繰り返しますが、実務的に見れば、事業を推進する際「隙がないか?」をチェックする上では「フレームワーク」は有効です。

しかし、フレームワークからは、何の「利益」も生み出さない事を強く認識する必要があります。

今、ものづくり企業(製造業)の社長やビジネスマンと具体的な戦略・方針を組み立てる機会が増えてきましたが、製造業の方は皆さん真面目で勉強熱心です。

工業の世界では、理論通りに実践をすれば成果に結びつく業務が多いからでしょうか?
マーケティングや営業を学んでいる方も、真面目に勉強をすれば、結果が出るはず!と思って一生懸命取り組む方もいます。

しかし、相手が人間である「マーケティング」や「営業」の世界は、お勉強だけでは成果を出すアプローチにはなりません。

+α  ”今”の顧客になり得る人たち(市場)の脳みそを理解し、動かす力が必要になります。

商売はタイミングが全て!と言う経営者で成功している方が多いのは至極納得できます。

・今の顧客になり得る人たちが、何に困っているのか?
・どんな不満や不足、不自由を抱えているのか?

成功しているビジネスを観察していると、この時流のつかみ方が正しいことに気づかされるはずです。

そして、具体的なマーケティング戦略を組む上で、「教科書的な問い」を超えて、もっと「感情的な問い」に答えていく事で、売れる匂いが醸し出されていきます。

・我々が持つアイデアや技術を使って、それらを解決できれば、顧客はお金を出すだろうか?
・具体的にはどの様な機能や性能、材質を使った商品を作り出すべきだろうか?
・今の代替案から、我々の商品にスイッチしてくれるには、十分な魅力を打ち出せるだろうか?
・その人たちに我々の商品を「認知」してもらうには、どの様なアプローチが有効だろうか?
・価格はいくらくらいなら、利益が最大値になるだろうか?
・その人達は、どの様な買い物スタイルに利便性を感じてくれるだろうか?

どうでしょう?

たった6つの質問だけでも、顧客になり得る人達(会社)の頭の中を掌握できると、そのビジネスが成功しそうか、まだ煮詰めなければいけない部分があるのか…見えてきませんか?

ビジネスの成否を問うための質問は、業種や狙う市場層によっても異なりますが…
どんなに少なく見積もっても30個はあります。

経営の神様と呼ばれたP・Fドラッカーも「答えよりも質問が重要である」と言っています。

お勉強で「質問ー答え」を学ぶだけではなく、時流を汲み取りながら、今の人々に我々の技術・ノウハウ・蓄積された経験を使って、どの様な貢献ができるか?
を問うた方が、間違いなく「道」が見えてくるはずです。

断絶の時代と呼ばれている今…

御社には、未来の道が見えてきていますか?