とことん「本質追求」コラム第524話 売上が伸びるキャッチコピーづくりの3大チェックポイント

 

『キャッチコピーを変えるだけで、本当に売れる気がしてきました!』

 

先週から、経済産業省が推し進める「国内屈指の技術力を持つ中小製造業の支援活動」に関与させてもらっています。

藤冨が受け持つパートは、支援対象企業の事業説明を聞いた上で、展示会などで打ち出す「キャッチコピー」をブラッシュアップすること。

 

1日に3〜4社の同時並行コンサルティングは、最初は頭が混乱するかと思いきや、どんどんエンジンの回転数が上がっていくような感じがして、とても有効な進め方だと感じました。

 

昨年からの引き続きプロジェクトで、2年連続で楽しませてもらっていますが、今年もめちゃくちゃ秀逸な企業が参加してくれました。

 

しかし、最初の商品説明の段階で、ビビっとくるのは2割程度。
8割の方は「事業の魅力」が、いまいち伝わってきません。

 

それでも、1時間程度ディスカッションしていると、売れる匂いがしてきます。
中には、バシッと決まったキャッチができた社長は、涙が出てくる人もいるほど。
「これでイケる!」と経営者独自の感覚が芽生えるからでしょう。

 

藤冨は、「売り方」を考える前に、まず「魅せ方」を徹底的に磨き上げることが大事だと信じて疑いません。

 

これまで少なく見積もっても、100社以上の企業にコンサルティングをしてきましたが、売れる匂いがしてくると、自然と士気が高まり、売りたくて、売りたくて仕方なくなってきます。

 

さらに、魅せ方が決まってくると、同時に「売り先」も決まってくるので、「売り方」も必然的に決まってきます。

 

このステージまで企画を昇華させてから「戦略」「戦術」「兵站」を考える方が、急がば回れ…

結果的にスピーディーかつ着実に成果につなげることができます。

 

しかし、世の中「こうすれば売れる!」と、商品、競合、市場の性質などの「前提条件」を無視した状態で、小手先テクニックで売れる!と言う発信が多すぎるからか…

「売り方」から入って、販売で苦戦しているケースがめちゃくちゃ多いのが現実です。

 

優れた技術・サービスなのに、非常にもったいない。

中には、1年も2年も思うように売れずに”まごまご”しているためか、自信喪失になって事業意欲を失いそうな社長もいるほど。

ちょっと切り口を変えれば、売れるはずなのに…

優れた技術・製品が、「世に埋もれたまま」普及しないのは、国家的損失です。
イチ企業の「伸び悩み」で済まされる問題ではありません。

 

優れた技術や製品は、優れた社会を作り出します。
藤冨はこれまでに、それだけのインパクトのある事業と、幾度となく出会ってきました。

10年間もの間、鳴かず飛ばずの事業が「魅せ方」を変えただけで、急速に売上を伸ばし始めたクライアントがいます。

同社の事業は、「世界最高峰の技術」であることが、顧客の採用実績からも立証されました。

 

同事業は、極めてニッチな市場で、世界で3社しかプレイヤーがいません。
いえ、5年前までは2社でした。
そこに、同社の社長は、基幹技術を持って果敢に新分野に挑み、見事成功したのです。

そのキッカケができたのは、「事業の魅せ方」…
極論を言うと、キャッチコピーにあるのです。

同社の事業は、間違いなく日本の産業に貢献し、国際競争力の向上に寄与しています。
国益を生み出した!と言っても、過言ではありません。

 

優れた技術・製品が、「世に埋もれたまま」普及しないのは、国家的損失。
決して、大袈裟な話ではないのです。

 

したがって、優れた技術であればあるほど、価値を見出し、社会に広めなければなりません。

その入り口の一つが、キャッチコピーです。

 

キャッチコピーは、売り方では決してありません。
事業のあり方を認知させるためのものです。

 

事業のあり方を認知させ、注意を惹きつけ、興味関心の導火線に火を付けること…

このスタート地点を徹底的に磨き上げることがポイントです。

 

具体的には、パンチ力を生み出す最重要の3大チェックポイントが存在します。

 

1. 何ものなのか?

なんとか魅了を打ち出そうとして、”何もの”なのか?を訴えていないケースが散見されます。

「これまでにない強力な接着力を生み出します!」と言う表現が、その典型例。

接着剤をPRしているのか?

それとも、表面処理技術を売りにしているのか?わかりません。

”何もの”を世に打ち出そうとしているのか定義することが大事です。

 

2. 具体的か?

「これまでにない強力な接着力を生み出します!」と言う表現は、どの企業も発信しています。

提供する価値が「抽象的」すぎるのです。
提供する価値は、顧客との約束です。
顧客との約束がブランドを生み出します。
だからこそ、提供する前に、価値を客観視する必要があります。

「●tの剥離検査に耐えられる強度を実現」などと具体的に表現することができれば、他社との違いを明確にすることができ、選ばれる存在として気づきを与えることが出来るようになります。

 

3. 顧客の悩みに突き刺さるか?

最も、優れたキャッチコピーは、その言葉を読んだ瞬間、対象となる顧客が気になって、気になって夜も眠れないワードを入れ込むことです。

上述の例を続けると、硬い素材を磨く限界に立たされた技術者が、接着のことで悩んでいたら…

「超硬素材”面粗度●μm”でも、●tの剥離検査に耐えられる強度を実現」と打ち出すと、「本当か!!」と目ん玉をひん剥いて、夜も眠れないはず。

長い間の悩みがこれで解決されるかも…

そう感じさせることが出来たら、100点満点です。

 

キャッチコピーは、決して、今ある商品を売り出すためだけに考えるものではありません。

これから商品を企画・開発する段階から考えるべきものです。

 

なぜなら、顧客との約束を取り交わすキッカケになるものだから。

言い換えると、ブランドを確立するスローガンになるからです。

 

御社は、優れたキャッチコピーを作り出すのに、全身全霊を傾けていますか?