事業を成功に導くためには、様々な要素が影響しています。
ヒト・モノ・カネと言った内部要素から、商品・流通・価格・販促などのマーケティング要素まで、多岐にわたっています。
しかし、枝葉だけいくらキレイに整えても<根っこ>が、しっかりとしていなかったら事業という<木>は育ちません。
木をデザインするための内部要素やマーケティング要素の細部を詰めることも、とても重要なのですが、まずは<根っこ>を地下深くまで張り巡らせる事が大切なのです。
木がどれだけ大きく成長しても、雨風がどれだけ打ち付けようとも、揺るがない<根っこ>づくり…
そのためには、3つのポイントである「三着」を意識する必要があります。
「三着」とは、私が作った造語なので、一つ一つ解説していきましょう。
1.着眼
売上げが頭打ちになったり、競合に押され気味だったり、業界自体に元気がなかったり…
現代のような成熟市場では”行き詰まり感”が増幅しています。
しかし、売れないのは、市場が成熟しているせいでもなく、不況だからでもありません。
モノが売れる瞬間の「着眼点」がズレているだけなのです。
例えば「予防商品」「省エネ商品」…はたまた、私のようなコンサルティングなど「未来に価値が受け取る商品」は、販売や営業が非常に難しい分野とされています。
私がご提供している「波及営業戦略」のノウハウ導入先で、千万円以下の効果で終わったプロジェクトはありません。
しかし、多くの企業は、200万円程度のコンサルティング料金さえ出し渋ります。
なぜでしょうか?
それは「未来」には、保証がないからです。
この本質部分に<着眼>しなければ、「売れる方策」…つまりモノが売れて行く為の正しいアイディアは発想できません。
『未来の保証がない』ことが”売れない真の原因”だとすると、「見えない未来」を「見える現実」に置き換えていく発想をしなくてはいけないのです。
これが次の「着想」です。
2.着想
例えば、営業戦略が未熟なまま、20万円の募集費で、15万円の新人営業を一人雇い、うまく教育できずに1年後に辞めてしまったら…
それだけで200万円の損失です。
何も残らないどころか「今の奴は使えない…」と不満だけが貯金されていきます。
これは、多くの企業が経験していている「見える現実」です。
この「見える現実」と「見えない未来」を比較することで『価値』がようやく見えてきます。
例に戻ると、正しい戦略のたて方を自社に導入すれば、成功するためのノウハウは残ります。
もちろん、確実に成功するためのノウハウなんて、この世にはありません。
ただ、原理原則を外せば確実に失敗するのも事実です。
その原理原則に則った戦略のつくり方と実施手順が手中に入れば、とうぜん成功確率はあがります。
事業を成功させるために「人を雇うことが先決でしょうか?」それとも「戦略を確定させることが先でしょうか?」
このように比較すれば、購入する価値が見えてきます。
冷静に考えれば分かることですが、買い手の心理と言うのは、将来手に入る<未来>よりも、目の前にある不安…つまり<現実>に押しつぶされるものなのです。
これは、不変の購買心理です。
こういった「着眼」から得た「着想」をもとに、売れる方策を導きださなければ、売れるものも売れるハズがありません。
もちろん、的の得た着想を読む為には「顧客の欲求」だけでなく、「競争環境」「時代の流れ」を読まなくてはなりません。
その上で、商品のあり方はどうあるべきか、価格設定はどうあるべきか、デザインは? ネーミングは? あるべき流通政策や販売方法、さらには販促を含めた売り方はどうあるべきか?
と細部をつめていく必要があります。
神は細部に宿る…
着想を緻密に事業コンセプトに落とし込むことが、事業の成否をわける源となるのですが…
それだけでは事業の成功に至らないのも現実です。
3つ目の”着”である経営者のホンキ…
つまり絶対に成功させたいという執着心が必要なのです。
3.着心
着心とは、執着する心です。
いまビジネス界を取り巻く世界では、「スグに行動することが大事」「行動力こそ成果に結びつく」という論調が絶対的多数に感じられます。
しかし、成功の確信を得ないまま行動しても結果に結びつくはずもありません。
結果に結びつかなければ、自信が喪失し負のスパイラルへと陥っていきます。
間違った行動をいくら繰り返しても、成功には至らないのです。
本来は「着眼」「着想」に重きを置き『成功するイメージ』が広がってから、行動に移すべきです。
そもそも、成功している人や会社は、モノゴトを深く、深く考え抜いてから行動しています。
食事しているときも、トイレに行っているときも、掃除をしているとき、歩いているときも…極論、寝ているときでさえ、四六時中「着眼点」や「着想」が降りるまで考えまくっています。
この深く、深く考える過程というのは、本当に吐きたくなるほど苦痛なものです。
ただ、その苦痛を経るからこそ、執着心が芽生えるのです。
絶対に成功させてやる…と。
この状況まで追い込むことで、事業の<根っこ>が張り巡らされていくのです。
一朝一夕では、事業の<根っこ>を生み出すことは出来ません。
それでも「着眼」「着想」「着心」の【三着】に真摯に向き合えば、必ずや成功の息吹を吹き込むことができます。
どこまで「三着」に真剣に向き合うか。
成熟時代に突破口を開くためには、外してはならないポイントだと、強く感じている今日この頃です。