とことん「本質追求」コラム第75話 営業組織を活性化する環境づくり

「なんとか凡庸なセールスマンを育てる事はできないだろうか…」 

この手のご質問やご相談は、尽きることがありません。

全体売上の7~8割を上位2割の営業マンが稼ぎ出している…。 
パレートの法則と呼ばれる「二八の原則」よろしく多くの組織では、多少の数字の前後はあっても、このような状態に陥っているケースが多いものです。

ところが、このようなケースの蓋をあけてみると…

成績上位層の営業マンは、かなり優遇された環境で成績を上げている事が多いのも事実。

具体的に突っ込んだご相談を頂く企業さんには、営業マン毎の成績状況の分析をさせて頂くこともありますが、その時にたった1つの質問で、この事実が判明することが大半です。

その質問とは… 
「各個人のリード別売上高を出してください」というものです。

リード別売上高とは、どこから受注を引っ張ってきたか…というものです。

ホームページや、ダイレクトメール、はたまた自分のお客様からの紹介や、自社の社長からの紹介商談、テレアポから飛込みに至るまで、様々なリードから営業マンは数字を作っています。

そのリードは、成功率の高いリードもあれば、低いリードもあります。 
紹介商談は、受注率が高いでしょうし、ホームページからの問い合わせは、テレアポや飛込みよりも、受注確度が高いのが普通です。

この受注確度が高いリードをトップ層が牛耳り、受注確度の低いリードを成績中位層以下の営業マンが対応しているケースが大半です。

不公平でしょうか? でも、これはある種仕方ありません。 

受注確度の高い商談は、確実に射止める必要がありますから、商談力のある営業マンが担当するほうが企業としては合理的です。

しかし、これが常体化すれば成績中位層以下は、なかなか這い上がることが出来ません。

営業マンにセンスが必要なことは紛れもない事実です。 
努力しても恐らく身につかない営業特性があるのも事実です。

しかし、下克上が起きない環境は、組織全体の活力をゆっくりと…確実に…蝕んでいきます

従って、組織として営業を活性化させるには、上位層が「ホームページ(HP)の問い合わせ対応」や「自社の社長や経営陣ルートの紹介商談」など、会社から投げるラッキーボール…つまり受注確度の高い商談を担当するのがアタリマエ…という環境を作ってはいけません。

安住の地に居座り、成績上位層が必要以上の努力をしなくなるためです。

中下位層も、「彼らの成績が良いのはラッキーボールを打っているからですよ、私なんて先月1件もありませんから…」と開き直り、努力すらしない環境が出来上がってしまいます。

もちろん、安易に商談力の弱い営業マンにラッキーボールを与えて下さい。と言っているのではありません。

リード毎の成約率をしっかりと計測し、公平に評価する環境が組織を活性化させる土台になる…と申し上げているのです。

トップ営業のAさんは、売上は前年対比110%増でも、「HP問い合わせ客」の受注率(件数)が昨年の70%から60%にダウンしていれば問題として認識しなければなりません。

また、成績下位層のBさんが、前年対比100%であっても、飛込みからの受注率(件数)が20%から25%に上昇しれていれば… 
「営業力は上がってきているな。あとは単価が高く取れる商談のやり方を教えよう!」と合理的に評価できる環境が整います。

リード毎の件数と金額を正しく記録し、評価する環境整備を行うことで、企業としての合理的判断(成績上位者にラッキーボールを与える判断)を採用しながら、各営業マンを同じモノサシで評価することが出来るようになります。

成績上位者であっても、受注確率が落ちれば、ラッキーボールを打てなくなる…。 

成績下位者であっても、受注確率を高めれば、ラッキーボールを打つ機会が得られるかも知れない…。

この緊張感が、営業マン同士を真の意味で切磋琢磨させ、強い営業組織の土壌を育んでいきます

もし、営業マンの成績格差を固定化させている主原因が、リード毎別売上高の”差”となっていれば、このように環境を整備する必要があります。

リード毎の受注件数と金額というモノサシを日々の営業活動に取り入れ、ぜひ営業組織を活性化させる仕組みを取り入れてみて下さい。