「前回のコラム(第471話 逆境をバネにする経営者の共通点とは)https://www.j-ioc.com/wp2024/column/9123/」は、本当に良かった。勇気をもらいましたよ」
と旧知の社長から、コラムの感想メッセージが届きました。
スポットコンサルティングにも多数の方からお申し込みを頂き、嬉しい限りです。
上述の社長も業界全体が沈みつつあり、ご自身の気持ちも沈みがちだったとのこと。
いまは、借入金のお陰で「資金繰りの窮地」には陥っていないもの、いつどのような出口に立たされるのか見えない中、不安は積もるばかり…。
「コロナが開けたら、どのような事業環境になって、自社は何をすべきか?」と悶々とお悩みになっているとのことでしたので、今日のコラムではその回答に肉付けをして「とことん本質追求コラム」の読者の皆さまにも共有したいと思います。
前回のコラムにも書きましたとおり、今回のコロナ騒動は、大きなチャンスと捉えるべきだと藤冨は感じます。
大変な状況は、「大きく変わるチャンス」だと言います。
口だけ講演家が好きそうな言葉ですが、それでも変化は必ずチャンスを生み出します。
そもそも人間は、危機を感じると底力を発揮できます。
今は、これから本格到来するその危機に備えて、火事場の馬鹿力を発揮するために「自社が生き残る企画」に着手しておくことが大事だと、藤冨は考えます。
これから危機が到来するの?
もうすでに危機なのでは?
と感じるかも知れませんが、今は危機の序章に立たされている状態だと認識する方が賢明です。
2008年9月におきたリーマンショック時も、その直後の完全失業率は、急増していません。
完全失業率が増えたのは、おおよそ3ヶ月後から増加傾向を辿り、6ヶ月後あたりから高位安定し、およそ1年後にピークを迎えています。
バブル崩壊も同じですが、事件が起きた直後ではなく、影響が出て来るのは、半年、1年後あたりからです。
2021年3月の完全失業率は2.6%ですが、リーマンショック直後が4.1%、その1年後は、5.9%まで上昇し、その後3年間は失業率が高止まりしていました。
バブルが崩壊した1991年前後の完全失業率を見ても、1990年には2.1% → 1994年には2.9% → 1999年には4.7%にまで上昇しています。
となると、今回のコロナも今がまさに渦中ですから、失業率を中心に大多数の人が「これは明らかに不況だ」と感じるのは、まだ先になります。
ただでさえ、オリンピックが終わるとオリンピック不況が来るのですから、歴史的に見ても不況になることは免れません。
アメリカを始め、ワクチン接種が進んでいる国は、反動消費で景気が回復しているといいますが、メディアによっては「景気回復シナリオに誤算が生じてきている」といい始めています。
コロナによる大判振舞いの財政出動(つまりお金の大量発行)、貨幣価値の減少(インフレ)、消費不況(失業率に伴う購買力の低下)、財政難からの新たな税負担など、どう現状を捉えても、中長期的に好況になる材料が見当たりません。
仮に藤冨の予測が外れて「中長期的に見ても好況期が訪れる」となったとしても、最悪の状況を想定して、最善を尽くしておけば…転ばぬ先の杖。
不況、好況どちらに転んでも、生き残ることはできるでしょう。
では、それまでに、どのような準備をしておけば良いか?
一言で言えば、既存事業の強化または、新規事業を1年以内に芽吹かせることが大事です。
各業界によって、半年後、1年後の消費者の意識、購買行動がどのように変化するのか?によっても、戦略は変わってくると思います。
しかし、新しい時代でも生き残り続けるための条件としては…
・自社の強みが発揮できること(顧客から評価をされている技術やノウハウなど)
・既存事業にシナジー効果が働くこと(市場または製品のいずれか)
・リーダーがその成功に対して強い執着心と高い集中力を注げる分野であること
・今のお客さんが抱えている課題・問題を解決する商品・サービスであること
または、これからのお客さんが憧れる世界観を提供する商品・サービスであること
・商品の企画時点で、売れる営業トークを開発すること
この5つの条件を押さえておけば、既存事業の活性化であろうと、新規事業の創出であろうと、大失敗をすることはありません。
そして、安易に物真似をしないこと。
この条件も押さえておいてください。
時代が断絶する時は、歴史的に見ても、「多数の時代遅れの人たち」を生み出しています。
誰かの真似をして安心感を得ても、その真似した対象が「時代遅れの人たち」だったら…
あなたの会社も一緒に市場からドロップアウトさせられてしまうかも知れません。
例えば…ですが、今緊急事態宣言で、飲食店に営業時間規制、酒類提供規制がかけられています。
大多数の飲食店の対策を見ると「テイクアウト 」や「デリバリー」への対応です。
大手企業なら、それで良いでしょう。
しかし、中小企業が右へ倣え!したって、小遣い稼ぎ程度の収入増しか期待できません。
マクドナルドを世界に広めたレイ・クロックは「独自性こそ、最大の利益を生む」と言いました。まさにその通りです。
ベットタウンなどで地域の人々に愛されているレストランなら、「弁当や惣菜のテイクアウト 」ではなく、「レストラン料理のテイクアウト 」を提供するなど、本質的な対応を試みるべきです。
具体的には…
お刺身の販売だけではなく、お皿やグラスのレンタルをする。
地元のスーパーや酒販店では入手困難なワインや日本酒の販売をする。
中間食材(出汁やスープ、タレなどの仕込み品)を提供し、家で本格料理を作る「下地」を提供する。
などなど、「餌としての食事をテイクアウト 」するのではなく「楽しむ為の食事をテイクアウトする」という発想で企画を考える…など、他店との差別化や顧客が真に求めていることに対応することが大事です。
それが、本来の商売の原点であるはずです。
飲食店に限らず、「お客様は本質的に何を求めているのだろうか」と思考することで、新たな活路はまだまだ見つかるはずです。
御社のお客様は、本質的に何を求めていますか?