「事業の明暗を分けるのは努力だけじゃないですね。今回のコロナで大打撃をくらって、お先真っ暗な状態です」
先日、知り合いの飲食店経営者がポロッと本音を漏らしました。
普段のFacebookの投稿を見る限り、快活な印象を受け取って安心していたのですが…現実はかなり深刻な様です。
政府の補助金と家賃保証、さらに払えるか払えないかわからない借金によって、キャッシュリッチの状態にはあるものの、この先どう会社の舵取りをすれば良いか頭を抱えている様子。
お金があるうちに廃業をして、別な仕事をやろうかな…とも漏らしていました。
飲食業に限らず、建設・工事業、ホテル・旅館、アパレル小売店、食品卸、タクシー業界も、コロナの影響で急激な業績悪化に陥っています。
冒頭の社長がこぼした様に、努力だけではどうにもならないのが「外部環境」です。
自社ではコントロールできない外部環境は、ある種「運命」ですから、受け入れるしかありません。
でも運命だからといって、死ななければ何とでもなります。
飛行機事故や交通事故で、命を落としてしまう様な不幸な運命は、現実を受け入れざるを得ませんが…
命ある限り、運命はあくまでも「一つの環境変化」でしかない訳ですから、対処の道は、「正面突破」「順応」「回避」のいずれかを選択できます。
明石家さんまさんが「生きているだけで丸儲け」という名言を残していますが、逆境に追い込まれれば、ハングリー精神は芽生えやすくなります。
運命だから…と肩を落とす必要も、塞ぎ込む必要も、自暴自棄になる必要もありません。
努力でどうにでもなるものです。
努力ができない時には、そこには必ず原因があります。
私が知り得る「努力ができない時」には3つのパターンしかありません。
もし、努力ができない…と空回りしたり、落ち込んでしまったら、まずは「その原因」を特定することが大事。
「努力できない原因のパターン」は以下の3つに集約されますから、もし今「努力したくてもできない」という状態にいたら、ぜひ参考にしてください。
- 努力しても結果を出す自信がない時
結果を出す自信がないのなら、パワーが出ないのは当然です。
まずは、自分の強みを持って戦える「土俵」を設定することが大事です。
自分の強みを発見するには「他者からのフィードバック」が重要です。
藤冨のコンサルティングでは、「真の顧客評価」を掌握するプロセスとノウハウを提示していますが、クライアント企業の社長さんからは「強みの再発見になった」と口々に言われています。
強みの見つけ方は、2015年7月14日に「第164話 「強み」の見つけ方」と題したコラムに書いていますので、ご興味のある方は合わせてお読みください。
https://www.j-ioc.com/wp2024/column/2233/
- 強い恐怖心に駆られている
「緊急事態宣言」によって、売上が激減してしまった飲食業の経営者の身になって考えると、とても軽々しい「対応論」などは言えないのですが、それでも果敢に戦って業績を伸ばしているところがあるのは事実です。
時短要請に応じなかったグローバルダイニングが2021年1月から3月までの3カ月の連結決算で、純利益が、1億7,500万円の黒字になったと発表しましたが、感情論で世の中を統制するのではなく、論理的に対処すべきです。
アメリカに住む方から直接聞きましたが、アメリカでは「営業時間の短縮」ではなく、「席数の削減」によってコロナ感染の拡大を阻止している様です。
様々な見解があろうかと思いますが、私にはアメリカの対策の方が理にかなっているとしか思えません。
グローバルダイニング社単体で政府と闘うのではなく、外食企業が連合体を作って、真に効果的な感染予防対策を論じられる専門家を雇い、確かな論拠を持って政治家に対して異論を呈す努力が大切なのではないでしょうか。
話がディテールに入り込んでしまいましたが、強い恐怖心に駆られた時には、「仲間を作る」「専門家の助言を得る」など、他者に助けを求める努力をすることです。
単独で戦うなら「正面突破」以外の道も探すことを検討すること。
営業時間短縮や酒類提供禁止に「順応」し、デリバリー、テイクアウト といった他社との追随行動だけでなく、2018年のコラム(第305話 720mlのボトルティーを60万円で売る商売センス https://www.j-ioc.com/wp2024/column/5361/)で紹介したお茶をショットで提供するなど、新しい業態開発も考えられます。
若者のアルコール離れに対応した「ノンアルコールを楽しむ空間と料理提供」は、まだまだ未開の地です。
新しい試みで「メディアからの注目」を買うのも、今ならではの施策です。
また、既存業態に見切りをつける「回避」の道も決して消極的な姿勢ではありません。
勇気ある撤退は、一つの正しい戦略です。
今後ますます所得の二分化は進んでいくでしょうから、「小予算で食事を楽しむ”何か?”」として「オンライン料理教室+パッケージ化された材料提供」などのサービスは、これからの消費者に支持される可能性が高いです。
いずれにせよ、強い恐怖心に駆られて「努力」ができない状態になったら、「誰かに頼るか」「第三の道を探究」することで、努力できる「活力」を自分の中にインストールしましょう。
最後の3番目の努力ができない原因である「怠慢」は、完全なる自己責任。
遊びや欲求に支配されている状態で、本来やるべきことができない状況にある時は、それに気づき、自ら「欲」を断ち切る以外にありません。
また、真の原因を探究する努力を怠るのも、「怠慢」の一部です。
周りの意見やマスコミなどの情報に踊らされやすい社会環境にあるのは事実ですが、それでも「真の原因は何か?」という探究心は忘れずにいたいものです。
最終的には、自分や家族、仲間を守るのは、自分自身ですから。
以上、努力ができない原因の3つを提示し、その対応策について書き綴ってみましたが、もしあなたが努力すべき時なのに、努力ができない時は、一度冷静に内観をしてみてください。
正しく原因が特定できれば、必然的に「正しい対応策」が見つかります。
あとは、その正しい対応策を信じて「努力」するのみです。