とことん「本質追求」コラム第459話 営業力を劇的に向上させる4ステップ提案法

 

今日のコラムは、前回の「第458話 営業力を引き上げる三大ポイント」(https://www.j-ioc.com/wp2024/column/7658/)の続きを書き綴ります。

 

営業力を引き上げる3大ポイントとして、

1.キーマンを手繰り寄せ

2.宿題や見積・提案などは即対応を行い

3.愛情を持って、4つのアプローチで相手に貢献すること

と、お伝えしました。

 

1は、強い気持ちと多少のテクニックが必要ですが、2の即対応は「やる気」と、周囲を巻き込む力があれば、なんとかなります。

 

しかし、最後「愛情を持って、4つのアプローチで相手に貢献すること」は、一筋縄では行きません。

愛情を持って、相手に貢献することの「目的」は、相手に信頼してもらい、こちらが提案する内容を受け入れてもらいやすくするためです。

 

友人、知人、家族ならともかく、会って日の浅い人から「信頼」を勝ち取るのは、簡単ではありません。

 

営業活動は、信用してもらうだけでは、受注活動は不安定になりがち。

 

「信用」から「信頼」に昇華し「よし任せた!」と頼ってくれる関係性ができることで、受注活動が強固なものになっていきます。

そして、「信頼」から「信任」に昇華できれば、長く安定的な受注活動を続けることができます。

 

では、「信用」→「信頼」→「信任」と、商談相手が売り手を頼りにし、任せてくれる状態に持っていくためには何が必要か?

 

それが、「愛情を持って、4つのアプローチで相手に貢献すること」なのです。

 

その4つのアプローチとは、

 

相手の置かれた状況を正しく掴むための「観察能力」

相手の本音を汲み取る「ヒアリング能力」

何が本質的な問題なのか…を追求する「構造主義」を捉える能力

そして、何をすれば相手に貢献できるか…を想像する「構想力」や「対応力」

 

この4ステップを着実にこなしていくことで、「信頼」や「信任」を勝ち取ることができます。

一つずつ見ていきましょう。

 

①   相手の置かれた状況を正しく掴むための「観察能力」

 

買い手に提案をしたいのであれば、まず相手の満足度を満たす「材料」を探すことが大切です。

提案とは、相手に「こうしたら、もっと良くなりますよ」「今の問題が改善されますよ」と諭し、相手から「ほーそうか」「なるほど、その手があったか!」と思ってもらうことができれば「受注確度」は、上昇していきます。

 

つまり、今の状況を正しく知ることが大事なのです。

そんなのアタリマエだろ…とスルーしないでください。

 

意外にも多くのケースで、「商談相手が求めている本質」を営業マンは知らないケースがほとんどだからです。

嘘でしょ…

と冷や汗が出る経営者を、これまでコンサルティング現場で沢山見てきましたが、これは現実です。

 

相手が求めている本質を理解していないのは、買い手の立場に立って物事を見ていない証拠です。

買い手の立場に立って、物を見るためには、相手の置かれた立場にまず立ってみることが大事です。

 

もちろん相手の立場に立つことが、物理的に不可能な場合もあるでしょう。

鉄鋼メーカーに工作機を提案しようとメーカー営業マンが、自分で鉄鋼を作ってみることは物理的に不可能です。

だからこそ、「観察」が大事なのです。

 

なぜなら、商談相手は、自分自身の問題点を認識できていないケースもたくさんあるからです。

そもそも、買い手は自分自身の問題を知らない…

そう思って、じっくりと観察し、「もしかしたら、●●が問題かも」と仮説を企てる力が売り手に求められているのです。

 

 

②   相手の本音を汲み取る「ヒアリング能力」

ヒアリングで重要なのは、事実確認です。

上述の「観察結果」を「なぜ、それを行っているのか?」の事実を聞き出すことがポイントです。

 

例えば、「眠れない」という患者に対して「夜、テレビやスマホなど電子機器を何時間くらい見ているのか」「カフェインの摂取量はどのくらいか」「お風呂は、就寝時間の何時間前に入っているのか」などの事実を聞くのです。

この事実を知らなければ、問題の原因すら掴めません。

 

こうして「事実(現状)」を知ったら次は「問題」を浮き彫りにしていきます。

 

例えば、夜2時間以上もスマホをいじっていたら、「なぜスマホをいじっているのか?」の理由を聞くのです。

そして、回答の理由に対して「え?どうして、どうして?」とどんどん掘り下げてみると、その人が抱えている本質的な「問題」が見えてくるものなのです。

トヨタの改善活動で行われている「5つのWHY」を営業活動に取り入れる感じです。

 

そして、「問題」が共有できたら、今度は、その問題が引き起こしている「様々な悪影響」についても仮説を作って、さらに買い手に投げてみる。

「眠れない原因がコーヒーをガブ飲みをする習慣であったら、”胃痛が起きていないか” ”下痢が続いていないか?” ”めまいや頭痛がないか”」などのカフェインが人体に及ぼす悪影響の知識を総動員させてヒアリングしてみるのです。

 

もし、あらゆるところに悪影響が出ていたら「カフェインの摂取習慣が睡眠不足だけでなく、他の症状も引き起こしていたんだ…。」と「問題の深刻度合い」を買い手に強く抱いてもらう様「誘導質問」をし続けていくのです。

尋問にならないように、さりげなく…ですよ。

 

 

③   何が本質的な問題なのか…を追求する

 

「問題」「問題が引き起こす影響範囲」を買い手から引っ張り出せるだけ、引っ張り出したら、今度は「他の人(他社)にも同じ問題が起きていないか…」をリサーチします。

 

他にも類似例があれば、それは「特殊な問題や課題」でなく、「構造的な問題」が潜んでいます。

構造的な問題であれば、買い手も「自分だけじゃない」と安心をして、気づかせてくれた買い手に心を開き、話を信用してくれるようになります。

 

「あなただけじゃない」

この言葉が持つ魔力は営業では絶大です。

ここまで、問題を整理でき、商談相手と共有できれば、クロージングまであと一歩です。

 

④   何をすれば相手に貢献できるか…を想像する「構想力」や「対応力」

 

「現状」「問題(課題)」「問題が引き起こす影響」が理解でき、それが普遍的な問題だと知ったら、買い手はその問題解決に対して意欲的になるのが普通です。

 

その上でどうやったら、最も買い手にとって最適なアプローチで「問題や課題」を克服できるか?を相手の目線で構想し、伝えることができるか?が商談をまとめる肝になります。

 

・相手がその課題を解決したときの経済的なメリット

・相手がその問題を克服することの重要性

・相手が問題解決に至るまでのリスク(売り手にとっては売上、顧客にとってはリスクであることを含む)

 

これが分かれば、提案の方針はほぼ決定します。

そして、これが相手の立場に立ったものであれば、自ずと買い手は「信頼」し、売り手の知識と姿勢に敬意を払って「信任」してくれるようになるものです。

 

サラッと書いてしまいましたが、「言うは易し行うは難し」です。

買い手や世の中を変えてやる!と言った社会愛無くして、この追求心は生まれません。

 

しかし、愛情があれば、必ず相手にも伝わります。

 

御社の営業マンは「愛情」を持って、新規顧客に接していますでしょうか?

そして、買い手にちゃんと貢献して満足を勝ち取ろうと、買い手の課題解決に真剣に向き合っていますでしょうか?