「肝いりの新商品の反応がイマイチでして…」
コロナ禍で既存事業が痛む中、果敢に新規事業にトライしている定期訪問している企業さんからのご相談ごと。
業界に風穴を開けるような「価格破壊」を起こす商品。
原則的には、中小企業の「価格訴求型新商品」は、反対する主義ですが、前提が変われば、判断も変わります。
まず、大手メーカーの「仕入商品」であったこと。
そして、その仕入商品がフロント・エンド商品となり、バックエンドが「本業」に連動する導線が確立できることの2つの条件が重なったために、思い切った「価格訴求」を行いたい!との意思を汲み、藤冨も援護射撃することになりました。
しかし、蓋を開けてみると反応は鈍し。
再度、市場(潜在顧客)から見た「商品コンセプト」を見つめ直す会議を行うと…
なるほど、大事な視点がすっぽりと抜け落ちていたのです。
プロジェクト開始時に、競合商品の売れ行きが伸びていて、この激安価格なら飛びつくに違いない…との話を鵜呑みにしてしまっていましたが、よくよく調べてみてもらうと普及率は、まだ10%未満。
商品ライフサイクルにおいては、まだ導入期。
普及率3.5%の壁は乗り越えていましたから、この導入期における購入者タイプは挑戦者(アーリーアダプター)です。
成果を出すのに大切なことは、ターゲットに響く、営業方針を組み立てること。
この視点が欠落していたのが、冒頭の失敗の理由であることは間違いありません。
挑戦者(アーリーアダプター)は、「経済的余力がある」「積極的な投資マインドを持つ」「投資対効果を期待している」の3つの特徴があります。
経済的余力は、その分野に対してお金を払う習性があることで、決して「お金持ち」と言う意味ではありません。
鉄道マニアは、カメラや旅費を惜しまないが、食費に関してはケチかも知れない。
逆に、美食家は食に対しての優先順位は高いが、他の出費に関しては絞っているかも知れない。
このように、ある分野に対して積極的にお金を払う習慣があることを「経済的余力」と言います。
積極的な投資マインドを持つ、という性質は、言葉の通り。
したがって、価格訴求よりも、その商品を買うことによる「チャレンジング精神」を掻き立てるような訴求が響きやすい特徴があります。
3つ目の投資対効果に関しては、導入初期段階の「冒険者(イノベーター)」と異なり、投資に対しての明確なリターンを求めています。
したがって、投資に対してのメリットを明確にイメージできるようにすることが肝心。
このように普及率から定義する「ターゲティング」が明確になると、必然と「セールス」の方針が明確になるのです。
ターゲットとなる「ある一定層の人種」が、どのような媒体に接触しているのか…が分かれば広告を打ちやすくなります。
また、どのような言葉に反応がしやすいか…が分かれば、セールストークを組み立てて、ホームページやチラシなどにも展開ができます。
もちろん、営業トークとも連動していきます。
「第454話 小資本・短期間・高収益を目指す新規事業の進め方 https://www.j-ioc.com/wp2024/column/7632/」でも書きましたが、「誰のための何のための商品か?」を読み違えていない限り、大きく外れることはなく、仮説―検証を繰り返すことで売上は伸長し、事業へと成長させることができます。
商品戦略もロングセラーを目指すのであれば「磨き続けること」が大事ですが、これは「販売戦略」も同じです。
販売戦略も磨き上げることが大事なのです。
見込客を発掘するために、どのようにリードを作るのか。
・PPC広告からホームページに誘導するのが良いか?
・ハガキDMからホームページに誘導するのが良いか?
・それともダイレクトにDM一本勝負で行くか?
・白地のリストを入手して、電話営業をするか?
・飛び込み営業をしながら、直接お客様の反応を見てみるか?
などなど、商品の性質、商品ライフサイクルの状態、ターゲット特性(地理的、購買動機などの要素)を鑑みながら、適切なアプローチを見出していく。
さらに、アプローチの際に、どのような言葉やイメージ写真を打ちだすと、潜在顧客の「気づき」につながるのか?を企画・開発していく。
うまくいかない時は、なぜ上手くいかないのか。
さらなる仮説ー検証を繰り返し「売れるツボ」を見出していくことで、事業は右肩上がりのステージへと移行していきます。
成功するか否かの最大のポイントは、その仮説ー検証を繰り返せるだけの「強い動機づけ」が事業主にあるか否かです。
よく”諦めなければ成功する”と言いますが、それはある意味本当。
無策やピントがずれた努力は、いつまでたっても成長はしません。
しかし、有効な「仮説」…つまり『売るためのアイディアの引き出し』がある限り、諦めずに突き進むことで、成果へとつながって行きます。
執念深く、「なぜ成果が出ない」「どうすれば成果が出る?」を繰り返し、繰り返し探求することで、道は見えてくるものです。
結果に対して、一喜一憂するのではなく、冷静に「企てた仮説の成果」を見極めていくことが大事。
そして、企てた仮説がうまくいかなくても、次々と「成果を出すアイディア」が湧き出してくる執念や強い動機づけが、「成果」に導いてくれるものです。
御社が新規事業にかける熱には「強い動機」が根付いているでしょうか?