企業の業績が飛躍するとき・・・必ず何かしらのイノベーションが起きています。
イノベーションを市場や顧客が受け入れれば、売上は急伸し、受け入れられなければ、奈落の底に突き落とされる。
成功か、失敗か・・・それはどんな企業でも、どんな商品であっても、フタをあけてみないとわかりません。
ただ、一つ断言できることは、どんな企業でもイノベーションが起きない限り、業績の飛躍的向上は得られないという事です。
経営の神様と呼ばれたドラッカーも「企業にはマーケティングとイノベーションだけが企業に成果をもたらす」と明言しています。
俯瞰してみると当然ではありますが、新しい価値を提供しなければ、顧客を魅了することはできないし、その価値を伝えるマーケティングが機能しなければ、存在すら発見してもらえません。
イノベーションで価値を生み出し、マーケティングや営業活動で伝えることが、企業の基本的機能という事になります。
そのイノベーションには、3つの切り口があります。
一つ目は、新商品や新規事業で新たな価値を問うこと。
二つ目は、既存商品のまま、顧客が受け取る価値を変えて、新しい価値を問うこと。
三つ目は、今までにない売り先を開拓して、顧客に価値を気づかせること。
この3つのいずれかが成功したとき、企業の成長力を押し上げてくれるのです。
さらにイノベーションは企業の利益体質にも影響を及ぼします。
「新しい価値を提供するということは、新しい価格設定ができるという事」です。 つまり、価格競争に陥らない「新境地」に立つことができるというわけです。
但し、新商品や新規事業はコストもかかるため、失敗時のリスクは大きくなります。
リスクなきところに利益はないので、果敢に挑戦すべきですが、成功する「元ネタ」があるのに、あえてリスクを冒す必要はありません。
既存商品の価値を捉え直して、切り口を変えて販売してみたり、新市場に提案するなど、開発投資も最小限に抑えながら、効果絶大なる切り口はないか・・・ココからイノベーションを着想することが重要です。
先日、日経MJ紙に「車載用消臭・芳香剤 スーパーで主婦開拓」という記事を拝見しました。 それによると、P&Gジャパンが車載用芳香剤で、市場シェア9%から30%に急伸させた戦略が克明に描かれていました。
もともと車載用芳香剤のチャネルは「カー用品店」などの専門店です。 来店客も男性ばかり。
そのため、色もニオイもキツく、デザインもゴテゴテ。
ヤンキー兄ちゃん御用達! という空気を醸し出していて、どうも手が出にくい人も多かったのでは・・・私も感じていました。
ところが、多くの人は車の中のニオイが気になる。。。
しかし、それに対応した商品が売られていない。
その需給ギャップに目をつけたのがP&Gジャパンだったわけです。
・カーエアコンの送風口に簡単に取り付けられる簡易性
・女性でも違和感のない可愛いデザイン
・ドギツイ香りを避け、柔らかな香りで、しかもニオイの調整つまみもつける気配り
さらに・・・ カー用品店には足を運ばない主婦の導線に入れるため、スーパーマーケットを新たなチャネルとして開拓していったのです。
結果は冒頭のとおり、大成功。
11年まで縮小傾向だったマーケットが12年には、一般小売店がけん引して前年比16%も市場が拡大するほどの影響力を与えたようです。
まさに「今までにない売り先を開拓して、顧客に価値を気づかせるイノベーション」で成功した好事例と言えるでしょう。
現在、お手伝いさせて頂いている企業でも、思わぬところにビックマーケットが眠っていました。
新商品が思うように売れずに、そのテコ入れ策を講じるために依頼された案件でしたが、事業分析をしているうちに、「既存商品を新市場に販売する切り口」の方が、がぜん面白い事に気づきました。
イメージが伝わるよう簡単な資料を作って訪問し、会議の合間に、ホンの触りだけを切り出したのですが・・・
会議テーブルが一瞬静まったあと、営業部長が「それ、やりたい!早く営業に行きたくなってきた!」と大盛り上り。
既存商品ではなく、新商品が議題だったので、一旦打ち切りましたが、後日電話で話したら、社長もかなり真剣にお考え頂いているようです。
事業規模は、現在のおよそ2倍。想定販売価格は現在の3倍は取れる新市場です。
独壇市場での事業推進のため、一気にシェアを取れれば、業績倍増も夢ではありません。
もともと、とある業界で6割以上のシェアを持つ「超優良企業」。
成功確率は極めて高い! 今後の展開にワクワクしています。