とことん「本質追求」コラム第443話 売れる企画を絞り出す為には時間と情熱を注げ

 

『有名なクリエイターにプロモーション戦略を依頼したのですが…さっぱり売れなくて。あれは完全に失敗しました』

 

 

先日、藤冨のオンライン相談を受けてくれた社長が、肝入りで始めた事業が頓挫している状況を訥々(とつとつ)と語ってくれました。

製品化にこぎつける開発費用のみならず、パッケージからWEBデザイン、チラシに至るまでのクリエイティブもその道の一流と言われる人に依頼。

ベンツのSクラスが購入できるくらい投資をしたのに…と肩を落としていました。

 

詳しく話を伺うと、残念な結果に至った一つの要因がくっきりと見えてきたのです。

 

その理由を一言で言うと「クリエイターの暴走」でした。

 

と言っても、クリエイターだけでの問題ではありません。

発注者側にも、原因があります。

 

著名なクリエイターに任せれば、うまくいくのでは? という丸投げ思考が、私との会話でも垣間見れたこと。

そして、何よりもその優秀なクリエイターを破格の値段で発注されていたことが、「暴走の原因」だったと確信を持ちました。

 

このことはオンライン相談でも、単刀直入に申し上げました。

 

クリエイターに求めていたものはなんでしょうか?と。

もっとストレートに言うとクリエイターにお金を払って購入しようとしたものはなんでしょうか?

 

「売れる企画」ですよね?

 

売れる企画を絞り出すには、まず「商品の深い理解」が必要です。

・どのような”想い”を持って作り出されたものなのか

・その商品を作り出す為に、特異技術は使ったのだろうか

・素材の特異性はあるのだろうか

・製造工程に創意工夫があったのだろうか

・商品そのものの特徴はなんだろうか

・直接競合商品にはない差別化ポイントはあるのだろうか

・間接競合商品の存在はあるか

・買い手は、その商品に何を本質的に求めているのだろうか

・顧客がその商品から受け取れている「メリット、効用、利益」はなんだろうか

 

売れる企画を絞り出すためには、思考する為に必要な情報を頭に詰め込み、類似事例から「成功例、失敗例」のフィルターを通しながら、アイディアを考えだす必要があります。

 

その為には、作り手であるメーカーからのヒアリングが必須になります。

1回、2回だけではなく、3回、4回と打ち合わせを重ねていかないと、とてもではありませんが、売れる企画に必要な情報を入手することは出来ません。

 

さらに、実際の顧客の話を聞いたり、競合商品を眺める時間も必要です。

 

真摯に商品と向き合い、そしてその商品を購入するであろう消費者の気持ちにも寄り添って考え抜かなければ「売れる企画」など、絞り出せるはずがないのです。

 

時間がたっぷりあれば、良い企画ができるわけではありません。

しかし、ターゲットの感情、購買行動の分析から、商品が顧客に与える「メリット、効用、利益」、使用場面の明確なイメージと競合商品の分析をした上で、「どうやって売るか?」を考える為には、それなりの時間が必要になります。

 

優秀なクリエイターだって、人間です。

買い叩かれれば、良い気持ちにはなりません。

思考する為に必要な情報を仕入れ、売れる企画を絞り出していくための時間をかける気持ちも薄れてしまうかも知れません。

 

もちろん、これはクリエイター自身が一番自覚しているはずです。

自分のモチベーションが落ちている状態で「売れる企画」など出来ないことは分かっているはずです。

本来なら、受けるべき仕事ではなかったはずです。

 

実際、発注者とのヒアリングも、2回行っただけ。

途中のコミュニケーションも乏しかったらしく、チャチャっと成果物を仕上げてしまいたい!という思考回路が、側から聞いても手に取るようにわかりました。

 

ジャストアイディアなら、一瞬で浮かぶかも知れませんが、本当に売れる企画に昇華させようとすると、それなりの時間、労力が必要です。

 

「売れる企画」を絞り出す為には、能力も当然ながら必要ですし、経験値も必要です。

しかし、いくら能力や経験値があっても、プロジェクトにかける時間と情熱がなければ、成功するものも成功しません。

 

どんなに優れた製品でも、商品として消費者に受け入れられるよう「見せ方(魅せ方)」を整えなければ、「欲しい、買いたい」と言う感情は湧き起こすことは出来ません。

 

どんなに優れた商品であっても、「売れる企画」が練り込まれていなければ、「よし買った!」と消費者に決断させることは出来ないのです。

 

 

御社では、売れる企画に時間と情熱を注いでいますか?