とことん「本質追求」コラム第16話 あなたは営業リーダーの資質はありますか?

週末にふと”ある事”を思い出し、20年前に読んだP.F.ドラッカー氏の「未来企業」を読み直しました。

そこには、私が前々から研修先やクライアントさんに”口を酸っぱくして注意”している「値引きキャンペーン」についてズバリ指摘されていました。

キモの部分を抜粋しましたので、ぜひご覧ください。

 

■新規の顧客がいない■~未来企業より抜粋~

GM、クライスラー、そしてそれほどでもないが、フォードも、80年代の末、顧客を買収しようとした。その結果は悲惨だった。

客が日本車に流れていくのを見て、これらビックスリーは、値引き、返戻金、低利や無利子の融資と、特別なインセンティブを次から次へと提供した。

それぞれが売上増につながり、成功としてもてはやされた。

しかし、そのインセンティブがなくなるや否や、売上が激減し、インセンティンブをつける前よりも小さくなった。

顧客向けの特別インセンティブは、何ら新しい顧客を開拓するものではなかった。 
アメリカ車を買うことに決めている顧客は、常に次の特別なインセティングを待つだけだった。

しかも新しい顧客になってくれたかもしれない人が、横を向いてしまった。 
「投げ売りでしか売れないのなら、大した車ではないだろう」が、彼らの反応だった。

その結果、アメリカの大衆はビックスリーの最近五年間における品質や、サービスやスタイリングの大幅な改善さえ、無視するようになってしまった。

■■■ここまで■■■

この書籍が発売されたのは、1992年。 

その17年後の2009年にアメリカのビックスリーと言われたGMとクライスラーともに経営破綻しました。

これは歴史に残る出来事だったので、皆さんも記憶に残っていると思います。

構造的な問題を解決せずに、目先の売上高を追ってしまうと、企業は間違いなく弱体化します。

ましてや、定期キャンペーンなんて、愚の骨頂。 

そんな販促をしたら、顧客はその時にならないと、商品を購入しようと思いません。 

構造的に考えればわかることです。 

車でさえ命取りになるのに・・・ 
鮮度が命の商品を取り扱っている場合、流通業者に買い溜めなんてされたら、品質劣化により最終顧客の評価は奈落の底に落ちてしまいます。

「品質が悪い商品を扱っている企業」と顧客から烙印を押されて、生き残れる企業なんて存在しません。 

いいですか? 

私が売上予算ありきの営業は、マズイですよ。と言っているのは、まさにこの事です。

今、多くの産業分野で構造的問題に直面しています。 

にも、関わらず旧態依然として、過去のやり方をなぞって戦略や戦術を組み立て、その上で予算を順守しろ! と言っているのなら、それはリーダーの【怠慢】以外の何者でもありません。

目先の予算をクリアするのは営業マンの努めです。 

だからと言って、間違った方向に向かって営業マンや社員を一生懸命努力させていているとしたら、リーダー失格です。 

リーダーである営業幹部が構造的問題に気がついたら、予算達成を据え置きにしてでも、根本的な解決策のアウトプットを最優先すべきなのです。

いえいえ、営業の最高責任者である社長が、それに気づいたら、営業幹部を引っぱたいてでも、断行させるべきです。

定期キャンペーンに関わらず・・・ですが、その場しのぎの戦略や戦術しか組み立てられないのなら、リーダーは即刻降格しなければなりません。

リーダーは、構造的な問題に真正面から対峙しなければならないからです。

構造的問題は、必ずじわじわと企業の土台を蝕んでいきます。 
GMやクライスラーの事例を出さなくてもお分かりでしょう。

この記事を読んでチクッと来たら、一刻一秒と問題を先送りにせず、構造的問題の解決に着手して欲しいものです。