とことん「本質追求」コラム第379話 営業と商品開発の共通点

 

 

 

「藤冨さんは営業の専門家なのに、どうして商品開発の分野まで助言できるのですか?」

 

先日、メルマガの読者さんから感想を兼ねて、尋ねられた質問。

 

セミナーに参加された方やコンサルティングでお手伝いした企業の皆さんは、ご存知の方が多いと思いますが、私が営業を初めてやったのは、「商品開発専門のマーケティングコンサルタント会社」がスタートです。

 

同社では、セミナー集客にまつわる諸作業、セミナー参加者への挨拶回り営業が主業務でしたが、受注した案件は社長が同席を許してくれて、様々な業種の商品開発の現場で実務勉強をさせてもらいました。

 

・家電メーカーでの「翻訳機」のコンセプト・リメイク。

・食品メーカーでの「新しいカップラーメン」のコンセプト開発。

・トイレタリーメーカーでの「不織布を活用した新商品」のコンセプト開発。

・医薬品メーカーでの「骨粗鬆症の薬」のコンセプト開発。

 

など、多岐にわたる分野を見聞きさせてもらうことで、「顧客は商品を買っているのではなく、メリットを購入している」という本質を脊髄に染み込むまで浸透させる時間を作ってもらいました。

 

今でも同社の社長にはお世話になっていますが、この貴重な経験なくして、今の私はありません。

 

3年ほどお世話になったものの、学歴のない私では、大手企業相手のコンサルティング会社に勤め続ける未来を描けずに退社することに。

 

次に入社したのが株式公開を目指す外食産業向けに情報システムを提供するIT企業でした。

 

営業は実力のみでの評価ですから、気が楽です。

 

入社3日目から1日200本以上のテレアポ生活が始まり、初年度で1億円の売上を上げることが出来ました。
当然、最初の半年間は、先輩営業マンの同行営業からスタートしたので、一匹狼での成果ではありません。

それでも、独り立ちした後も、テレアポのみのキッカケ作りから、コンスタントに1億円超えの売上を上げていきました。

 

当時は、ホームページも何もないですから、全てプッシュセールスです。

 

成果をあげることが出来た理由は、明確に認識できていました。

 

当時から私は、システムを販売しているのではなく、システムを利用することによるメリットを販売していたので、様々な業種や規模の会社にも心に刺さるセールストークの引き出しを開けられたのです。

 

営業の目的は、商品を売ることです。

商品開発の目的は、売れる商品を作り上げることです。

 

どちらも目的は「売上を上げること」です。

 

営業は、その目的を達成するために、見込客を見つけ、商談を通じて「あなたが、この商品を使えば、こんなメリットがあるのでは?」と、商品の利用イメージを魅力的に伝えていきます。

 

 

商品の機能や性能をいくら自慢しても、商談相手に、その商品を使うメリットが理解できなければ、受注には及びません。

 

至極当たり前のことですが、これを意識して実行し続けるのは、決して容易いことではないはずです。

 

実際、現在の立場になって様々な企業に訪問し、営業マンに「顧客の立場に立って、この商品を使うメリットはなんですか?」と質問し、的を射た回答をスパッと話せる営業マンは、一握りの存在です。

 

本当かな?と思ったら、ぜひ社員一人ひとりに聞いてみてください。

 

 

商品開発の世界では、(売上を上げる)目的を達成するために、誰に対して、どんなメリットを与える商品なのか?を考え抜いた結果、その商品に必要な機能や性能を定義していきます。

 

当たり前の思考プロセスのように感じるかも知れませんが

ここも多くの中小企業では、ステップが逆になっているケースが大半です。

 

こんな性能の商品はないはずだ! よし試作に回してみよう!

あんな機能は、どこにもない。開発に成功したらテレビに出られるかもしれない!

 

と「買い手」の目線、立場に立った単語がどこにもないケースが意外にも多く見受けられます。

 

 

出発点を顧客からスタートしなければ「売れる商品を開発する」という本来の目的を達成できません。

 

「売れる商品」に仕上がっていない場合は、営業上での苦労を伴います。

 

営業マンの金太郎飴化は、現実的ではないものの、それでも営業マンの成績格差が著しい場合は、「商品のあり方、見せ方」が顧客の立場で研ぎ澄まされていないことの方が大半です。

 

その場合、営業レベルでの見直しの前に、商品開発レベルでの見直しをしなければなりません。

 

売りにくい商品のまま、営業マンを活動させると、その営業コストが無駄に垂れ流されてしまうからです。

 

売れる商品に仕立て上げることが先決なのです。

 

 

営業のテコ入れをしたい!

とご相談を受けることが多いのですが、現実は「商品のあり方、見せ方」からブラッシュアップした方が、成果が出やすいのは、そうした現実があるからです。

 

売上を上げる!という目的を達成するには、どこにボトルネックがあるのか?

何にメスを入れれば、成果につながるのか。

 

専門バカにならないように、俯瞰してみる目が必要だと、常日頃感じています。

 

御社では、「売れる商品」を営業マンに与えていますか?