名刺は「会社の財産」です。
ところが、多くの企業では、お客様の名刺は「営業マンの机の引き出しにある名刺フォルダ」に収められているのが現実で、会社としての資産になっていないケースが散見されます。
いま、私が顧問をさせていただいている会社では2年前に全営業マンから名刺を提出してもらい、データベース化を図りました。
すると3000件以上もの「宝の山」が出来上がったのです。
野村証券の伝説の営業マンである市村洋文氏は、著書「昼メシは座って食べるな!」で名刺の大切さでこう書いています。
「名刺を粗末に扱う人や名刺の管理ができていない会社を私は絶対に信用しない。それは相手をないがしろにするのと同じだからです」
正直、市村氏ほど徹底はできていませんが、それでも思想は全く同じです。
名刺は資産という捉え方です。
取引ができた会社の情報は「請求書」を発行したり、年賀状を送ったりするので、みなアタリマエのようにデータベース化します。
でも、展示会に来ただけ、アポをとって1回あっただけ、3回目の商談で競合に負けてしまった見込客まで、ちゃんと管理していますでしょうか?
普通はここまではやらないと思います。
私はいま「脱戦闘用語」を自分に言い聞かせ、「戦略」とか「戦術」とか戦争を思わせる言葉を自分の脳みそから排除しようと努力しています。
自宅のデスクの前に「戦略」はストーリーに、「戦術」は演出に・・・と紙を張り出し、毎日眺め、毎日復唱しています。
その中に「囲い込み」はファンづくりに。
という言葉があります。
一度しか会った事がない人でも、途中縁がなく取引できなかった人も、ずっとアプローチを続けていけば何時かはファンになってくれるかも知れません。
その日が来るまで、思いを込めて「相手の利益に繋がる情報」を提供し続けることが大切だと思います。
顧問をさせて頂いている会社さんでも、3000件集まった名刺の顧客、見込客に向けて、毎月1回「メルマガ」を配信しています。
先日もメルマガのライティング担当の女性に「相手の利益につながる情報」を流すことが大事、具体的にこう書くんだよ・・・という事を教えてきました。
二人で同じ雑誌を読み込んで、私ならこう書くよ・・・というテーマの設定方法。
どうすれば、相手の利益に繋がる情報に「変換」できるのか。。。
と腹に落としてもらうよう、何度も繰り返しエクササイズを行なってきました。
IRとかCSRとか、株主や社会に向けての情報発信は経営層自らが多大な費用をかけて関与するのに、もっとも大切な「お客様」に向けての情報提供は軽視しがちです。
相手の利益になる事を続けていれば、きっと花は開きます。
その種となる「顧客情報」に、たっぷりの栄養と水(顧客の利益となる情報)を送り続けることが、会社の繁栄につながります。
事実、顧問先の会社は、メルマガ配信前は、セミナー集客にFAXDM、チラシ印刷やらでコストをかけ、営業マンも集客に時間を割くなど、労力と時間を投資してきました。
それが今では、メルマガ1本で同等、いやそれ以上の集客に貢献しています。
営業マンに呼ばれてムリヤリ参加しているのではありません。
DMを見てキャッチコピーに惹かれ、半信半疑で参加しているのではありません。
利益に繋がる情報を提供し続けているから、「この会社は面白いかも・・・」と興味を持ってきてくれているのです。
名刺が会社の資産として一元管理できていない会社は、今スグにデータベース化される事をオススメします。
そして、相手の利益に繋がる情報を、花に肥料と水を与えるがごとく流し続けてみてください。
きっと新しい息吹を感じられるはずです。