『構想がどんどんカタチになっていって、ワクワクしてきました。構想から3年経って、ようやく夢が実現しそうです!』
先日、新規事業の拡販プロジェクトを始めたばかりの社長さんが途中経過の感想をお話しくださいました。
まだ売上には繋がっていないので、評価をもらうには時期尚早ですが、社長だけでなく私を含めたプロジェクトメンバーも『これは売れる!』と期待に胸を膨らませています。
これまでの経験上、商品の見せ方、売り方が決まった段階で、『これは売れる!』とワクワクするプロジェクトは、ほぼ間違いなく成功します。
確信を持てる理由は、とてもシンプル。
おそらくあなたも、私たちの会議に参加すると実感してもらえるはずですが、商談シミュレーションをすれば一発で「これは、売れる!」「うーん、まだ分からない」という感覚が芽生えるものなのです。
リアルに商談をシミュレーションしてみる。
出来れば、実際の想定見込客にテスト商談をしてみる。
これが成功確度を推し量る最良の手段だと感じています。
では、なぜ成功確度が高まるのか。
その理由を2つほど解説してみたいと思います。
1つは、商談のプロトタイプを作る工程で、商品の見せ方、売り方の「アラ」が見えてくるためです。
そもそも、商品には、営業しやすい商品と難しい商品があります。
営業しやすい商品の最たる例が「業界の最安値」の商品です。
安いことに「価値」があるわけではなく、同じ価値なら「安い方」が売りやすいという意味合いです。
したがって、逆に捉えると価格で競争しない場合は、「価値」に焦点を合わせなくてはいけない。
- 誰にとって、どんな価値があるのか。
- その価値は、他の代替案よりも魅力的なのか。
- 価値を得るために顧客が払う対価のコストパフォーマンスは最適か。
これらの提案コンセプトを「営業トーク」に落とし込む過程で、必ずと言っていいほど、競争相手が浮き彫りになってきます。
いえ、競争相手のいない商品は、ありません。
間接競合という視点から見れば、必ず競争相手はいるものです。
間接競合とは、審美歯科とエステが、競合状態になっているようなものです。
顧客は、自分に自信を持つために容姿を整えたい。という欲求に対して、消費行動をとっています。
結果、審美なのか、エステなのかは、消費者が晒されている情報源、交遊関係、仕事での立場など、様々な要素が影響しあって決定されていきます。
つまり、価値とは「絶対的な価値」ではなく、「相対的な価値」で捉えないと、消費者目線、顧客の立場で物事を見る事ができないわけです。
営業部隊を動かす事業ステージで、初めて競争相手が浮き彫りになった。
ところが、そもそも勝てる商品企画にはなっていなかった…
そんな笑えない話は、そこら中で散見されます。
私自身も、これまで多くのプロジェクトに関与してきましたが、最初から「相対的な価値」で自社商品をポジショニング出来ているところは、極々少数派です。
中には、直接競合すら正しく分析できていない状態の事業プロジェクトすらあります。
これでは、営業活動のステージで、出戻りが多くなり、埋没コストを積み上げてしまいます。
正しく競争環境を把握し、商談相手に「我々の商品を選択した方が絶対に良いですよ!」と強く推奨できる自信をつけることが大事。
消費行動は、原則「相対的な判断」が下されるわけですから、競争相手を意識し、相対的に有利に組み立てられた商談のプロトタイプを作り上げることが出来れば、
おのずと「成功確度」は上がっていくわけです。
もう1つ、商談確度が高まる理由があります。
それは、顧客が求める「価値」が研ぎ澄まされてイメージできるためです。
商談シミュレーションをしていると、「断り文句」がイメージできてきます。
断り文句が出てきたときには、3つの視点で見直しが必要。
- そもそもターゲットを変えるべきでは?
- 提供する顧客メリットや利益の見直し、または表現の見直し。
- 販売方法やチャネルの見直し
この3つの視点で、誰にとって、どんな価値が享受されるのか? を徹底して見直すことで、商品のあり方、売り方が正しくブラッシュアップできるようになります。
ときには、
商品そのものを改良する。
機能や性能を見直す。
サービスを付け加え、パッケージ化する。
など、商品の見え方を大掛かりに変えなくてはいけないこともあります。
この商品の見え方をプロジェクトメンバー間で共有し始めると、どんどん「顧客が受け取る価値」が研ぎ澄まされてきて、売れる匂いを醸し出してくるようになります。
ターゲットが抱く欲求(欲望)に、リアリティが生まれるためです。
このリアリティこそが、商談シミュレーションやテスト商談を実施する最大のメリット。
人間は、自己肯定感が強い生き物ですから、自社商品を過大評価しがちで、競争相手をディスカウントして捉えてしまいがちです。
また、提供する価値も、そしてその価値を受け取るターゲットも、軽視しがちで一方通行のコミュニケーションになりがちです。
これでは、市場のコミュニケーションができず相思相愛の関係が成り立たないために、事業が伸びることはありません。
これを防止するための有効策が、「商談シミュレーション」や「テスト商談」になる訳です。
市場とのコミュニケーションを想定し、事業計画や商品企画のステージにリアリティを取り入れること。
この一手間が、事業成功確度を大きく引き上げることは間違いありません。
御社で抱えている新規事業は、商品の企画段階や事業構想段階で、商談シミュレーションまで行って、成功確度にリアリティを織り込んでいますでしょうか?