「前回のコラムは、面白かったです。でも一時的なブームに終わりそうな気もしますよね」
1本、60万円のボトルティーを販売している会社の商売センスを読み解くコラムは、皆様よりたくさんの反響を頂きました。
アクセス数もいつもの2倍。
27日(火)以降、会う方ほぼ全ての方とロイヤルブルーティージャパンの話で盛り上がりました。
様々な意見がありましたが、この戦略は持続性のある戦略なのか否か。
意外にも意見が二分されていました。
「いや 一過性でしょ…」という感想をお持ちの方には、「では、ロイヤルブルーティージャパン社が●●を徹底すれば、ロングランのビジネスになりますか?」と新しい前提を出すと、「なるほど、それなら一過性では終わらないかもね。」という意見に皆さん変わっていきました。
なるほど、「一過性のブームで終わる商品」と「持続性のあるブランドの確立」の違いがこれで浮き彫りになったので、その要所をご紹介したいと思います。
ちなみに、これは、藤冨の意見だけではなく、百戦錬磨のオーナー社長さんとディスカッションした内容の集約です。
どの企業さんも20年、30年、中には50年企業もあるので、皆さん「持続性のあるブランド」を確立されてきた実力者です。
間違いのない要所なので、これから持続性のあるブランドを確立したい経営者の方は、予めこの要所を抑えて、戦略・戦術の至るところに、神経を張り巡らせることをオススメします。
その「持続性のあるブランドの確立」の要所は、3つのポイントがあります。
- 社員の巻き込み
- マーケットの啓蒙
- 確かな製品力
この3つです。
まず、1つ目の社員の巻き込みを解説しましょう。
ここで言う「社員の巻き込み」とは、うわべの人心掌握のことではありません。
社員自らが自分の人生、使命感と会社の姿勢や理念を重ね合わせることで生まれる「動機付け」を起点とした「巻き込み力」です。
そもそも個人は非常に脆いものです。
だから、組織のアイデンティティに同居しなければ生きてはゆけません。
これは、マズローの「完全なる経営」を熟読すると手に取るように分かります。
同著では『会社や組織の役割は、矮小化した個人を偉大にするのが組織や職業の役割』だと分析しています。
医者の〇〇さん。
〇〇企業の〇〇さん。
と言ったように、個人に看板をつけることで、人間はアイデンティティを保てていると言うのです。
この看板が、自尊心を満たしていると。
そう、結論づけてもいます。
この分析は、藤冨も深く納得しています。
ちなみに、大企業や社会的な地位の高い職種であれば、「名前」だけでアイデンティティを見立てることができます。
しかし、中小企業では、そこに限界があるのも事実。
だからこそ、大義を立てて、その大義に「アイデンティティ」を持たせることが有効だと藤冨は信じています。
これは私の職業人人生を通じて、間違いないと断定できます。
私は、何のために生きている!
この立派な大義を会社が掲げれば、必然的に社員の士気は、向上します。
もちろん、その大義に違和感を覚える社員も出てくるでしょう。
でも、合わない人は、会社の生き方、姿勢、理念と合わないのですから、サッサと辞めた方がお互いのため。
ここには、割り切りが必要だと感じています。
2つ目のマーケットの啓蒙は、新しい価値観を市場に提案をするのですから、ある意味避けては通れないテーマです。
そもそもブランドとは、独自の世界観の確立であり、その世界観を維持する絶え間ない努力の結晶です。
パッと売って、サクッと儲けよう!なんて、軽い気持ちでブランドの確立を捉えると手痛いしっぺ返しを喰らうことになります。
こだわり続ける覚悟。
正義を貫く覚悟。
約束を守り続ける覚悟あってのブランドです。
その愚直な姿勢を発信し続けることで、ファンを作り出し、その顧客達から愛される存在になる。
愛されている顧客を外野で見ている潜在顧客が「憧れ」を抱き、「私もその世界観に仲間入りしたい!」と思うような魅力を作ることで、さらなる新規顧客を誘引し、ブランドが成長して行く。
この愚直な姿勢を貫くための、「啓蒙活動」をする覚悟が大事です。
最後、3つ目の「確かな製品力」が、一過性で終わらないために必要な要素です。
商品は、潜在顧客や見込客が何かしらの「期待」を持って、お金を出して顧客になってくれます。
その「期待」を超えることが出来れば「素晴らしい商品だ!」「このメーカーは最高だ!」と評価してくれて、リピートしてくれたり、他者を紹介してくれたり、SNSで好意的な発信をしてくれます。
当然の結果、宣伝を控えめにしても、売れ続けます。
しかし、購入前に抱いた「期待」と製品を商品として購入、使用した後に、期待外れの感想を抱かれてしまうと…
当然ながら、真逆の結果が生まれ始めます。
宣伝広告費や営業経費は高止まりし、売るためのコストと、利益が見合わなくなってきます。
これが、一過性で終わる最たる原因です。
また、製品力の裏舞台を知っている「社員の心」にも気を配る必要があります。
我が社の商品は本物だ!と心底信じていれば、「ぜひ買ってください!」と勧めたくなる気持ちが強くなっていきます。
しかし、製品レベルで「うちの商品は、ちょっとなー」と思っていると、必然的に販売力は弱まります。
日本人は、特に真面目なので、この傾向が強い。
まずは、身内(社員)が心底、素晴らしい商品力だ!と自信を持てるようにすることが必要不可欠です。
これなくして、持続的な成長、つまりブランドの確立はありえないはずです。
御社では、身を正すようなブランドの確立を意識していますでしょうか?
また、 そこまで徹底した考えを土台にした「新規事業の創出」を行っていますでしょうか?