とことん「本質追求」コラム第276話 営業マネージャー不要の時代?!

 

 

 

「自分の数字を追うので一杯、一杯です。部下なんて管理できませんよ。と営業部長が主張するんです。中小企業ではプレイングマネージャーが当たり前ですよね?」

 

先日、顧問をしている企業の社長さんと会食していた時に、中小企業ではよくよく聞く話題が上りました。

 

当然ですよ! と返しましたが、今後はプレイングマネージャーどころか、人間が管理する必要性のない時代がやってくると藤冨は感じています。

 

そもそも、営業マネージャーの役割とはなんでしょうか?

 

大きく分けて3つあります。

1つ目が、営業活動の進捗管理

2つ目が、個別案件の受注促進

3つ目が、営業プロセスの持続的改善策の創案 です。

 

1つ目の営業活動の進捗管理は、「見込客発掘」→「見込客との関係づくり」→「ヒアリング・提案」→「受注障害の除去」→「受注」→「フォロー」のプロセスが滞りなく進捗しているか否かの監督業務です。

 

  • 予算達成に向けての見込客の絶対数は足りているのか?
  • 提案・見積積算上、予算達成にリーチ出来るのか否か?
  • 各営業マンの活動漏れ、タイミング遅れが発生していないか?
  • 各営業マンが、営業プロセスを進めるにあたり、課題を抱えていないか?

 

などのチェックを行い、問題があれば改善。滞っていればボトルネックを外すことが、営業マネージャーの仕事としての重要責務になります。

 

この現実を厳粛に受け止めると、ダメなマネージャーは、「課題が分からない」「課題があっても指示が出来ない」という問題を抱えることになります。

 

能力云々だけではなく、冒頭のように「自らの仕事が忙しくて出来ない」ケースも、「課題が見えなかったり」「見えていても、指示をすると、相談されるから、そんな時間はない!」と目をつむってしまうケースも同様です。

 

しかし、逆から見るとどうでしょうか?

 

課題が明確に見え、逐次的確なタイミングで指示を飛ばすマネージャー。

部下から見たら「小うるさい存在」に映ることは間違いありません。

 

以前、セールスの現場で「インターネットを駆使した面白い手法」を伺ったことがあります。

電話を駆使して商談・受注まで持っていく営業プロセスを確立されている企業ですが、ある商材では「チャットを利用して顧客を説得している」とのことでした。

 

人間に言われると「余計なお世話だ!」と嫌悪感を抱かれるリスクがあるけど、チャットなら素直に説得されるんです!と笑いながら教えてくれました。

 

これは心理的に深くうなずけます。

 

人間には素直になれないけど、チャットやロボット、AIなら素直に聞ける…。

 

介護士にオムツを替えてもらうのは恥ずかしいけど、ロボットなら平気という要介護の高齢者と同じ感情です。

 

人間は感情の動物ですが、感情が邪魔をして「あるべき姿」を達成できないことが往々にしてあります。

 

話が逸れてしまいましたが、営業活動の進捗管理なら、すでに人工知能で解決できそうなテーマです。

人工知能は、データの蓄積が少ないと機能しにくいのですが、全てのプロセスで管理はできなくても、アクションのタイミングや最適な提案書類の提出くらいなら指示を出してくれる可能性が大です。

 

人間よりも、嫌悪感を抱かれずに…です。

 

2つ目の「個別案件の受注促進」は、要するに「行き詰まった商談に風穴を開け、受注に持っていくにはどうすべきか?」 という知恵の世界です。

 

今、働き方改革や、ブラック企業を叩く風潮が世の中に蔓延っているために、「努力をする姿勢」が、営業マンから奪われつつあります。

 

勉強でもスポーツでも仕事でも、何か一つを成し遂げたことがある人なら分かりますが、一見無駄とも思える大量の努力をしない限り「コツ」や「知恵」を握ることは出来ません。

 

したがって、組織の中から「知恵」が出にくい環境になりつつあり、これは時代経過とともに、より鮮明になっていくものと個人的には強く感じています。

 

そこで打つべき対策は、一人の知恵からのブレイクスルーに頼るのではなく、複数人が集まって知恵を捻出する「触発の環境」を作ることがポイントになると私は確信しています。

 

三人寄れば文殊の知恵ではありませんが、複数人が集まり行き詰まった商談をどう打開するか?を話し合えば、何かしらのアイディアは出るはずです。

 

当初、知恵を持った外部スタッフが、会議をサポートすれば、なおさらその成功確度は上がるでしょう。

 

一人の優れたマネージャーに頼らずとも、課題をよりパーフェクトに解決できる方策です。

 

3つ目の営業プロセスの持続的改善策の創案は、営業だけの知識ではなく、マーケティングの知識も必要になっていきます。

 

具体的には、商材ごとに獲得した受注から逆算して、どのようなリードがより良い結果をもたらすのか? を分析し、見込客発掘活動の投資優先順を決定する。

 

また、個別商談の提案方針、提出書類、競合状態と顧客属性をデータ分析し、顧客ターゲットの優先順位決定や、最適アプローチと実際の営業活動の乖離をチェックし、的確な営業アプローチを個別営業マンに促す…。

 

などなど、人間のマネージャー職でも網羅できない理想的な営業—マーケティングの統合マネジメントが、システムなら実現できることは明らかです。

 

指示や命令を受ける営業マンの感情。

スペシャリストが育ちにくい企業環境。

複雑化している営業プロセス。

 

どの面を見ても、営業マネージャーが人間ではなく、システムに置き換える方がメリットの大きいことは、私の目から見れば明らかです。

 

この主張は、少し先走っているかも知れません。

しかし、5年、10年後には一般的な主張として受け入れられると確信しています。

 

御社では、営業マンが人間である必要性を見出しますか? それともシステムに置き換えていく覚悟をしていきますか?