「アポ率や受注率を継続的に記録していき、営業力を高めていく方法は腑に落ちました。早速社内に定着させてみたいと思います」
先週の金曜日に開催したセミナーにご参加いただいた方からの嬉しいご感想です。
セミナーはお勉強の場ではなく、業績を上げるために実践すべき内容を見つけ出す場だと私は思っています。
実践してナンボです。
ぜひ、コンバージョン率管理(アポ率や受注率を記録するマネジメント手法)を社内の新しい文化として定着させてもらいたいと思います。
ちなみにコンバージョン率とは、例えば通販サイトで、100人がページを見て、1名が購入した…従ってコンバージョン率は1%。
というように、接触した人数と、成約した人の割合を計測する計算式です。
日本語では、成約率とも呼ばれますが、ここでは「転換率」と呼ぶ方が的確でしょう。
というのも、電話を掛けた本数に対して、アポイントが何件取れたのか? を
計測する「アポ率」やDM発送数に対しての問い合わせ数を計測する「反応率」を計測することもあるので、転換率の方がしっくりきます。
コンバージョン率管理は、アクションした総数と結果を記録するだけですが、単にエクセルに入力するだけでは意味がありません。
結果を厳粛に受け止めたあと、次の改善テーマを打ち出すことで意味が出てきます。
そして、改善テーマを実践したあとの数値と、前の数値を見比べ、その対策が的確だったかどうかを振り返ります。
コンバージョン率がアップする仮説がうまく当たれば、その仮説をもっとブラッシュアップして、よりコンバージョンを高めることは出来ないか?
逆効果だった場合には、なぜ以前の方が効果的だったのか…を振り返り、また新しいアイディアを打ち出してみる。
こうした繰り返しを行うことで、市場との対話が出来るようになり、必然的に業績は上がっていきます。
では、具体的にどのようにマネジメントしていくのか?
少し解説してみましょう。
例えば、テレアポによって見込客を開拓している企業があったとしましょう。
テレアポは、架電するリストの質によってアポ率は大きく変わっていきます。
- データバンクのようなリスト会社から購入したリスト。
- 求人情報紙
- タウンページ
- 業界専門誌
などなど、売り手が提案する商品との相性も関係しながら、各リストの質によって、アポが取れやすかったり、取れにくかったりするものです。
私の経験値では、1%の媒体と、80%の媒体といった感じで、アポ率に80倍もの開きがあったこともありました。
どのようなアタックリストを手に入れていくか…。
ここが最初のカギを握っていくわけです。
次に、トークスクリプト。
いわゆる架電をするときの「台本」です。
この「台本」はテレアポの必需品です。
なぜなら、アポ率の変化を振り返る「目印」になるからです。
トークスクリプトの変更によって、当然ながらアポ率は変わってきます。
何時から何時までが、トークスクリプトA。
何時から何時までが、トークスクリプトB。
というように、コンバージョン率管理表と一緒にファイリングしていれば、どのようなスクリプトを作り込めば、アポ率が高まるのか、経験値を客観視することが出来ます。
また、テレアポは、いきなり架電するよりも、アプローチレターやDMと同時に実行した方が効果的なのは、すでに様々なケースで立証されています。
アプローチレターとは、第一コールの目的を「資料送付許可」だけに絞り、担当者の割り出しと送付宣言を行います。
次に、手紙を投函し、到着を見計らって、再度電話をするといった具合です。
テレアポでは、内容の伝達率が良くても2~3割ですが、手紙であれば7~8割は内容を伝達できます。
確度が極めて高い訳です。
ヘタな鉄砲を数撃つよりも、少ない球数でも効果的なアタックをした方が、社員も疲弊しません。
このときも、アポ率の計測をしていれば、どちらが生産的か一目瞭然となります。
そして、アポが取れ「商談」がセッティングされたあとの受注率の計測も重要。
商談数に対して、受注件数は何件だったのか。
- その時の提案書は?
- エビデンス資料は?
- 提案商品の見え方は?
受注に影響を与える要素を洗い出し、どのような施策を行えば受注率が向上するのか?
計測結果と照らし合わせながら、仮説—検証を行うことで、業績は着実にアップしていきます。
「なぜ、予算達成できないのか!」と叱咤激励するだけでは、営業現場は固まってしまうだけです。
「アポ率を上げるには、何をすればよいのか?」
「受注率を上げるためには、どのような武器を準備すべきか?」
考えさせるキッカケを提供することが大事です。
すでにお分かりかと思いますが、このコンバージョン率管理は「考える営業部」をつくり出します。
なので、冒頭の方は、「営業力を高めていく方法」という捉え方をしてくれたのです。
アポに限らず、見込客を発掘するためのリードすべてに、このようなマネジメントを行えば、営業部全体の活動が本質を射抜けるようになっていくでしょう。
- テレアポ
- 飛び込み
- DM
などのプッシュ戦略だけでなく
- ホームページ
- 広告
- 展示会
などのプル戦略すべての施策を記録するわけです。
御社では、営業推進、マーケティング、営業部隊のすべての「見込客発掘プロセス」において、数値を記録し、その数値改善を行う努力をしっかりと行っていますでしょうか?