「新規事業って、やはり難しいですね。思うように中々売れません。営業は技術から異動させたのでムリがあるのでしょうかね…」
ここ最近は、下請けや部品メーカーから完成品メーカーへの脱却を図る企業さんをお手伝いすることが多く、営業の人材をどう採用し、育てていくか…という課題によく直面します。
が、対策すべき課題を踏み間違えれば、すべての投資と時間がムダになります。
本質的な問題は何か…。
ポイントを見極めた上で、「課題」を掘り下げることが経営を早期に健全化させます。
この本質的な問題は、大きく3つのアプローチから堀り下げることが出来ます。
1つ目は、商品に問題があるのか?
2つ目は、営業マンに問題があるのか?
3つ目は、アタックしている市場に問題があるのか?
のいずれかです。
売れない本質が、商品にあるのに、いくら営業マンの教育をしたこところで、何ら成果には結びつきません。
狙っている市場に、強烈な競合商品があるのに、いくら小手先の商品改良をしたところで、骨折り損のくたびれ儲けになります。
営業に配属された人間が、強い不平不満を抱いた状態であれば、どんなに商品が良くても、アタックしている市場にニーズがあっても、注文をとり続けることは出来ません。
本質的な問題は、どこにあるのか…。
このアタリをドンピシャに当てていくことが、経営者やマネージャーの重要な仕事となります。
ちなみに、今回のご相談いただいた企業は、商品力に問題があると、経営陣とのディスカッションで明らかになってきました。
営業マンが元々ゼロ。
教育するカルチャーもない。
営業活動を管理・監督する経験やノウハウがない。
そのような状態なのに、コモディティ商品(差別化ができず、どの商品を買っても消費者にとって大差のない商品)を売っていても勝ち目はありません。
コモディティ商品を取り扱って利益を上げるには、「強い商品力」と「価格競争力」が必須条件となるからです。
そういった前提条件をお伝えすると、消去法で考えざるを得ません。
出した結論は、強い商品力をもって、営業マンの力量に不足があっても、利益を上げる策を考えること。
しかも、出来るだけ早い立ち上がりが求められているので、高い確率でスグに現金化できる商品を企画することになりました。
短期間で現金化する商品には、ある原則があります。
その原則とは…
「消費者が、これまで解決出来なかった問題があり、その問題と解決がシンプルなコミュニケーションで理解出来ること」です。
短い単語で、コミュニケーション出来れば出来るほど、反響営業は仕掛けやすいですし、営業マンも“売らずとも、売れる営業トーク”を準備することが出来ます。
また、受注の絶対数を上げるためにも、最初に聞き耳を立ててもらう人の絶対数を増やす必要があります。
消費者が“知りたい”という驚きがあればあるほど、多くの人に見聞きしてもらえる確率が高まり、商談数は増え、営業力が脆弱であっても、受注量は増えていきます。
そのためには、まず「市場の常識とは、真逆の商品から発想する」というアプローチが有効です。
「何それ?」
「知りたい!」という聞き耳を立てる人の絶対数が増えるからです。
ほかほか弁当の創案者は、意図していたかどうかまでは分かりませんが、まさに「市場の常識とは真逆の商品」を発想しました。
ほかほか弁当が世に出る前は「弁当は家で作って、外に持っていくもの」でした。
それを、「家に持って帰るもの」へと、真逆の発想をしたわけです。
回転寿司の創案者も同じです。
寿司は「オーダーを受けてから握るもの」という常識から「握って並べた商品(寿司)をお客は選ぶもの」に変えました。(今はオーダーが主流ですが…)
私がお手伝いしているサプリメントメーカーさんが、一昨年に出して大ヒットした「飲む日焼け止め」もまさに同じアプローチ。
「日焼け止めは塗って、肌を保護するもの」という常識の視点を変え、「身体の内側から日焼けによる害をブロックする飲む日焼け止め(BE-MAX the SUN)」を発売。エステサロン経由で発売し、5万箱のヒット商品になりました。
もちろん、常識と真逆の発想は「聞き耳を立てる役割」しかないので、ニーズの喚起までには及びません。
従って、売れる商品に仕立てるためには、聞き耳を立てたあとに、これまで解決できなかった問題に気づいてもらう必要があります。
ほかほか弁当であれば、
- 仕事終了後の貴重なプライベート時間が、料理を作る時間に食われている。
- 限られたお昼休憩が、ランチ時の混み合う食堂で時間を浪費されている。
回転寿司であれば、
- 大好きな寿司が、低生産性フォーマットのために、高単価で日常的に楽しめない。
日焼け止めであれば、
- 日焼け止めを塗っても、汗などで剥がれてしまい数時間置きに塗り直しが必要。
などなどの問題点があり、それを克服する商品だとスムーズに認知されたために、ヒット商品となり、世の中に定着化していきました。
こういった商品を創案出来れば「売らずとも売れていく」商品へと昇華していきます。
限られた予算と人員で、次なる事業の柱となるヒット商品を生み出すための有効なアプローチであり、最も短期に現金化しやすい商品企画の発想法。
ぜひ、御社でもトライしてみませんか?