「藤冨さんの自由な発想で当社を見ていただきたい。どのようにプロジェクトを組んでもらえるのでしょうか?」
年始早々、新しい仕事の依頼が入りました。
ただ、残念ながら現時点では、新規のプロジェクトを受け付けていないので、半年先まで待っていただく事になったのですが…
ただ引き延ばすだけでは申し訳ないので、発想を自由に展開させるコツをメールにてご教示しました。
その後、「面白いです、これならできそう!ぜひ習慣化させます!」とお礼のメールが届いたので、皆さんにもシェアしようと思い、コラムに綴ることにしました。
自社商品をまったく別の業界に販売する「新市場開拓」。
切り口を変えたり、付加価値を高めるサービスを付加して、より販売力を強化する「市場浸透」。
など、業績を大きく伸ばす営業手法を開発するには、まず自社商品の本質的価値を突き詰めることが大切です。
これが軸にないと、単なる突拍子もないアイディアが連発するだけ。
最悪なのは、「それは売れる!」と勘違いして、実務運用ベースに乗せてしまうことです。
ムダな営業活動は、ムダな固定費流出に繋がります。
そればかりか、ホームページを改修したり、カタログを作ったりすれば、その投資も埋没原価になってしまう。
売れないだけでは済まされない、コストと時間の浪費に繋がってしまいます。
「いや試行錯誤は大切ですよ…」というお声も聞こえてきそうですが…。
やって良い試行錯誤と、やってはいけない試行錯誤があると、藤冨は考えます。
やって良い試行錯誤とは、改良を重ねる事で成功に辿り着けるプロセスを歩んでいるときの試行錯誤。
やってはいけない試行錯誤とは、振り出しにもどってゼロからやり直しをするプロセスを歩む試行錯誤です。
このやってはいけない試行錯誤の典型例が「軸」がないことです。
例えば、ペット産業が伸びており、犬やネコなどの生体販売が絶好調だとしましょう。
犬やネコが売れているから、ウサギも売れるのでは?と、新商品の取扱いを拡げたりする…。
これは一見「ペットという軸」があるように感じられるかも知れませんが、それは大きな勘違いです。
こういった発想は「当たるか、当たらないか…」という博打をうっているようなものです。
販売商品の本質的な価値を軸にするということは、消費欲求の根源を突き詰めるということです。
この消費欲求の根源を突き詰めて考えれば、大きく外れることは殆どありません。試行錯誤のレベルでいけば、成功に辿り着けるプロセスということになります。
では、どうやってこの「消費欲求の根源」を探るか?
それは、ある現象を観察して「それってどうゆうこと?」の解を見つけることです。
例えば、前述の例でいえば、犬やネコが売れているって、それってどうゆうこと? と質問してみるのです。
「子供がいない世帯が増えたり、子供が巣立った老夫婦が、新しい家族を欲しているからじゃないかな…」
そんな仮説が成り立ちます。
しかし、この仮説もまだ現象レベルです。
消費欲求の根源までは突き詰められていません。
そこで、もう一段階掘り下げてみます。
「新しい家族が欲しい? それってどうゆうこと? 」
すると、こんな仮説が浮かび上がってきます。
「餌をあげたり、トイレのお世話をして、懐いてくれるのが嬉しいんじゃないかな?」
そんな仮説が成り立ちます。
しかし、この仮説もまだまだ現象レベルです。
消費欲求の根源まで、突き詰められていません。
そこで、さらにもう一段階掘り下げます。
懐いてくれるのが、嬉しい? それってどうゆうこと?
「うーん、自分がいないとダメ…という状況に満足感を感じるんじゃないかな?」
ここまで来ると、消費欲求の根源に突き当たります。
「自分がいないとダメ…という状況に満足感を感じる…」
つまり、ペットを飼うという行為は「自己重要感を満たすためにあるかも知れない…」という購買行動の根源の仮説が成り立つわけです。
(ペットを消費行動と言うのは、少し違和感がありますが…)
すると、自己重要感を満たす行為から逆算すると、どのようなラインナップが必要なのか? どのような新サービスが考えられるのか? と消費者目線にそった企画が出来るようになります。
少なくても、犬やネコが売れているから、次はウサギか? など現象レベルに縛られたお粗末な発想にはならなくなります。
現象レベルを「それってどうゆうこと?」と、消費欲求の根源まで突き詰めること。
そこから自社商品の本質的価値を明確にしておくことで、売れる切り口の精度が上がっていきます。
ムダな試行錯誤をしないためにも、2017年は精度の高い試行錯誤をしていきましょう。
御社では、新事業企画、新市場開拓、市場浸透など、新たな成長路線を描く際に、自社商品の本質的な価値を突き詰めてから事業企画を進めていますか?