「センス一本50円で買いませんか?」
先日、ベトナムに訪問した際、お土産を買おうと町を徘徊していたときに、10m置きに、「センス1本50円! 買ってよ!!」と声をかけられました。
最初は、センスが1本50円?
ずいぶん安いなーと、感じたのですが、一緒にいたベトナム慣れしている方が、聞く耳を持っていなかったので、私も無視をして町を歩いていました。
最初の売り子は、そんな感じで「多少の注意・関心」は惹き付けられたのですが、二人目、三人目と続くと、もうウンザリ。
すでに雑音にしか聞こえず、ずっと聞く耳を持たず素通りをしていました。
「みんなで同じものを売らないで、別なものを売れば良いのに…」
そう思った瞬間、コモディティの怖さを改めて感じました。
コモディティとは、市場に流通している商品がメーカーごとの個性を失い、消費者にとってはどこのメーカーの品を購入しても大差のない状態のことを言います。(Wikipediaより)
よくセミナーでも事例研究として話をしていますが、アメリカ企業は、商品のライフサイクルによって、自社の取るべき戦略を変えています。
かのIBMも、自社の強みを活かせない、コモディティ化した市場から撤退する…とコンピュータ事業が撤退した歴史があります。
環境によって、自社の生き方(戦略)を変えていくのは、生き残る為のセンスであり、企業の生き死にをわける分かれ道でもあると言えます。
先日も46期目の決算を迎えたクライアント企業さんから、利益が出ました!とメールが入ってきました。
同社は、日本を代表するコンピュータ周辺機器メーカーのアセンブリ事業を受託していましたが、なんとも残酷なことに、その全ての事業が海外に持って行かれてしまいました。
国内に取り残された同社は、がっぽりの売上がなくなり、新たな活路を模索して自社商品を売り出していたのです。
社長の不退転の決意によって事業は存続し、新規事業を太くしている最中ですが、46年も続く会社というのは、ある意味奇跡でもあります。
国税庁の調べによると、「会社生存率」は、
5年 14.8%
10年 6.3%
20年 0.4%
30年 0.021%
となっているとのことなので、30年以上経営を続けている会社は、100社に1社
も無い状況だからです。
既存の事業がダメになる原因は様々です。
上記のように、下請け構造がガラッと変化したり、コモディティ化して収益事業として成立しなくなる場合もそうです。
ただし、これは一気にガラッと変化するわけではありません。
表面的には、そう見えたとしても、必ず「予兆」があるはずです。
ベトナムのセンス屋も、ちょっと周りを回れば、すぐに気がつくはずですし、次元は違いますが、グローバル化の波は、当時を遡ってみても感じられたはずです。
従って、その「予兆」を感じた瞬間から変化の仕掛けを打たなければ、生存できない可能性が高いのです。
弊社にも、既存事業が縮小し、新規事業を手掛けて様々な手を打った後に来られる方がいらっしゃいますが、財務状態が悪化し、カツカツの状態で来られても打つ手は限られてしまいます。
もちろん、ギリギリの状態であっても、何とか打ち手を考えて「最小の投資で最大の効果があがるよう仕掛けを打つ知恵は絞りますが…
それでも、もっと投資が出来れば安全パイの踏める事業プランが描けたり、もっと確実に売上が見込める市場に食い込めるのに……と初回相談にお越しになる企業さんには、歯がゆい想いをすることが多々あります。
自社の主力商品がもしも、コモディティ化してきたら…
もしも、独自性を発揮できない活動に終始していたら…
経営資源の限られた中小企業は、即「変化への打ち手」を実行することが大切です。
これは、私が関与している企業で、かつ成功し続けている社長さんに共通している資質です。
だからこそ、何十年も生き残り、しかも利益を上げ続けているのだと確信しています。
他人と一緒の行動をしていると「安心」するという心理特性を、私たち人間は持っています。
しかし、事業活動に限っていえば、これは錯覚以外の何者でもありません。
消費者の立場であれば、「選ぶ側」ですから、同調行動を取ったとしても「ベストな選択ができなかった…」という、ちょっとした失敗だけに終わります。
だけど私たちは、販売者の立場です。
販売者は「選ばれる立場」です。
同じ行動をとっていれば、必然的に選ばれにくくなり、事業は先細りになっていくのは目に見えてわかることです。
そうなる前に…
先行投資がまだ絞り出せるときに…
変化への打ち手を打つことが大切です。
御社の市場は、コモディティ化していませんか?